ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論 上巻
小林よしのり(著)
/小学館
作品情報
『戦争論』に続く国家・歴史シリーズ。
今年は日本の戦争が裁かれた東京裁判の判決60周年の年です。1948年、東京裁判によって、いわゆるA級戦犯への処刑が言い渡されましたが、この際、国際法の権威だったインドのパール判事は「日本無罪論」をただ一人主張し、1235枚に及ぶ「反対意見書」を書きました。東京裁判60周年の節目に、このパール判決に歴史論争の焦点が集まっております。日本は有罪か、無罪か。法の真理と裁きは国家にとっていかなる意味を持つか。パール判決のデマを流しているのは誰か・・・・・・本書は小林よしのり氏の「もうひとつの戦争論」です。『戦争論』『台湾論』『靖国論』『いわゆるA級戦犯』と話題と波紋を呼んできた小林氏の国家・歴史論シリーズ。(2008年6月発表作品)
フィックス型EPUB79.7MB(校正データ時の数値)。
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この作品のレビュー
平均 4.3 (12件のレビュー)
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この本は「難しい」。
著者の小林よしのりは、確かに語るべきことを余すところなく語っています。
だけどその論述は中島岳志批判が中心になっています。ですので、結局パール判事の「真意」とその歴史的な位置…づけをどう捉えるべきか、という核心にもうちょっとのところで届いていないのです。
この本の「難しさ」は、その点にあります。
パール判事が正義だと考えたのは、ひとことで言えば「法律をそのまま素直に用いること」です。
単純な話です。法律の条文を、何も書き加えず、余計な解釈も挟まず、事実にそのまま適用すれば、判決というものは出てくるはずです。
もしも、ある事態に対してある法律が適用されようという時に、その法律について拡大解釈などの余計な解釈が施されている場合は、これは法律の適用の仕方として間違っている可能性があります。
例えば、人を殺せば罰せられます。
ならば、昆虫を殺しても、罰せられるでしょうか。
ここで「人も昆虫も生命があるのだから、昆虫を殺しても罰せられるのは当然」というふうに勝手な解釈をしてはいけません。
法律で決められているのは、「人を殺せば罰せられる」ただそれだけです。昆虫を殺したら罰せられるとはどこにも書いてありません。だから昆虫を殺しても人は罰せられません。ただそれだけのことです。余計な解釈を加えることは、この場合、正しくありません。
パール判事がやろうとしたのは、こういった「余計な解釈の排除」です。
勝戦国だろうが敗戦国だろうが関係なく、当時の国際法を、起きてしまった事態に対してただひたすら愚直に適用させる。ただそれだけのことだったのです。
戦勝国をいたずらに批判するのでもなく、日本に同情するのでもなく、当時の国際情勢と日本の内情を冷静に見つめ、それに法律を適用させたらどうなるか? という問いの結論を出したに過ぎません。
もしも、日本があからさまな国際法違反を行っていれば、おそらくパール判事はそれを躊躇なく違法と見做していたことでしょう。
もしも、人道的・道徳的な観点から「良くない」と思われるようなことでも、法律で決まっていない限りはそれを罰してはいけません。むしろそうした、言葉でスッキリと決めることの出来ない人道的・道徳的な善悪をスッパリと断ち切ったところにこそ、法律の正義は成立します。
何故パール判事がそのように「法律の正義」にこだわったかというと、恐らく弱肉強食の国際情勢を乗り越えるには、このような法の下の平等というものを徹底するしかないという思いがあったからでしょう。
そう、軍事的な力関係で言えば、全ての国家が平等であることは、ありえません。
だけど法律の下であれば、誰しもが平等でいられます。
このような平等さや公平性を確保するには、法律というものが、その時代の強者によって強引に、恣意的に用いられるのではなく、合理的に、数学的にスッキリと割り切れる形で用いられなければなりません。
だからパール判事はそれを目指したのです。
小林の「パール真論」には、このような法律の運用に関する解説がほとんどありません。全くないわけではないけれど、あくまでも中島岳志批判に終始している印象で、隔靴掻痒という印象が否めません。
ですので、この本は奇妙な「難しさ」を含んでしまっているのです。続きを読む投稿日:2010.05.02
このレビューはネタバレを含みます
ケンカを売った中島先生にも問題はあるが、大人げなく、対話も拒む小林先生にも問題がある。本書の疑問にほとんど答えてない本だが、2年後に出た、中島・西部『パール判決を問い直す』を読んでから、書いていたら、…もっと違った内容になったのでは?中島先生が、可哀想過ぎる。まあ、中島『パール判決書』にも、本書に書かれたような問題はあるにせよ・・・。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2023.12.19
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