翔ぶが如く(四)
司馬遼太郎(著)
/文春文庫
作品情報
西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如佐賀で叛旗をひるがえした。この乱に素早く対処した大久保は、首謀者の江藤を梟首に処すという苛酷な措置で決着をつける。これは、政府に背をむけて隠然たる勢力を養い、独立国の様相を呈し始めている薩摩への、警告、あるいは挑戦であったのだろうか。
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商品情報
- シリーズ
- 翔ぶが如く
- 著者
- 司馬遼太郎
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2002.03.10
- Reader Store発売日
- 2014.12.12
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 331ページ
- シリーズ情報
- 既刊10巻
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この作品のレビュー
平均 3.7 (44件のレビュー)
-
【感想】
「竜馬がゆく」とは大きく異なり、現世に近いドロドロとした人間関係がエグイ・・・
大久保と西郷、2人とも日本の将来を展望していると言う意味では同じ立場かつ同じ目線なのだろうが、
それぞれの立場…やわだかまりがズレを生じさせつつ、それが日本全体に波及していっている。
いくら影響力がある者同士とはいえ、国家を揺るがすくらいの問題になるのが今では考えられないなぁ。
とは言え、今は爆発寸前で一点の揺らぎもない状態で物語は進んでいる。
たまに突き合いがある程度でハラハラする事もなく、少々読んでて退屈になってきた。
【あらすじ】
西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如佐賀で叛旗をひるがえした。
この乱に素早く対処した大久保は首謀者の江藤を梟首に処すという実に苛酷な措置で決着をつける。
これは、政府に背をむけて、隠然たる勢力を養い、独立国の様相を呈し始めている薩摩への、警告、あるいは挑戦であったであろうか
【内容まとめ】
1.征韓論の衝突は、西郷・大久保という両大関の衝突
2.大久保だから、行き詰まらずに彼流儀の日本国を作り上げるかもしれない。
その時はその時で、自分は故山で朽ち果てるだけのことだ。
西郷は気長に物事を見ていた。
3.征韓論は、所詮近衛軍人や士族たちの憤りのはけぐち
西郷としては、これ以上抑え続ける自信がなかった。その征韓論を、大久保が蹴った。
【引用】
p12
「思うて一なれば敵なし。」
若い者に、自分は何事かをしようと思うがどう心がければいいかと問われ、西郷が答えた言葉。
卵を抱いているメンドリの心境。
どんなにうまそうな餌を近づけても、また脅しても、メンドリは見向きもしなければ逃げもしない。
また猫がねずみを狙う境地も似たようなもの。
元来、猫というのは物事に過敏な動物なのだが、ひとたびねずみを狙う時は恐れもせず他を振り返ろうともしない。
p21
西郷の思惑
10年もすれば、大久保のあの専制的なやり方は行き詰まる。
そのとき東京から自分を呼びに来るだろう。
しかし一面、大久保ほどの男のことだから、行き詰まらずに彼流儀の日本国を作り上げるかもしれない。
その時はその時で、自分は故山で朽ち果てるだけのことだ。
気の長い政略計算があっただけに、佐賀士族がこぞって乱を起こした時に、「しまった」と失落感があったと思える。
p82
西郷と薩摩人という存在がなければ、江藤は死刑にもならず、まして「晒し首」されなかったに違いない。
p171
「海老原に聞けばどうか?」
と、高橋がいうと、村田は一笑に付した。
「そういう人間に聞いたところで仕方がない。」
物事というのは、人間の料簡によって見方が違うのだ。
海老原ごとき小器量の人物に聞いたところで何になろう?
「征韓論の衝突は、西郷・大久保という両大関の衝突である。」
p185
東京政権が確立したのは、廃藩置県のおかげである。
それを可能にしたのは薩摩系近衛軍人で、彼らは政府に騙されたとはいえ、その功績は大きかった。
しかし彼らはことごとく政府に対して激怒している。
大久保は、性格上それに対して冷然としている。
西郷はその大久保の態度に、配下の近衛軍人と同様、憤りを覚えただろう。
その西郷が、近衛軍人や士族たちの憤りを他に向ける為に征韓論を持ち出した。
西郷としては、これ以上抑え続ける自信がなかった。
その征韓論を、大久保が蹴った。続きを読む投稿日:2018.06.11
維新達成後、有り余った武士(すでに元武士)エネルギーの発散と、廃藩置県による階級廃止及び、徴兵制度への不満解消は、重要な内治問題だった。そこで西郷は征韓論を発案し、大久保は征台策を発案した252
投稿日:2023.11.04
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