ウルトラマンがいた時代
小谷野敦(著)
/ベスト新書
作品情報
ウルトラマンシリーズの中で、最も世相を映していた『帰ってきたウルトラマン』を中心に特撮、怪獣、ヒーローものを精査し、高度成長から停滞期へと入って行った昭和40年代以降の意味を考える異色の文化論。<目次>序章 ウルトラマンがいた時代 特撮ものとの再会 特撮・怪獣ものを観て育った我らの世代 『ウルトラセブン』の論じやすさ 一九七〇年を境に起きたアニメ・特撮ものの変化 あえて私流に時代に沈潜して第1章 怪獣前史 最初の怪獣映画『ゴジラ』 『ウルトラQ』シリーズとして始まった『ウルトラマン』 「ウルトラ口」の起源 必殺技の名称をめぐる謎 単体の作品をシリーズ化していく際の辻褄合わせ 『キャプテンウルトラ』の記憶 各社が競って怪獣映画 テレビの怪獣空位時代 少年主人公から青年主人公へ スポ根・難病ものの根源にあった暗さ第2章 一九七〇年の暗さ なくなった怪獣もの 『ウルトラセブン』の第十二話封印事件 レトルトカレーの思い出 『ネコジャラ市の11人』と即席めん 「ウルトラマンが帰ってくる」と知った頃 初めは異様に暗かった『仮面ライダー』 漫画家がテレビ番組の原作に駆り出された時代 「おやじ」的だった初代『ウルトラマン』 ナレーションが独特だった『セブン』 シナリオが真面目だった『帰ってきたウルトラマン』 怪獣デザインは動物モデルに妙味 名曲「夕日に立つウルトラマン」と「ウルトラ警備隊の歌」 メカや隊員服は『ウルトラセブン』が群を抜いていた 同時代の漫画・アニメ・特撮ものの暗さと下品 当時の流行歌の性的な含意がわからなかった 怪獣ショーの思い出 主題歌をめぐる記憶と実存的恐怖 「ウルトラセブン参上!」の回第3章 怪獣使いと少年 一九七一年十月二日――ある疎外の記憶 十一月十三日――もう一つの暗い記憶 市川森一の優れた脚本「悪魔と天使の間に・・・」 最高傑作「怪獣使いと少年」 『ミラーマン』の裏番組だった『シルバー仮面』 「悲しい作品」と呼ばれた『ミラーマン』 『仮面ライダー』の悪者「幹部」たち 後半の山「ウルトラマン夕陽に死す」第4章 一九七二年 新鮮だった『タイムトラベラー』 横井庄一軍曹とあさま山荘事件 意外とあっさり終った最終回「ウルトラ5つの誓い」 『ウルトラマンA』以後は「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」終章 ウルトラマン、再び 日本が自信を失っていた時代 特撮ものを道徳で論じることへの異論 ウルトラマンとの再会特撮もの年表あとがき
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商品情報
- シリーズ
- ウルトラマンがいた時代
- 著者
- 小谷野敦
- 出版社
- ベストセラーズ
- 掲載誌・レーベル
- ベスト新書
- 書籍発売日
- 2013.04.08
- Reader Store発売日
- 2014.09.26
- ファイルサイズ
- 1.6MB
- ページ数
- 209ページ
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この作品のレビュー
平均 2.3 (7件のレビュー)
-
わたくしも世間の大勢に倣つて、本はネットで買ふ事が多いのですが、たまにはリアル大型書店に行かねばとも思つてゐます。先達て立ち寄つた書店では、ベスト新書を全点(まあ、若干の切れはあるでせうが)揃へてゐま…した。稀有な品揃へ。
早速『ウルトラマンがいた時代』を見つけ、ほほう、こんな本があつたのかと手に取り、レヂへ向かひました。どこからか、これは小谷野敦氏の著書だぞ、良いのか?との声も聞こえてきましたが、何せウルトラ好きなので購買してしまつた。いつぞやは、『ウルトラマンのすすめ』といふ本をよく確認もせずにレヂへ持つて行き、清算の直前で、改めて見たら実は『ウルトラマラソンのすすめ』であつたことに気付き、書棚へ回れ右したこともあります。
で、本書ですが、ウルトラのファンにはまことに評判が悪いやうです。事実誤認とかが多く、後日版元から正誤表が発行されるといふ事態になつたさうです。わたくしが購買したものは版を重ねたものだつたので、概ね誤りは修正されてゐたやうですが、それでも小林夕岐子さんがキラアク星人を演じたことになつてゐるなど、完全ではないみたいです。
また、特撮物出身で、のちに一般俳優としても出世したのは「藤岡弘・柴俊夫・篠田三郎」くらゐだといふのはどうか。今ふつと思ひついただけでも、長谷川初範・村上弘明・オダギリジョーといつた人の名が浮かびますが。
まあ、ネガチブな話はそのくらゐにしませう。本書は、著者小谷野氏の「特撮派宣言」といふことで、堅苦しい「論」は封印して雑談ふうに自身と特撮の関りを語つてゐます。しかも新マンとその時代を大きく扱つてゐるのがいい。なぜかといふと、わたくしが初めて(再放送ではなく)リアルタイムで観たウルトラマンが「新マン」だつたのです。ちなみに新マンを「ジャック」などと呼称して違和感を抱かぬ人とは、あまり近づきにはなりたくありませんな。ああ、元元お呼びではないですか。さうですか。
無論色々と意見の違ふところはありますが、それは当然と申せませう。丁度旧友と再会して、酒宴をしながら幼い頃のヒーロー談義を楽しむのと同種の愉悦があります。「いや、違ふ違ふ違ふ、君、それは違ふぞ」などと口角泡を飛ばしたりして。実際にわたくしが特撮を語れば、とても一晩では足りませんがね。
あまり細かい所に拘泥せず、愉しんでは如何ですかな。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-673.html続きを読む投稿日:2016.12.01
間違いだらけの本。円谷プロが写真を提供しなかったというが、別な意味で正解だろう。
「岸田森と水沢アキがナックル星人に虐殺される」→水沢アキは榊原るみの間違い。後の方では直っている。
『円盤を見た…!』→『円盤が来た』
『第三惑星の悪夢』→『第四惑星の悪夢』
「ゴジラも、あれはジョンストン島という米領で、水爆実験のために小さな爬虫類が巨大化した」→ジョンストン島ではなくラゴス島。
「キラアク星人を演じた美女・小林夕岐子」→キラアク星人を演じたのは愛京子その他の女優。
「仮面ライダーに、人造人間になってしまった悲しみ」→仮面ライダーは改造人間。
「ツインテールは(中略)怪獣のデザインは、有名な成田亨だが」→デザインは池谷仙克。
「『ウルトラマン』のアントラーはカブトムシである」→クワガタムシ。
『帰ってきたウルトラマン』の歌詞を間違えて紹介し、それに突っ込みを入れるのは論外だと思う。
「クルマニクラスという怪獣が登場していた。(中略)目は自動車のヘッドライトで」→クルマニクラスの目は3色の信号機。
『故郷は地球』イデの台詞「偽善者はいつもこうだ」→「犠牲者はいつもこうだ」
『快傑!ライオン丸』→『快傑ライオン丸』
『風雲!ライオン丸』→『風雲ライオン丸』
ウルトラセブン最終回「隊員二人が宇宙人の捕虜となり」→捕虜になったのは一人だったと思う。
「『セブン』のアマギ隊員だった阿知波信介や、『ウルトラマンA』の南隊員の池田駿介も死んだ」→アマギではなくソガ隊員。『ウルトラマンA』ではなく『帰ってきたウルトラマン』
著者は自分が交通事故に遭った日、家族旅行に行った日など入念に調べているのだから、肝腎の特撮関連の情報は正確に記して頂きたかった。
同世代の食文化の受容など、面白く読めた部分もあるので☆三つ。 続きを読む投稿日:2022.11.16
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