仏教の思想 4 認識と超越<唯識>
上山春平(著)
,服部正明(著)
/角川ソフィア文庫
この作品のレビュー
平均 3.5 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
奈良からコータンに戻る途中、いまガンダーラに来ています。
レビューの続きを読む
興福寺の北円堂で、弥勒(マイトレーヤ)と無著(アサンガ)、世親(ヴァスバンドゥ)の兄弟にお会いし、ぜひ行ってみるといいといわれました。
ここで、もう少し唯識を学ぶ予定です。
ガンダーラ行きのバスの中で、
バスガイドのおねえさんとみんなで歌を唄いました。
そこに行けば夢もかなうというよ
生きることの苦しみさえ消えるというよ
誰もみないきたがる遥かな世界
その国の名はガンダーラ・・・♪
◆学んだこと
○唯識っていつできたの?
発生の年代は特定されていない。
2~400年 弥勒? 『解深密経(げじんみつきょう)』
3~500年 無著(アサンガ)、世親(ヴァスバンドゥ)兄弟
○兄の無著(アサンガ)ってどんな人?
パラマールタ(真諦(しんだい)、499―569)が書いた伝記より。
兄の無著(アサンガ)は説一切有部で出家したが、空を理解できず自殺未遂。その後、阿羅漢の教えから理解したが、心から満足できず、神通力で天に昇り、弥勒菩薩から大乗の空を教えてもらい、空の教理を悟ることができた。
その後もしばし天に昇り、大乗の教理をたずね、地上に戻って人びとに教えられたところを伝えたが、人々はその教えを信じなかった。
それで、弥勒菩薩にお願いして、地上で「十七地経」の講義をしてもらった。夜に弥勒菩薩が説法、昼間に無著(アサンガ)が解説のパターンで4か月かかって完了。人々は大乗の教えを信じるようになった。
無著(アサンガ)はさらに、弥勒菩薩から「日光三昧」を教えられて修得し、従来理解することできなかった教義をことごとく理解し、忘れなくなった。
(以上、P24-26 要約)
苦労人ですな~。
だから、「無住処涅槃」なんてすごいことを考えたんだ。
『摂大乗論』(しょうだいじょうろん、Mahayana-samgraha)。
「空の教理」の悟りは出発点にすぎないんだね。
「日光三昧」ってなに?
日光のお菓子みたいな名前だけど、なんかすごそう?
華厳の「海印三昧」とどちらが強いの?
同じような気がするんですけど? 同じですか?
○弟の世親(ヴァスバンドゥ)ってどんな人?
初め部派仏教の説一切有部を学び、有部一の学者として高名をはせた。ところが、兄の無着から大乗仏教を勧められ、下らない教義を聞いていたと自らの耳をそいで、瑜伽行唯識学派に入ったといわれている。その後、唯識思想を学び体系化することに努めた。 (Wikipedia 世親)
説一切有部の教義を体系化した『倶舎論』、唯識の基本的論書『唯識二十論』、『唯識三十頌』などを著した。 (同上)
学僧ですな~。
兄が著した『摂大乗論』に弟が記した注釈を一部見た(岡野守也「唯識のすすめ―仏教の深層心理学入門」)。新しい価値を付け加えるというよりも、後世に誤解なく伝えるために、丁寧に言葉を補足しているようなおもむき。まるで、大先生の原稿をわかりやすく整える優秀な編集者のよう。
○中国へ伝来したのは?
玄奘三蔵が国禁を犯してインドに留学して教えを受けた(629-645年)。帰朝後、『唯識三十頌』に対する護法の註釈を中心に据えて、他の学者たちの見解の紹介と批判をまじえて『成唯識論(じょうゆいしきろん)』翻訳した。
この書を中心にして、玄奘の弟子の慈恩大師基(もしくは窺基=きき)によって法相宗(ほっそうしゅう)が立てられ、中国において極めて詳細な唯識の研究が始まった。 (以上、Wikipedia 唯識)
西遊記の三蔵法師のモデル。
玄奘三蔵が留学する前の西暦500年ぐらいに、唯識はすでにインドから中国に入っていて、インドと同じように無相唯識と有相唯識の論争があったようだ。玄奘三蔵は有相唯識派から学んでいたため、帰国後、中国では有相唯識派が正統な唯識説とされたという。
○日本へはどう伝来したの?
653年 道昭が入唐留学して玄奘に師事し、帰国後法興寺でこれを広めた。
658年 入唐した智通・智達等も法相宗を広めた。これらは同系統に属し、平城右京に元興寺が創建されると法相宗も移り、元興寺伝、南伝といわれた。
703年 智鳳、智雄らが入唐した。
717年 入唐した義淵の弟子玄昉(げんぼう)も、ともに濮陽の智周に師事して法相を修め、帰国後これを広めた。なかでも玄昉は興福寺にあって当宗を興隆し、興福寺法相宗の基をきずき、興福寺伝または北伝といわれる。 (以上、Wikipedia 法相宗)
○成立時の華厳との関係は?
華厳経がコータンで編纂されたのは西暦400年前後とされているので、どちらが早いかは不明。ただ、華厳成立以前から流布し、華厳の経典となった『十地経』にある「三界は心のみのものである」という一句は、弟の世親(ヴァスバンドゥ)が唯識の典拠として取り上げている。投稿日:2011.05.07
このレビューはネタバレを含みます
中観思想とともに仏教思想の最高の理論的達成とされる「唯識」は、日本仏教の出発点であり、またヨーガの実践と深い関わりをもつが、その唯識思想の本質を浮き彫りにする。 -20101202
レビューの続きを読む投稿日:2022.10.21
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。