NHK 新版-危機に立つ公共放送
松田浩(著)
/岩波新書
作品情報
創設以来最大の危機に直面しているNHK.現政権に「乗っ取られている」と危惧する著者が,公共放送の役割を根本から見つめ直す.権力による不当な支配をはね返して,現状を打開していくためには,いま何が必要なのか.密着取材歴35年,NHK研究第一人者が,克服すべきすべての課題に鋭くメスを入れる.定評ある前著を全面改訂して問いかける緊急提言.
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商品情報
- シリーズ
- NHK 新版-危機に立つ公共放送
- 著者
- 松田浩
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2014.12.19
- Reader Store発売日
- 2015.02.19
- ファイルサイズ
- 0.9MB
- ページ数
- 272ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (4件のレビュー)
-
公共放送の役割とは
言論・表現の自由と言っても、雑誌や新聞などのメディアと、放送メディアは少し違った位置づけである。
それは、電波の周波数が有限かつ希少であるため、
一定の手続きによって公正な利用が求められ、”交通整理”…が必要とされてきたからである。
NHKがモデルとしたイギリスBBCは電波の公正な利用とは「権力監視」であると考えている。
BBC元会長、グレッグ・ダイクはこのように語る。
「公共放送にとって重要なのは政治家を監視することだ。
党派に関係なく公正、公平に全ての政治家を監視すべきだが、
特に権力の大きい政府の監視はより大切だ。
そのために公共放送は政府から独立していなければならない」
三権分立に加え、権力監視装置としてのメディアが存在することで、
国家に健全な自浄作用を与えるというのは、BBCに限らず、
ジャーナリズムの根本である。
何故権力を監視しなければいけないのかは、それこそ啓蒙思想くらいにさかのぼって説明しなければならないので割愛するが、
少なくとも近代民主主義というのは、権力を分散し、監視することで成り立っている。
では、NHKはどうなのか、ということである。
著者を改訂版執筆に駆り立てた直接の動機は安倍政権のNHKへの過剰な介入である。
安倍首相の考えに賛同する人々で固めた人事は、「権力監視」とはほど遠いものである。
しかし、本書を読んでいくと、そうなりうる可能性は、NHK創立の1925年から、また、
戦後のNHK再編の頃から、体質として、構造として存在していたことがわかる。
「放送は、公共性の立場から政府の政策を徹底させることに協力するものであるが、
編集権は協会に属するものとする」(1959年「日本放送協会国内番組基準」)
というものがあった。
その後、「政府の政策を徹底させる」の部分は削除されたが、
依然として「権力監視」のために独立した機関となることはなかった。
世界には「政府の政策を徹底させる」ために貴重な周波数を使う国も存在する。
北朝鮮の朝鮮国営通信などがそうであろう。
しかし、そのようなメディアが国民に何か利益をもたらしているだろうか。
健全な国家運営に寄与しているだろうか。
この新版はほぼ全面的に書き換えたらしいが、第三章「NHKの体質はどのように培われたか」の部分は初版(2005年)の加筆である。
新書とはすぐに「古くなる」ものであるが、結局のところ、
ここで指摘している「NHKの体質」が現在の事態を生み出しているのであり、
全く「古くなっていない」ように感じる。
ただ、一つ引っかかったのは、BBCをあまりに理想化していないか、という点である。
BBCも理念通りに動いているわけではなく、
「権力監視」よりも「政策の徹底」に傾斜していることもある。
特に中東関係の問題ではそうだろう。
BBCが大々的に「NHKの危機」を報道した(2014年3月)ことこそ、
BBCを始め、多くの公共放送がNHKと同じ危機に直面していると感じている証左ではないかと思う。
本書で語られているNHK職員たちの、ジャーナリズムの使命と国家権力の狭間で葛藤する姿は、
おそらく、米国CNN,英国BBC,韓国KBSなど、「NHKとは違って国家権力から独立している」
(=独立放送規制機構を持っている)はずの放送局の職員の姿なのではないか、と思う。
よって、著者の結論であるBBCとNHKの決定的な違い、という部分には賛同しかねる。
本文を読んで著者とは違う結論に行きついてしまったが、
「公共」とは何か、という問題について考えさせられ、有意義であった。
続きを読む投稿日:2015.02.19
-
改めて公共放送としてのNHKについていい勉強になる一冊でした。すべてを鵜呑みにするわけではないのですが、やはり改革が必要なんでしょうね。
投稿日:2018.04.04
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