悪いのは私じゃない症候群
香山リカ(著)
/ベスト新書
作品情報
メディアでは、何か事件が起きるたび、誰が悪かったのかと犯人探しが始まる。メディアだけではなく、社会のあちこちで「悪いのは××だ!」という声が以前にも増して聞こえてくる世の中になった。そして、誰もがその後こう付け加える----「悪いのは私じゃない」。でも、だれもが「悪いのは私じゃない」と主張して、他を罰してばかりいたら、社会はばらばらになり崩壊してしまう。いったい、私たちはどうしたらいいのだろうか?本書は、新型うつ病、モンスターペイシェント、アダチル、パワハラ、スピリチュアル・ブーム等々、医学・心理・社会・政治の多角的側面から、悪の原因特定に見られる、「悪いのは私じゃない」という他罰的傾向の淵源に迫る。《目次》プロローグ----他罰の時代がやって来た!第1章 学校が悪い! 学生のあいだで剽窃が横行 「学校が悪い、教員が悪い」 萎縮する教師、保身に走る学校第2章 医者が悪い! 「医者が悪い」というモンスターペイシェント "くずれる"医師と患者の関係 増える母娘共闘のプチモンスター第3章 職場が悪い! 労災認定されるうつ病が増加 ギスギスした職場 会社のトップに直接メールする社員 新型うつは他罰の巣窟第4章 家族の中の他罰主義 「子どもが悪い」と逆ギレする親 子どもは本来、自責感が強い 「親が悪い」と言う"子ども"----アダルト・チルドレン第5章 「前世が悪い」?のスピリチュアル・ブーム 「原因が"私"じゃないなら、薬は要りません」 「前世が悪い」 スピリチュアル的原因論の"功罪"第6章 科学の世界も「他罰のススメ」 かつて、自分を責めがちだったうつ病患者 「食べ物が悪い」 「脳の傷が悪い」 「遺伝子が悪い」第7章 「悪いのは私だ」の歴史 日本人は「自責な人」? 「悪いのは日本ではない」 負けないためには勝つ、もし勝てないならそれを誰かのせいにする第8章 ネットという他罰メディア スマイリーキクチ氏のブログ炎上事件 ゆがんだ平等主義といびつな正義感 他人にだけ道徳的な人たち第9章 他罰は自己責任論の裏返し イラク日本人人質事件 「自己責任」と「自業自得」 "自己責任"を回避するための"先制攻撃合戦" 悪いのは私じゃない症候群の元凶は、成果主義と新自由主義的競争エピローグ----悪いのは私じゃない症候群への処方箋 「ピンチはチャンス」の自己責任論より「ピンチはピンチ」の分かち合い精神を 「悪いのは私じゃない」----そう言わない勇気
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商品情報
- シリーズ
- 悪いのは私じゃない症候群
- 著者
- 香山リカ
- 出版社
- ベストセラーズ
- 掲載誌・レーベル
- ベスト新書
- 書籍発売日
- 2009.08.07
- Reader Store発売日
- 2014.09.26
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (27件のレビュー)
-
香山リカの本が好きなのは、わかりやすい文体とか、材料と説明のバランスがいいことにくわえ、その本に1カ所かそれ以上、実はものすごくちゃんと調べたり読んだりしたものの説明が入っていることだ。今回は信田さ…よ子のスピリチュアル・ブームの分析や、荻上チキのサイバーカスケードやネット言説についての分析がかなり丁寧に紹介されていた。日本人はウツ病でもないのにみな自責的に振る舞う、と言われていたのが崩れていることについて、なんだか崩れているよね、じゃなく、著者が実際に見聞きした事例も使って具体的に示され、ウツ病患者までがときに他責的になっている(新型ウツ病とか呼ばれることも)、昔はもっと「牧歌的」だったのに、と香山は言う。この「牧歌的」はたぶん、医者という立場から見たある種上から目線であって、患者や一般市民は判断の材料もなく自分で自分のことを決定するだけの権威も持っていなかった、そういうことなんだろうと思う。自責的なのがまずいのはDVサバイバーとか見れば明らかなんだが、でも「あなたが(全部)悪いのではない」というメッセージやさまざまな判断の材料、そして自己決定の権利が得られるようになったことと、「自分は(全部)悪くない」とだれもがいいつのる状態が社会現象化したことが一緒くた、というのは不幸なことだよなぁ。成果主義や新自由主義的競争が元凶と、香山さんは書いているが、ここがもう少しがっつり書いてあればなおいいんだが。そこが弱いので、結論の「私が悪くないと言わない勇気」が、「郵便ポストが赤いのも…」を弱者に言わせることにつながって行きかねないのがかなり残念。うーん、最後がなぁ。続きを読む
投稿日:2010.04.27
このレビューはネタバレを含みます
図書館で借りてきた。
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香山さん自身も言及されているように、この本の言いたいことは一言に収斂される。「悪いのは私じゃない症候群」で、得をする人は一人もいない、ということである。
最初の事例に登場…するサラリーマンのように(香山さんの事例に登場する患者さんが実在するのか、あるいは事実を踏まえて創作された架空のものなのかはわからない)、「悪いのは私じゃない」でその場を切り抜けたとしても、結局は自分で自分の首を締めてしまう。
だから、どこかの段階で勇気を持って、「悪いのは私じゃない」から飛び降りなければならないのだ。
この本は初版が2009年。10年以上経過し現在2021年だが、状況は悪化していると思う(憶測だが、コピペレポートは改善されたというか、そこまで横行してないのでは? と私は思っている。大学側も警戒するようになり、コピペをチェックするツールなども現在はあると聞く)。とくにSNS上の揶揄や罵詈雑言が著しい。皆、自分の立場をさておいて、別の立場をこき下ろすことに汲々としている。
だが、人間はそこまで単純ではなく、十把一絡げにしていいものでもないと私は思う。個人差の激しい多様化の今の時代ならばなおさらだと思う。
とりあえずアウトプットしたく、レビューを書き上げた。
続きを読む投稿日:2021.11.23
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