山はどうしてできるのか ダイナミックな地球科学入門
藤岡換太郎(著)
/ブルーバックス
作品情報
あたりまえのように「そこにある」山は、いつ、どのようにしてできたのか──。あなたはこの問いに正しく答えられますか? 実は「山ができる理由」は古来から、地質学者たちの大きな論争のテーマでした。山の成因には、地球科学のエッセンスがぎっしりと詰まっているのです。本書を読めば、なにげなく踏んでいる大地の見え方が変わってくることでしょう。(ブルーバックス・2012年1月刊)
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商品情報
- 著者
- 藤岡換太郎
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 環境・エネルギー
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- ブルーバックス
- 書籍発売日
- 2012.01.20
- Reader Store発売日
- 2014.04.04
- ファイルサイズ
- 43.8MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (18件のレビュー)
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面白いです。
この著者の「川はどうして・・・」を読んでかなりガッカリしたのですが、性懲りもなくこの本を読んでみました。
こちらは結構面白いです。プレートテクトニクスのことが延々と書かれていたのはちょっと残念でしたが…。
これまで読んできたなかで、著者はおそらく海洋地形が専門なのかなと思います。そのつながりで、山の形成についてこの本ができたのかと思います。
「海はどうして・・・」も、いつか読んでみようかなと思い直しました。
続きを読む投稿日:2016.12.28
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江戸時代に富士山を描いた安藤広重や谷文晁 らは、富士山の両側の 稜線 がなす角度を 85 度くらいの、直角よりやや小さい鋭角で表現しています。しかし近代に入ってから太宰治は「富嶽百景」とい…う小説で、実際は鈍角で、およそ117~124度であると書いています。数学者にとっても富士山の稜線は関心の的で、その曲線を一つの方程式で表すことに熱中した人は少なくなかったようです。
日本列島は四方を海に囲まれていますが、どこにいても必ず山が見えます。だから私たちは「山がそこにある」ことを空気のように当たり前に考えています。しかし、山があることは決して当たり前のことではありません。この世界には山がまったくない広大な平地もあり、実物の山を見ないまま一生を終える人も少なくないのです。もしそんな場所に住む人が山と出会ったらどれだけ驚くか、想像に難くありません。それは熱帯に住む人が雪を見たとき、山の中に住む人が大海原を見たときに勝るとも劣らない感動でしょう。そして次には、必ずこう思うでしょう。 「なぜ大地がこんなに高く隆起したのだろう。
1年間、四季折々の変化のみならず、山は100年、1000年……100万年というオーダーで見れば劇的に変化しています。その動きをとらえなくては、山を見ることになりません。 山について考えることは学問では地球科学という分野の仕事になりますが、このように対象を空間的・時間的に視点を変えて見ることは、地球科学に限らず、あらゆる自然科学に求められる基本的な姿勢です。
しかし、その景観に「美しい」「心和む」「厳しい」「荒涼とした」といった印象の違いをもたらすのは、景観の中心をなす山ではないでしょうか。 日本の国土全体を地形別に見ると、山地 55%、火山地6%、丘陵 11%、山麓・火山麓4%、台地 11%、低地 13%です。火山地や山麓などを含めると「山」と称される土地は全体の 65%にもなります。このように山なくしては考えられない日本の景観は、明治 27 年に志賀重昂 が著した『日本風景論』によって、初めてまとまった形で世の中に紹介されました。志賀は日本の風景がこれほどまでに美しいのは、日本の山々が多様な種類の岩石からできていて、それぞれが美しい景観をなしているからであろうと述べています。
実はダーウィン自身、その生涯に地質学に関する本を3冊書いています。ダーウィンは生物学者じゃないのか? と思われるでしょうが、彼は若い頃には博物学を修めていました。逆に『種の起源』や『人類の起源』が生まれたのは、彼に地質学あるいは博物学に関する深い 造詣 があったからで、それがなければこれらの著作、というより進化論という考え方そのものが生まれてこなかったと思われます。ダーウィンが書いた最初の地質学の本は『サンゴ礁の構造と分布』でした。2冊目は「火山島の地質学的な観察」の話で、「ビーグル号」で訪れたガラパゴス島を中心にケープ・ベルデ島やアセンション島の火山の形態や地形、火山岩の記載をしています。最後は「南米の地質」についての本です。これは現在でも十分に価値のある内容です。
彼が1944年に世に出した有名な地球科学の教科書『一般地質学』(Principles of physical geology)には、マントルが対流する可能性が示され、さらにはウェーゲナーの大陸移動説が紹介されています。
いま地球上にある大陸は、超大陸が分裂と集合を繰り返し、地球の表面を何周も巡って現在の位置にモザイクの1つのピースとしてはめ込まれた寄木細工です。日本列島も、より規模が小さな寄木細工です。
日本の国歌である「君が代」には「さざれ石」という言葉が出てきます。さざれ石とは 礫岩、つまり岩や石のかけらが寄せ集まった岩のことです(図 10‐3)。日本列島は大きく見れば一つの礫岩なので(図 10‐4)、この歌は日本のことをよく表現しているといえます。そしてその考え方は大陸、ひいては地球のスケールにまで広げても同じなのではないかと思われます。大陸も、地球も、より大きな規模で見れば分裂と集合を繰り返す寄せ集めの「さざれ石」にすぎないのです。続きを読む投稿日:2023.10.01
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