この作品のレビュー
平均 4.2 (26件のレビュー)
-
そうして「彼ら」は日本にまでたどり着いて、結局宗教的に、まず占領することはできなかったわけだ。このアフリカの村ように。
それは戦国時代から、日本のトップの人間が、「彼ら」に対して容赦せず、警戒し、…かつその言動に抵抗できる知識や教養を貪欲に摂取していたからだろうか。彼らの世界戦略を瞬時に見破ったからだろうか。この小さな島国で戦争ばかりしまくっていた民族なのだから、それぐらいすぐに見抜いただろう。よくぞ島国が、「こう」はならなかったものである、というのが、読後のまず第一の感想であって、「アフリカ人がかわいそうだねえ」とかは思わなかった。
思うのは、「日本と違って、こういう風にアフリカはやられたのか。なるほど、よくわかった」という、何百年と続く「白人とそれ以外」の戦いの一端を目撃しているような、ドキュメントのような一冊だった。
だが、そうは読んではならない空気が世間にはあるだろうし、そう読むことは何か無教養でだらしがないことであるというイメージがなぜか私の中にすり込まれてあり、ゆえに私はたぶん、「この小説の構造は、円環的なものから直線的なものへとなっていて……」といったことを言って、それで終わるべきなのだろうと思う。
が、とりあえず自分でここはチェックだなと思ったところを書けば、まず最初に銃が登場するのは、P69。銃が登場したとき、「あ、この世界、銃があるんだ」と感心したものだ。それまで、いったいこの話は、いつの時代なのか、まったくわからない。三千年前と言われても納得していただろう。
あと主人公の暴力がとても良い。主人公の暴力たるや誰もおさえられない。とにかく暴力、そして不運がものすごい。幸せと富と豊かさの絶頂でありながら、息子同然の子を殺し、祭りで殺し、そして最後の集会で殺し。この主人公の「どうしようもない怒り」を理解出来る人は、なんとなくいるだろうし、なんとなくいない。だが、主人公はなぜここまで怒り狂っていたのか。何に焦っていたのか。この小説は、白人とそれ以外の、文明的な公平な対比を描いたものと同時に、この「怒り」……どうしようもない怒り、これは白人が来る前からある怒り、白人が来ても続く怒り……敵味方すべてに怒り続ける主人公は、とても深い。
また、イナゴが喜びの対象となっているのが面白い。大概イナゴ=悪のイメージだが、ここでは違う。これも、なにやらすり込まれたものを払拭させられる感じがする。
双子をすてる習慣とか、神聖な蛇や、森の呪いの効果が白人に全く効かない、それから最下層被差別民が真っ先に改宗していくところなど、急激に世界観が代わっていく様の流れが面白かった。
ちなみに、白い人間についての話題、初登場は121ページであるが、黒人のアルビノの話題も出てきていて、ほんと細かいところをついてるなあと思いながら読んだ。
そうして、そうして、この村は平定される。パクスはピースであり、最後の注には「平和」をもたらすとあると書いてあり、いや、これはアフリカも日本も同じだと、決して思ってはならない、思ってしまっては、何かしら短絡思考の、低レベルな人間だと世間様に思われるという思考回路が私の中に生まれるので、なので、「実に見事な小説であった。なるほど、この平和によって、この村の悪習はなくなったわけだ、良い面もあれば悪い面もある」と、何か深い感慨を得たような気持ちで思うしかないのだった。続きを読む投稿日:2014.08.13
アフリカ文学の在り方
黒人と白人の関係っていうのは今後も一生注目され続けるもので、こういった文学はその関係における事実とか考え方を継承するひとつの大切なもの投稿日:2021.01.06
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・今なら優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。