- 最新巻
文明崩壊 下巻
ジャレド ダイアモンド(著)
/草思社
作品情報
江戸時代の日本では、乱伐により荒廃した森林環境が徳川幕府の長期視点に立つ育林政策によって再生し、
持続可能な森林管理が実現された。
問題解決に成功した社会と失敗した社会の違いはどこにあるか。
現代中国やオーストラリアの惨状を分析しつつ、崩壊の危機を乗り越える道の可能性を探る。
歴史において個別の 社会で発生した勃興・隆盛・崩壊のパターンは、
グローバル化した現代ではまさに全地球規模での危機へと拡大しつつある。
資源問題、環境問題、人口問題に政 治闘争や経済格差の問題も含んで、崩壊への因子はより複雑化している。
だが著者は悲観的ではない。
観念論ではなく過去の教訓から学んだきわめて現実的かつ 建設的な処方箋を提示する。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 文明崩壊
- 著者
- ジャレド ダイアモンド
- 出版社
- 草思社
- 書籍発売日
- 2012.12.01
- Reader Store発売日
- 2014.06.27
- ファイルサイズ
- 3.5MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (48件のレビュー)
-
出来ることがないではない
下巻とはいうものの、まず最初に上巻のメインコンテンツであった「過去編」の結論があります。その後で、「現代編」に入ります。ということは、下巻から読んでも良いような気もしますが、興味深いエピソードばかりな…のでできれば上巻から読まれることをお勧めします。
さて、「現代編」で扱うのはアフリカのルワンダ、ハイチとドミニカ、中国の環境問題、度々旱魃に襲われるオーストラリアです。そして大企業の経済活動と環境保護という一見矛盾するテーマに入っていきます。このあたりはただの環境保護活動家とも、御用学者とも違う、理想と現実の両方に立脚した、著者の面目躍如ともいうべき内容です。万能の特効薬はないものの、出来ることがないわけではない。アカデミックでどちらかといえば悲観的な内容であるのに、前向きさを忘れない、そんな感じでしょうか。
論旨としては上記の様に一度結論まで出ているわけですが、最後に追記としてアンコール(カンボジア)の話も収録されています。期せずしてアンコールになったわけですね。続きを読む投稿日:2015.03.18
-
世界が江戸幕府であれば
下巻の最初は過去に社会の崩壊を組み止めたいくつかの社会を取り上げている。人知れず数千年間独自に灌漑を続けていたニューギニア高地、南太平洋の珊瑚海のはずれわずか5平方キロの孤島ながら3000年に渡り人が…住み続けたティコピア島、そして江戸時代の日本。
江戸時代といえば実は日本人の身長が一番低かった時代で、小氷期に入って気温は低下しているにも関わらず、人口は関ヶ原の頃の1200万人が明治維新の頃には3300万人と人口が増えており、しかも鎖国のために現代と違って食料は自給するしかないし木材やほとんどの金属品も自給している。1570年から1650年にかけて城や寺社の建造の木材伐採で森林破壊が進んでおり、1657年の明暦の大火をきっかけに幕府による森林管理システムが作られた。また人口も1721年2610万人に達した後1828年には2720万人と一機に人口増を抑制している。江戸時代の米価と出生率の変化が連動しているということから食料不足に対応したものらしい。1707年の富士山の大噴火、1783年の天明の大凶作、1833〜36年の天保の飢饉と厳しい気候条件だったようだが他の社会が目先優先で森林伐採をし結果として食料不足に陥ったのに対して、江戸時代の日本は耐えて生き延びた様だ。確かに昔の城の写真なんかを見ると今と比べて緑が少ない。日本の森林は回復している一方で現在の日本は世界最大の木材輸出国でもあり、ジャレド・ダイアモンドは森林破壊を輸出していると厳しく批判している。
現代の環境破壊の代表は誰もが思いつく中国と少し意外なオーストラリア。中国の状況はよく知られているので今更書くこともないのだがこの本の出版が2005年で10年前にすでに大気汚染はひどいものだったらしい。ジャレドは一人っ子政策や1998年に始まった国家的な伐採禁止など時に中国の政策は一機に進むことがあると期待している。逆に振れた場合には大躍進政策や文化大革命など桁外れの悲劇も生んでいることも知りながらだが。広大なオーストラリアだが小麦の栽培に適した土地は限られており、地力の回復が弱い土地が多い。オーストラリアの場合、温室効果ガスの削減に最も有効な手段は牛を一掃することだという。土地の開墾や羊の放牧とイギリスから持ち込まれ大繁殖したウサギも土地を劣化させる要因になっている。
過剰な人口は内戦や社会崩壊の直接の原因とは言えないにしても、社会を不安定化する大きな要因になっている。ハイチとドミニカ共和国は同じ島を二分した国でスペインとフランスのサトウキビのプランテーション政策に振り回され今に至っている。
ルンジとルワンダといえば当時アフリカで最も人口密度の高い国であり、ルワンダでは少数のツチ族が多数のフツ族を支配する植民地時代の歴史から両国が独立するときにも民族対立と多数の殺戮があった。94年フツ族大統領の乗った専用機が着陸前に撃墜されたのをきっかけに起こったのが有名なフツ族によるツチ族の大虐殺で6週間でルワンダ総人口の11%にあたる推定80万人のツチ族が殺害された。しかしあまり知られていないのだがこの時フツ族同士でも殺し合いはありあるフツ族の村では人口の5%が殺されている。増え過ぎた人口に対して相続される農地は減る一方であり土地の相続を巡って家族や親族間で殺し合いが起こっていた。
ジャレド・ダイアモンド自身は資源の適正な管理や短期志向に陥らない政治決定などがあれば希望はあると慎重な楽観主義者だと言うのだが。世界が江戸幕府の様であれば人口を増やさず、貧しくはなっても生き延びることができるということか。続きを読む投稿日:2014.11.08
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です
続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能です