門
夏目漱石(著)
/角川文庫
作品情報
ひとりの人間の犠牲において成立した宗助とお米の愛の勝利は、やがて罪の苦しみにおそわれる。「人間の心の奥底には結核性の恐ろしいものがひそんでいる」という。ついに宗助は禅寺の山門をたたくが、安心と悟りは容易に得られない。そこに真の意味の求道者としての人間漱石の面目があった。明治43年の作品。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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この作品のレビュー
平均 3.1 (9件のレビュー)
-
略奪愛をテーマにした作品だったが、最後まで自分とはテーマが合わなかった。表現技法などには共感する部分も多々あったが、二人の関係性や心情など理解ができない部分もあった。
投稿日:2021.11.13
このレビューはネタバレを含みます
前期三部作、三作目…
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三四郎、それからと大きく違うのは、最初から夫婦である、と言う点である。
ただ、略奪愛という面では、それからの流れを汲んでいる。
弟の進学問題など色々ありながらも、二人で慎ましく…と暮らす夫婦。彼らには"罪"があり、あることがきっかけで夫は禅に救いを求めるが、結局上手くいかずに戻ってくる。そして…という。
夫婦の日常生活の描写がとても綺麗だなと思った。
ただ単に、仕事に行ったり食事をしたりとか、その辺をぶらぶらしたりとか、ありがちな生活を送っているだけなのだが…。
多分だけど、夫は元々、禅とかそういうのは興味がなかったんだと思う。
だけど、自分が親友の妻を略奪して結婚し、その親友の行方は知れず。でも、隣人から久しぶりに、かつての友人の名前を聞き、怖くなったんだろうね。
だけど、友人の名前を聞いたことを妻にも誰にも言えず、何かに縋りたかった。それが禅だったんだろう。
こういうのって、誰にでもあると思う…。私にもある。だから、この点は夫にちょっと親近感を覚えた。
最後の方で「鶯が鳴いているのを聞いたと誰かが言っていたよ」と弟と妻が話していて、妻が「もう春の兆しが来ているのね」と喜んでいたが、友人の件もあり、でもすぐに冬が来る…なんて言う。不穏な終わり方。
彼は、この先も不安から逃れることが出来ないんだろうな。
続きを読む投稿日:2021.01.16
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