ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
高野誠鮮(著)
/講談社+α新書
作品情報
2015年7月スタート! TBS系 日曜よる9時 日曜劇場 「ナポレオンの村」出演:唐沢寿明 麻生久美子 山本耕史 ムロツヨシ イッセー尾形 沢村一樹 TVドラマ原案本、大幅加筆で新章追加、待望の新書化! 石川県羽咋市の市役所職員・高野誠鮮氏は2005年、過疎高齢化で「限界集落」に陥った農村を含む神子原(みこはら)地区の再生プロジェクトに取り組み、それが大成功を収めるまでの紆余曲折とアイデア満載、感動的実行力のプロセスを克明に記す。高野氏は数々のユニークなアイデアを次々と繰り出し、そのアイデアを驚くべき行動力で実行していく。その結果、多くの若者を誘致し、農家の高収入化を達成! また、高野氏は神子原地区で収穫される農産物をブランド化するために、とてつもないことを思いつく。それは「ローマ法王に米を食べてもらう」という突拍子もないアイデア!ローマ法王庁から快諾の返事が来て、高野氏は自らバチカンに出向き神子原米を献上し、それを全国紙が取り上げた――。そして、役所には注文の電話が鳴りっぱなし……! 非常識と一般では思われてしまうかも知れないことを恐れることなくアイデアを自由に発想し、そして、それを躊躇なく、しかし確実に実行する、高野氏の仕事の流儀に大いに学ぶための、多くのヒントがちりばめられている一冊。
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この作品のレビュー
平均 4.4 (61件のレビュー)
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新しいことを始めるときには、アイディアを3つ。
スーパー公務員のドラマをみていたのですが、ドラマはやっぱり脚色されていますね。
この本は、もうちょっと現実的で真面目な内容でした。
限界集落に若者を呼ぶ
農作物のブランド化
この二点についてじっくりと…書いてありました。
もともとテレビの構成をされていた方なので、アイディアマンではあったのでしょうが、なにかをするとき、いつでも最低でも3つはアイディアを考えておく、というのがナルホドと思いました。
確かに○○がだめだったら××にしよう、と初めから考えてあれば、うまくいかない局面があっても、すぐ次に取りかかれますものね。
読んでいてためになりました。
続きを読む投稿日:2015.10.05
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公務員のヴェンチャー起業物語
石川県羽咋市と言えば千里浜なぎさドライブウェイ。この本で紹介されているコスモアイル羽咋には月の石やルナ/マーズ・ローバーが展示されていてそれも100年間無償だそうだ。ヴォストーク帰還船の実物やシールド…は本物のアポロ指令船もある。行けばよかった。
このコスモアイルを立ち上げたのが今ではスーパー公務員とまで呼ばれるようになった高野誠鮮師。師と言うのは公務員でありながら日蓮宗で代々続く本證山妙法寺の第41代住職でもあるからだ。
羽咋市のHP@H24とこの本によると以下の様な限界集落だった
農地面積2320ha(神子原には110haの棚田、耕作放棄地46ha@H17)、人口23412人、8501世帯(神子原では昭和59年度には196世帯832人いた人口がH16年12月末には169世帯527人、そしてH24は110世帯323人)そして農業人口541人@H24、そして高野氏が訪問直後の平均年収は87万円・・・
平成13年冬「おまえみたいなヤツは、農林課に飛ばしてやる!」と上司に飛ばされたことがきっかけ。それもコスモアイルで使うために買ったUFOという800ドルの番組を800万円と上司が誤解したから。農林課の仕事で神子原村へ行ったのも補助金の説明でそこで村人達に言われた言葉が「わしら、この先5年は大丈夫だろうけど、そこから先はどうなるかわからんぞ。」
高野氏が「過疎高齢化した集落の活性化」をマニュフェストにして当選した新市長の元で目指したのが若者が出て行かない街づくりで①流通を変え農家が直接販売して利益を得る。②農作物のブランド化③雇用の創出(直売所、加工所など)が具体的なプランだったがここまではよくある話だろう。どうやって成功したかがこの話のポイントだ。
市長肝いりの事業の予算はわずか60万円。これでコンサルに頼みイベントをやるという道は無くなる。いかに自分で工夫するかをスタートにした。そしてこれがヴェンチャーだと言えるのは会議をやめ、企画書をやめ、すべて事後報告にしたこと。当然反対はあるが上司のバックアップと低予算を理由に押し通す。この後はかなり行き当たりばったりだが予算が少ないと言うことはこけても失敗が少ないし、簡単にすぐ始められることから始めたのも成功の要因だろう。小さく賭けてたくさん失敗し学習する。まあガバナンスの問題もあるから結果オーライではあるのだが。
最初のプロジェクトは空き家、空き農地の貸し出しで村の人は当然よそものを嫌がる。ほっとけば無くなる村でも心情的には受け入れがたい。問題になったのは空き家と言っても仏壇がある。そこをなんとかしたのは寺に生まれた物の知恵だった。仏壇から抜魂し位牌に移すというウルトラC。そんな方法があるのか?だがあるようだ。村人も納得した。しかも入村者選びは村人の好き嫌いに任せてしまう。お金を用意してあげるからどうか来てくださいではない。お客さんは要らない、どうしても来たければ入れてやってもいいとかなり上からだが仲間になれば歓迎するのも田舎ならではか。
都市住民との交流では烏帽子親農家制度といい仮の親子関係になって都会の若者に各家庭で泊まり込みで農業体験をしてもらう。最初に呼んだのがお酒が飲める女子大生。朝から農業で夜は宴会、しかも女の子は酒が強い。にぎやかな家には他の客も来て楽しんでいく。
本題のローマ法王にどうやって米を食べさせたかというと実は手紙だった。この手紙作戦はコスモアイルから使っていて、意外と外国人相手には効果がある。何よりそんなの無駄といわずにやってみたのが功を奏した。一方で科学的な取り組みも進めている。神子原の米はうまいというのが評判だったがタンパク質の含有率を人工衛星を使って調べる方法があるのだ。しかも意外と安い。(ヘリを飛ばすより安い)ついでにこの衛生写真を羽咋市役所がビジネスとして受けている。宣伝はもっぱらマスコミを上手く利用しており、それも最初は神子原にはUFO基地があるというほぼトンデモなところから、しかもこれを特ダネがあると週プレをつりあげた。乗る方も乗る方だ。
http://www.mlit.go.jp/common/000148780.pdf
高野氏の講演要旨がこのリンクにあるが、鍵は低予算と何にでも反対する人をどうコントロールしたかだったようだ。続きを読む投稿日:2020.05.30
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