この作品のレビュー
平均 3.6 (26件のレビュー)
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『無印良品には「何となく」する作業はありません。すべての作業には目的や意味があります。作業を教える前に、まず作業の目的を教えるのがMUJIGRAMの特徴です。
「目的」を教えることは、無印良品の理念…や哲学を、現場の作業を通して教えることでもあります。一つひとつの作業を通して無印良品の考え方を教えるうちに、理念や哲学が体に染みこんでいく。そうやって無印生まれ・無印育ちの社員は育っていくのです。』
目的に対する考え方や取り組み方が徹底していて非常に勉強になった。考え方に中途半端なところがなくて感動。潔くて素晴らしい!続きを読む投稿日:2014.11.29
そして人間育成をするために必要なのが、「修羅場体験」です。
逆境こそ、もっとも人を成長させます。
少し泥臭い話のように感じるかもしれませんが、私だけではなく、多くの逆境を乗り越えてきたリーダーは…同じことを考えているはずです。
逆にいえば、ぬるま湯に成長する機会はありません。もしかしたら、会社にとって都合のよい“いいサラリーマン”は育つかもしれません。仕事を調整したり、現状を維持することに腐心したり、相手の“顔色をうかがうということに長けているような社員です。では、こうした社員が、会社を強くするかといえば、答えは明白です。
社員個人を強くするか、という問いについても同様です。ぬるま湯では、革新的なことを考える必要はない上、問題が起こった時に覚悟をもって突破する力は身につきません。
一方、無印良品ではこのような異動をしています。
・本人が希望している異動を尊重する
・三~五年で異動になるケースが多い
・販売部から商品を開発する部署に、販売部から物流担当に…という具合に、まったく違う部署に異動させるケースが多い
・年齢にとらわれずに若手にも重要ポジションを任せる
・困った部門にエースを投入
・部門長を新規分野に出す
・
上司の個人的な感情が影響しないような異動の体制を整えている (詳細は後述)
・懲罰的な異動はない。そもそも無印良品に閑職は存在しない
なぜ、無印良品ではこのような異動をしているのか。それは、異動で人材育成の八割が決まるからです。適材適所を実現させれば、社員は大きく成長できます。
一昔前は、「経理一筋三〇年」といった経歴が重んじられていましたが、今はそういう時代ではありません。ゼネラリスト(いろいろな分野の知識や能力を持っている人)を目指すべきかスペシャリスト(専門家)を目指すべきかという議論があります。
私が考えているのは両方です。スペシャリストでもありながら、ゼネラリストでもあります。ただし、浅く広く知識やスキルを持っている程度のゼネラリストでは通用しません。自分が本筋としてやれる仕事を二つぐらい持ち、それに関しては専門度を高めるのが理想的なゼネラリストです。
一つの分野の知識やスキルを深めるスペシャリストは、一見強いように感じますが、ともすれば自分の部署のことしか考えられない、部分最適の社員になってしまうのです。
ジョブローテーションが機能しなかったのには、二つの理由が考えられます。一つは、実力主義の考え方がうまく浸透していなかったこと。
もう一つは、社内の仕事の標準の明文化や共有がなされていなかったためです。逆に言うとこの二つを導入すれば、ジョブローテーションの弊害はなくなるはずです。前著で紹介しましたが、無印良品には店舗用の「MUJIGRAM」、本部用の「業務基準書」という二つのマニュアルがあります。数千ページに及ぶ膨大なマニュアルは、どの部門に誰が配属されても、その日から仕事ができるように作業が細かく書いてあります。すべての部門の仕事がマニュアル化されているのです。
ここでも、もう少しだけ紹介しながら「絶え間ない、柔軟な異動」との関係を確認しておきましょう。
まず、この二つのマニュアルさえ読めば、”比較的早く一人前の仕事”ができるようになります。そして、そのために、誰かが部署から突然抜けても、現場では混乱なく仕事を進められます。引き継ぎもスムーズです。
このように、実務に結びつくような研修プログラムを実施するのがポイントです。そうでなければ社員の教育になりません。学ぶ側も仕事に役立つとわかっているから、みな積極的に参加してくれます。
もし、「うちの部署の部下はなかなか育ってくれない」「うちのチームの部下は能力が低い」と思っているのなら、それは教育の仕方が間違っているのかもしれません。
日々の仕事だけでを教えるのには限界があります。かといって現場に即さない教育をするのは時間のムダです。本当は、社員教育はもっと徹底して考えるべきです。
■リーダーシップ発揮の前提
店長としてリーダーシップを発揮するには、人を巻き込み、その人たちの力を引き出し、協力して業務を遂行するための、基本的な働きかけや心がけが求められます。その働きかけや心がけは······
・自分に対しては「自ら率先する」という態度、姿勢
・仕事に対しては「自ら問題意識を持つ」という心がけ
・メンバーに対しては「その人に関心を持ち、よく知る」「メンバーに動機付けをする」「サポートする」という働きかけ
の三つに分けて考えることができます。
この章では、無印良品の海外赴任と海外研修の方法をご紹介します。
「任せきる」というのは、それほど簡単な話ではありません。リスクを軽減するなら、何人もの社員を同時に現地に送り込んで、みんなで検討させるほうが安全です。
しかし、それでは「自力で判断する」という力が身につきません。一人であれこれ知恵を絞る体験で鍛えられるから、一回りも二回りも成長するのです。
無印良品があえて過酷な環境に社員を送り出すのは、修羅場体験こそがもっとも人を成長させ、人間力を高めると思うからです。私自身の経験からも、若いときに苦労した人ほど、人間力が高まるのだと実感しています。
皆さんも自分の会社で海外に行くチャンスがあるなら、思い切ってチャレンジしてみるのをお勧めします。そこまでしないにしても、自分の成長が止まっていると感じたら、あえて修羅場に身を置いたほうがいいでしょう。人は自分を甘やかすのは得意ですが、自分に厳しくするのはいくつになっても難しいものです。続きを読む投稿日:2023.02.04
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