ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~
佐藤克文(著)
/光文社新書
作品情報
水生動物の生態は、直接観察できないため謎が多かった。だが、今や日本発のハイテク機器を動物に直接取り付ける手法によって、教科書を書き換えるような新発見が相次いでいる。
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商品情報
- 著者
- 佐藤克文
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2007.08.01
- Reader Store発売日
- 2014.03.14
- ファイルサイズ
- 7.3MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (53件のレビュー)
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求む男女。ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。
「求む男女。ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。ただし、成功の暁には、知的興奮を得る。」私のところに来たら、まずは身近な動物で修行を積んでもらうことにな…る。試行錯誤の末に晴れて学位を取得したら、データロガーと一緒に、世界中の僻地に飛ばしてあげよう。そういう佐藤氏はバイオロギングという手法で動物の生態を研究している。
学校の教科書には鳥は恒温動物で爬虫類は変温動物だと書いている。しかしウミガメの体温は23℃でほぼ一定で逆にペンギンは深く潜るときに体温維持には最低限しかエネルギーを使わず酸素消費を抑えている。
ペンギンは深さ500m時間にして最大27分潜っている。ペンギンは息を吸い込んで潜り、10分ほどで空気中の酸素濃度はほぼなくなってしまう。その後どこまで息継ぎせずに我慢できるかは謎が残っている。空気を吸い込むと浮力がつき潜るにはマイナスなので最初に一生懸命羽ばたく。ある程度の深さに潜ると圧力で空気が縮みある深さで浮力と重力が釣り合うがペンギンはちゃんと潜る深さで吸い込む息の量を変えている。そして浮いて来る時にはヒレを拡げ浮力に任せて水中を滑空する。ペンギンカメラが捉えた8羽のペンギンがヒレを拡げている姿が写っている。そして水上に飛び出す時にはその高さに合わせて速度を調整している。
アザラシは逆に息を吐き出して潜る、というか沈む。アザラシは肺に貯めた空気ではなく血液中に蓄えた酸素を利用している。子育て中のアザラシは子供に泳ぎを教えるようにゆっくり泳ぎ、これまた後ろ向きにつけたアザラシカメラに後を追う子どもが写っている。
どうやってペンギンやアザラシに装置を付けるかというと、ペンギンの場合は足を傘の柄の様なもので引っ掛けゆっくり引っ張るとヨタヨタと近づいてくる。そこでさっとヒレを気をつけで足首はつま先を伸ばして小脇に抱えるとペンギンはおとなしくなる。頭にフードをかぶせて固定すれば体重も測れる。アザラシの場合も頭を袋に入れると大人しくなるのでそこに麻酔剤を入れて吸い込ませる方法が日本チームにより開発された。
ペンギン牧場の作り方。
南極に行って氷の上に柵を作る。氷に穴を開け海に入れるようにする。たまに
ペンギンを狙ってアザラシが来るのでできれば穴は二つ。ペンギンは普通コロニーを作っているが時々さまよっているのがいるので上記のやり方で捕まえて柵に入れる。牧場の様子を除きにきたペンギンがいれば後ろに立って追い立てると自分から柵の中に入ってくれる。海に潜ったペンギンは潜った穴に戻ってくるのでこれで牧場は完成だ。餌も自分で撮ってくるので必要ない。
題名になったのはバイオロギング研究者が増えたことでデータを集めてはっきりした。マッコウクジラからペンギンまで泳ぐ速度はほぼ秒速1~2mで一定している。これは筋肉の効率的な速度と関係していると予想し体の大きさとストロークを両対数グラフにプロットすると見事に直線に乗った。筋肉そのものの収縮速度が同じなら大きなクジラは移動距離が長いので周期はゆっくり、小さなペンギンでは速くなるというのが仮説だった。
仮説と実証実験というのが現代の科学の一般的な手法だが、バイオロギングというのは装置からして発達中の学問で、例えば南極の棚氷の下で深い層に餌がいっぱいあるなどもこれまで知られてなかったことが見つかっている。測定が先で仮説が後からついてくるあたり都度都度方向変換が必要でしかも南極の場合シーズンを逃すと次の実験は1年後で下手をすれば帰っている。なかなか大変な研究だ。続きを読む投稿日:2014.07.11
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ペンギンやアザラシなどの海洋動物にハイテク機器「データロガー」を取り付けたことで見えてきた、本来の生息環境下で動き回る海洋動物たちの姿について書かれた本。
本書を読むことで、動物たちにデータロガーを…取り付けて生態の記録を採る「バイオロギングサイエンス」を知ることができます。続きを読む投稿日:2019.07.29
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