この作品のレビュー
平均 3.4 (15件のレビュー)
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「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共著の長篇ミステリー作品『刑事マルティン・ベック ロセアンナ(原題:Roseanna)』を読みました。
「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共…著は、昨年6月に読んだ『刑事マルティン・ベック 笑う警官』以来なので、ほぼ1年振りですね。
-----story-------------
バルト海近くの運河で見つかった遺体。
背景にあるのは性暴力か--。
ボーレンスフルトの閘門で、全裸女性の絞殺死体が見つかった。
身元不明の遺体には誰からの問い合わせもなく、事件は膠着状態に陥ったかに見えた時、アメリカの警察から一通の電報が届いた。
「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。
「ロセアンナ・マッグロー」、27歳。
この知らせをきっかけに、刑事「マルティン・ベック」は、「ロセアンナ」と関係をもった男達についての証言を探ってゆくが―。
警察小説の金字塔シリーズ・第一作。
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「ヴィヴェカ・ステン」、「カミラ・レックバリ」、「オーサ・ラーソン」、「アンデシュ デ・ラ・モッツ」に続きスウェーデン作家の作品… 北欧ミステリが続いています。
以前読んだ『刑事マルティン・ベック 笑う警官』は、スウェーデンの警察小説「マルティン・ベックシリーズ」の第4作(1968年)でしたが、、、
本作品は1965年に発表された「マルティン・ベックシリーズ」の記念すべき第1作です… 携帯電話がなく公衆電話が使われていたり、ICレコーダではなくカセットテープが使われていたりという違いはありますが、内容は古びてなく、骨太の警察小説を愉しめる一冊でしたね。
1964年7月8日、エステルイェータランド県モータラのボーレンスフルト閘門(こうもん:水位に高低差がある水路を運行するために船を昇降させる装置・水門)で作業中の浚渫船が女性の死体をボーレン湖中から引き上げた… 地元のモータラ署は「グンナル・アールベリ警部」の担当で捜査を開始、、、
司法解剖の結果、性的暴行を受けた後に絞殺されたことは判明したが被害者の身元は不明のまま捜査は行き詰まり本庁の応援を仰ぐことに… ストックホルムから「マルティン・ベック」とその部下達がモータラに集まり捜査を開始したが、現地ではめぼしい進展が無く捜査陣はいったん散開した。
9月29日、アメリカ合衆国の大使館経由でネブラスカ州の警察から失踪者の照会がベックの元に届いた… 確認すると被害者はリンカーンの図書館に勤務する司書の「ロセアンナ・マッグロー」であることが判明、、、
同じ頃、「アールベリ」から事件発生と同時期に現場付近を通常のスケジュールとは異なる時間帯に通過した遊覧船があったという情報が入った… 船客名簿を確認すると被害者の名前があり、被害者は船上から投げ落とされたと推測された。
船客への聞き込みを進めるうちに捜査線上に1人の不審な人物が浮かび上がり事情聴取も行ったが、決め手となる証拠を見つけることはできなかった… そこで「ベック」らは通常とは異なる捜査手法(女性警察官を使った囮捜査)を試してみることにした、、、
容疑者は、なかなか罠にかからず作戦は難航… 焦燥感が募る中、事件は急激な進展を見せ、囮となった女性警察官が危機に陥る事態に!
奇想天外なトリックはなく、天才的な刑事や探偵も登場せず、捜査は行き詰まり足踏み状態が続く… 被害者の身元が判明するまに3ヵ月近くかかり、その後も警察の地道で辛抱強い捜査が続き、事件解明までに半年以上も要する、、、
刑事たちはヒーローとは程遠い存在で、家族との関係も良好とは言えず、地下鉄で気分が悪くなり、胃の調子が悪く食事もろくに摂れない… それでも、独特の魅力があり、最後まで集中して読める作品でしたね。
登場する人物がフツーの人で、身近にいても違和感のない存在だから、感情移入して読めることが魅力のひとつなんでしょうね。
『刑事マルティン・ベック 笑う警官』よりも、本作の方が面白くて印象的でした、、、
新訳により邦題が『ロゼアンナ』から『ロセアンナ』に変更になったそうです… スウェーデン語にはザジズゼゾの濁音がなく、言語に忠実にしたんだそうです。
以下、主な登場人物です。
「マルティン・ベック」
スウェーデン警察本庁刑事殺人課犯罪捜査官
「レンナート・コルベリ」
同刑事殺人課捜査官
「フレドリック・メランダー」
同刑事殺人課捜査官
「オーケ・ステンストルム」
同刑事殺人課捜査官
「エルマー・B・カフカ」
ネブラスカ州リンカーン市警察殺人課捜査官
「ハンマル」
スウェーデン警察本庁刑事殺人課警部
「グンナル・アールベリ」
モーターラ警察署捜査官
「ラーソン」
モーターラ警察署警部
「ウステルユートランド県警察本部長」
「ロセアンナ・マッグロー」
被害者
「ソニア・ハンソン」
巡査続きを読む投稿日:2022.09.24
刑事マルティン・ベックシリーズ、第一作目。運河の閘門で女性の遺体が見つかった。全く手がかりの無いところから、ベックと同僚たちの、地味な捜査が始まる。疲労困憊しながらも犯人を追う姿が感動的でさえある。6…0年代の時代背景を感じながらも、色褪せないストーリー展開である。続きを読む
投稿日:2023.11.04
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