この作品のレビュー
平均 3.5 (3件のレビュー)
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ひひひはやっぱ圧倒的ハッピーエンド作家なんだよなあ
魔姫さんと魔王マジでくっついたんか…
いやよく考えなくてもひひひの推しCPだもんな…投稿日:2021.03.29
“同じ言葉を繰りかえす。
「いちどでも、あなたは好きって言ったのかな?」
真っ直ぐに前を見て。
「言葉を尽くしてもいないくせに、ぜんぶ諦めて逃げてたのは誰?ちょっと拒絶されただけで、ぜんぶ怖がって引き…こもったのは誰?全てを奪われた?目を逸らして、手を放して、見ないふりして捨てたのは誰?」
世界の全てに憎悪を振りまき、暗闇のなかで拗ねていた過去の自分自身に告げるように。あのとき、光とともに希望を見せてくれた少年の言葉を、受け継ぐために。同じように苦しんでいる目の前の不器用な男を、助けてあげるために。
伊依はすなおに告げた。
「傷ついた?奪われた?あなただけだと思っているの?周りのひとたちに、ちょっとでも迷惑だって思わなかったの?自分が痛いよ寂しいよ。理解してほしいよって叫ぶ前に、あなたは周りを理解する努力をしたのかな?」
「お、俺は――」
「そう。あなただよ」
伊依は相手の目を正面から覗きこんだ。
「魔王じゃない。あなたは化け物の王者じゃない。肩書きじゃない。名前は知らないけど、誰かの複製じゃなく、心をもったあなただ。あなたの自我に言ってるんだ。聞こえてる?聞こえないよね。届かないよね。こんなに遠い。だから――」
自分はこれで限界だ。もう動けない。
だからこそ。
「お願い魔姫さん」
狼狽える魔王の背後から、そっと伸ばされる手があった。”
アンダカ最終巻。
魔王との最終決戦。
ちっぽけだった彼女はおおきくなり、壮大な夢を見事に叶えた。
声を枯らしても叫ぶことを止めなかった彼女の言葉は皆に届いた。
いい話だったー。このエンドはすごく嬉しい。
半泣きだ。
“『それではつづきまして、校長先生のお話です』
戦争のときから立っているという、朽ちかけの朝礼台に向かって、自分の出番かと古頃の校長先生が顔をあげる。先任の宇宙木先生の推薦があり、また本人も希望し、必要な資格なども取得し――万雷の拍手で迎えられた話題の人物だ。
無駄話をしていた新入生たちが、一斉に緊張して押し黙る。
怪造学を志すなら、誰でも彼女の名前を知っている。
でもね。たぶんね。
新入生のなかで、いちばん最初にその名前を知ったのは。
いちばん、尊敬しているのは――わたしだよ。
『はいはいはいっ』
元気よく声をあげ、そのひとは急がなくてもいいのにダッシュで朝礼台に登り、ばたばたと足音を響かせてスタンドマイクを握りしめた。
(中略)
『あたしの夢は、叶ったよ』
噛みしめるように、伊依さんは宣言した。
繰りかえし、わたしたち全てに問いかける。
『あなたには、夢がある?あなたの夢は、なぁに?夢なんか叶わないって、そんな寂しいことは言わないで。夢は叶うよ。それを忘れないで。あなたの人生をたいせつにして。怪造学は、きっとその幸せを、毎日を、支えてくれる。つらいことがあったら、友達も先生もいる。さらに、あなたたちには怪造生物もいるんだからね?』
居並ぶ生徒たちのなかにも、怪造生物をつれているものが数多い。無数に並んだ子供たちと怪造生物の交ざりあった光景を、伊依さんさんは真っ直ぐに、幸福そうに眺めて。
『最後に、怪造学を志すうえで、あたしがたいせつにしてきた言葉を、信条を、みんなに教えます。怪造学に長く伝わっているものじゃないけど、つらいときに思いだせば、絶対助けになってくれるから。その気持ちさえ忘れなければ、独りで苦しむこともなく、心は支えられるから。その言葉はね、簡単だよ』
もちろん、新入生はみんな、言われるまでもなく知っていた。
だから、前もって練習してきたみたいに。
「「「「「怪造生物は友達です!!」」」」」
男の子が。女の子が。声を揃えて、一斉に声を張りあげた。
伊依さんはそれを聞いて、目を丸くしていたけれど。
やがて彼女らしい満面の笑みで、親指をぐっと空に突きあげたのだ。
『――そのとおり!!』”続きを読む投稿日:2010.07.22
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