儲かる農業論 エネルギー兼業農家のすすめ
金子勝(著)
,武本俊彦(著)
/集英社新書
作品情報
「儲からない産業」と言われる農業。そこに追い討ちをかけるTPP。これに対抗するためには大規模集約化するしかないと思われているが、実は、小規模の兼業農業こそ生き残る可能性が高い。そう断言するのは、経済学者・金子勝と、食と農の政策アナリスト・武本俊彦。それぞれの専門を活かして、「儲かる産業」としての農業のあり方を提言する。そのカギとなるのは、農家が小規模の発電所を経営する“エネルギー兼業”というウルトラCである。すでに試みられつつある各地の事例を挙げながら、食料自給率の低下や地方の荒廃まで一気に解決する道筋を探る。農業関係者だけでなく、食やエネルギー問題に関心のあるすべての人に贈る必読の書!【目次】はじめに/第一章 食卓と農が崩壊する時/第二章 新しい兼業スタイルへ/第三章 日本の再生可能エネルギーと農村・農業/第四章 農村のエネルギー転換と課題/第五章 「地域分散・ネットワーク型」社会に向かって/おわりに
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商品情報
- シリーズ
- 儲かる農業論 エネルギー兼業農家のすすめ
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2014.10.22
- Reader Store発売日
- 2015.01.30
- ファイルサイズ
- 0.9MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (4件のレビュー)
-
○経済学者の金子氏と元農水官僚で民主党のブレーンでもあった武本氏の作品。
○現在の農業・農村政策への批判と、新たな農業(兼業農業)としてのエネルギー兼業の提案を行っている。
○現在の農業の衰退や兼業農…家否定への対案、大規模専業中心主義への批判などは、一部理に適っている部分もあるが、再生可能エネルギーを一方的に推奨するのは、やややりすぎな印象。
○FITは、あくまでも一時的な政策に過ぎないので、それを前提として地域を支えるというのは、ちょっと安易。続きを読む投稿日:2015.02.02
専業農家ではなく、兼業農家を目指そう。それも、エネルギー業と兼業する「エネルギー兼業農家」となることで、利益を出そうという主張の本。
工場の期間工など、お金が地域外に流れるものや、農業との相乗効果が…期待できない兼業ではなく、エネルギー業と兼業することで、お金を地域で循環できるようになり、地域コミュニティの活性化にもつながり、農業にも相乗効果が期待できるようになる。
確かに、農業という季節や年により不安定な収入に、エネルギー収入という安定的なベース収入を兼ねることで、ポートフォリオが格段によくなる。
ただし、本書でも以下のように触れているように、誰がエネルギー兼業化を推し進めるのかという問題がある。
「しかし、6次産業化にせよエネルギー兼業にせよ、個別の農家がやるには負担が大きく、地域ぐるみでないとうまくいかない面もあります。その意味では、農協や農協系金融機関、地域の市民ファンドや地域金融機関の役割が大きくなります。」
個人の農家では限界があるし、効率もよくない。そうなると、ある程度の規模のある農業法人か、個別の農協等が推進していくということになる。
となると、それはもはや農家の兼業を推進するのではなく、農家の集約化、企業化を推進すべきという話になってくる。
本書でも認めているが、ある程度の農地の大規模化、集約化、集積は必要である。
ただし、そもそも日本の国土は狭く、アメリカ並みの大規模化は図りようもないため、中規模へ集約化し、中規模の農地に合った生産方法を取っていく必要がある。
本書の前提として、個人経営の農家ではなく、集約された農家集団として、エネルギーなど農業以外の他産業も手がけるべきではないかといった議論があったほうがよかったように思う。
また、農家の集約化ということであれば、ひとつの方法として、農協の活用も有効だと思う。
近年、JAが何かと叩かれているが、JAにもメリット・デメリットはある。
メリットを生かしつつ、デメリットとなってしまっている部分を削減していくことで、エネルギー兼業農家や、六次産業化を推進するための中心となれるのではないかと思う。
何といっても、農協は、既に複数農家を取りまとめて、地域のハブとなっていることも多い。
新規にゼロからコミュニティを作ることは非常に難しいが、既にあるものを利活用することで、コミュニティの形成が比較的容易にできるケースも多いのではないかと考えている。
農業、食、エネルギー等、日本が抱える様々な問題に興味がある人におすすめの一冊。続きを読む投稿日:2014.11.15
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