なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略
冨山和彦(著)
/PHP新書
作品情報
グローバルとローカルの経済圏を区別せずにその施策を考えていたため、格差問題が生じ、日本経済は停滞してしまっていた。グローバル企業がいくら稼いでも、日本経済全体の占有率は3割にすぎない。雇用にいたっては、2割程度である。残り7割のローカル経済圏が復活してこそ、初めて成長軌道に乗ることができる。内容例を挙げると、「GとL」を理解すれば格差問題の実相も見えてくる 日本のグローバルプレーヤーが長期的に後退してきた本当の理由 大企業と中小企業ではなくグローバルとローカルで分ける ほとんどの産業がローカル経済圏のプレーヤー 「コト」消費の時代の到来で「GもLも」戦略に追い風が吹き始めた等々そして、今、労働市場で人類史上発の巨大なパラダイムシフトが起きている、と著者は主張する。GDPや企業の売上が緩やかに減少していく中で、極度の人手不足が起こっているのだ。日本経済復活へのシナリオを明らかにする一冊。
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商品情報
- 著者
- 冨山和彦
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2014.06.13
- Reader Store発売日
- 2014.10.24
- ファイルサイズ
- 15.7MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (80件のレビュー)
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日本経済を考えるためのGとLというフレームワーク
本書は、これからの日本経済を考えるためのフレームワークを提示した本です。
そのフレームワークは、GとL。
Gはグローバル経済圏を意味し、例えば自動車や電機産業など、グローバルな市場で活動する経済の…ことを指します。
一方、Lはローカル経済圏を意味し、例えば公共交通機関や飲食店、宿泊業等のサービス業などの、ローカルな市場で活動する経済を指します。
本書では、GとLは別の経済特性を持ったものだと認識し、それぞれに合った経済政策や戦略を考えることが重要だとし、Gの世界では資本生産性を上げる施策、Lの世界では労働生産性を上げる施策を提案しています。
GとLの考えに至る著者の問題意識は、それまでの日本の経済政策の論争が、競争を重視した新自由主義か、平等を重視した社会民主主義かの二項対立が、
『現実の経済社会で起こっている姿をまったく無視した、抽象化されたベースで議論しているだけではないのか』
というところにあります。
経済は競争も重要だけど、その結果格差が生まれては問題なので、その意味で平等も重要、ということをどう整理して考えればいいのかと思っていたので、GとLという視点の整理は、非常に分かりやすく理解の助けになりました。
今後の日本経済を考えるために有用なフレームワークだと思います。
以下は余談ですが、私が本書を読もうと思ったのは、2014年10月7日の文部科学省の有識者会議(※1)での冨山和彦氏の報告(※2)に興味をもったからです。
その報告では、これからの大学では、例えば、シェークスピアや経済理論ではなく、説明力や会計ソフトの使い方を教えるなど、「学問」よりも「実践力」を教えることが重要とされていました。
この主張に、非常に違和感を持ったのですが、本書を読んでその背景と主張の意図が理解出来ました。
※1「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」
※2「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」
続きを読む投稿日:2015.01.24
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「GかLか」ではなく「GもLも」
著者の経歴から説明すると、経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO、オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役などを現在務め、カネボウ、ダイエーなどの企業再生を行ってきた人物である。
現在、どの企業もグロー…バル化を掲げ、企業の生きる道はグローバルしかないという考えが多くの人にあるがそうではない。
日常で利用するサービス(交通機関や飲食、小売りなど)の多くがグローバルとは関係のない(国内でほぼ完結している)世界で動いている。
このようにグローバル(G)とローカル(L)で経済圏を分け、現代の問題点や課題、解決策を見ていくという内容である。
Gの世界(グローバル経済圏)での企業はその分野のトップ(オリンピックメダリスト)を目指さなくては勝てない。
これは、競争の激しい産業領域のため、トップ以外は淘汰されるためである。
日本の企業がトップを維持できるようにするためには規制を緩和し、「ガラパゴス化」せずに世界展開できるようにする必要がある。
Lの世界(ローカル経済圏)での企業はトップを目指す必要はなく、県大会上位を目指すイメージで生産性を高める必要がある。
なぜなら、日本の非製造業の生産性は先進国でも低いからである(製造業に関しては世界でもトップレベルである)。
これは、競争の激しくない非製造業では淘汰が起こりにくく、生産性の低い会社も生き残ってしまっているからだ。
本書では図が多く載っており、その図を見るだけで何が問題なのかすぐにわかる。
データの出所も書かれているので自分で確認し、それに付随する情報を得ることもできる。
筆者は「GかLか」の二者択一ではなくGはGとして、LはLとして、それぞれ最適な政策があり、それは別々に成長することができる
どちらしか生きる道はないということではないことを言っている。
また、GとLには優越はなく、完全にGとLで分けられるものではないので、GとLをそれぞれ使いこなし、選択することが大切である。続きを読む投稿日:2017.04.08
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