読めばすっきり!よくわかる日本外交史 弥生時代から21世紀まで
河合敦(著)
/角川SSC新書
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民意を重視するか、それとも、民意に反してでも国益を第一に考えるか。民意と国益のどちらを重視するかで、その後の国の進む道が変わってしまうのが外交政策といえる。日本の執政者たちは、その時代時代で民意と国益の間で揺れ動いてきた。民意に流され、大失態を演じたこともあるが、民意に惑わされず、しっかりと国益を守る決断をくだしたことも数多い。はたして先人たちは国益を守るために、どのように行動してきたのか。中国、韓国、ロシアとの領土問題や曲がり角に来ている日米同盟など、いま日本が抱える外交問題の本質が、通史で外交史を読むことできっと見えてくる! 日本外交のすべてがすっきりわかる歴史読本。
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この作品のレビュー
平均 3.0 (3件のレビュー)
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歴史に関する本を読んでいて面白いのは、ある事件はすべて繋がっているということです。
歴史の授業では、いわゆる重要とされている事件だけを年号をともに覚えていくので、それらの繋がりがわかりません。高校で…の日本史の授業を真面目に聞いていたら理解できていた可能性もありますが、私の場合は残念な生徒だったのかもしれません。
「歴史は繋がっている、面白い!」と気づかせてくれたのは、逆接の日本史シリーズでおなじみの井沢氏でした。それ以来、通史について書かれた本に興味を持っています。
ただ、井沢氏も指摘されているように、いわゆる専門家(大学で研究されている方)は、専門を極端に絞っているので「通史」のような本を書くのは難しいようです。
そのような環境にありながら、今回紹介するような本が徐々に現われてきていることは真に嬉しい限りです。今後もこのような本(あるテーマに絞って、古代から現代までを解説する)が出されるといいですね。
以下は気になったポイントです。
・後漢書の東夷伝には、57年に倭の奴国の王が都である洛陽に使者を送り、そして後漢の光武帝から「印綬」を与えられた、これは後漢に奴国が冊封されたことを意味する(p15)
・卑弥呼は239年に、難升米(なしめ)という重臣を魏に派遣し、明帝に謁見し、卑弥呼に「親魏倭王」という称号と、「金印紫綬」(金印と紫色の組み紐)を授けている。紫は上から3番目の色。(P16)
・当時、加耶では鉄が豊富にとれた、ヤマト政権はこの鉄資源を確保したり、進んだ半島の技術を獲得した(P19)
・607年にヤマト政権は小野妹子を隋へ遣わして「日出づるXXX」という有名な国書を煬帝に見せて怒らせたが、その対応は返書を答礼使とともに派遣してきた。隋は高句麗へ遠征するために、ヤマトとは良好な関係を結んでおこうとした(P27)
・遣隋使は600年から6回(614年が最終)、遣唐使(630-838までの15回)に引き継がれた(P31)
・遣唐使は「節刀授与」の儀に臨む、これは天皇自身が遣唐大使に刀を授けるもので、天皇から大権を委譲されたことを意味する(P34)
・白村江の戦い(663)で負け、665年には和睦が成立、中大兄皇子は大宰府を防衛するための城(水城、大野、基じょう城)をはじめ多くをつくった。都を飛鳥から大津へ移した(P41)
・10世紀後半になると、貿易の中心は大宰府から博多になる、北宋商人が日本人の妻を迎えて居住しはじめたから(P73)
・天皇でいる限りは貴族政治の先例主義に拘束されて、穢れたとされた異国人とは付き合えなかったが、皇位を譲って自由に政治をできるようにしたのが、院政という発明だったかもしれない(P79)
・足利義満時代の勘合貿易において、日本は中国の銅銭を貨幣として使用していた。朝貢という形をとっていたので、明が日本の朝貢品を高く買ってくれた。(P105)
・15世紀、オスマン帝国が大帝国になり地中海交易を支配するようになると、欧州の人達はオスマン帝国を介さずに必需品である胡椒などの香辛料を手に入れたいとした(P116)
・秀吉が宣教師などを長崎で公開処刑したのでスペインとの関係悪化、徳川家康は復活を望んだ。メキシコで生産されていた銀の採掘技術が欲しかった。(P143)
・プロテスタントの国のオランダ、イギリスでは、カトリックのポルトガル、スペインのように布教をしなくても貿易が可能であった(P148)
・1912年に尾崎行雄(東京市長)が3000本の桜の苗木を親善のしるしとしてワシントンに贈っている(P262)
2014年5月6日作成続きを読む投稿日:2014.05.06
古代から現代にかけての日本の外交と交易の歴史を一気通貫で書いた解説本。
外交と交易に絞って一気通貫に日本の歴史を解説、つまりは世界史と日本史の接続部分に絞って解説した、というコンセプトは良い本だと思う…。
この意味で、個人的に今まであまりカバーできていなかった、古代から中世の織豊時代の前までは面白かった。
ただし、マイナス点が2つある。
一つは、各時代の外交・交易に関係する歴史上の出来事を解説する際に、古い学説や俗説が結構目に付くこと。特に近現代は顕著であり、2010年代の歴史関係の書籍としては、かなりいただけない。
もう一つは、解説には必要のない、筆者の主観による現代政治批判と歴史上の人物・組織・政権非難が目に付くこと。非難の文量自体は多い訳ではないが、近現代では結構目立つ。続きを読む投稿日:2018.10.09
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