花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
朝井まかて(著)
/講談社文庫
作品情報
花競(はなくら)べ――最も優れた名花名木に与えられる称号・玄妙を目指し、江戸中の花師が育種の技を競い合う三年に一度の“祭”。恩ある人に懇願されて出品した「なずな屋」の新次は、そこでかつて共に修業した理世と再会する。江戸市井の春夏秋冬をいきいきと描く傑作「職人小説」。(講談社文庫)
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商品情報
- シリーズ
- 花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
- 著者
- 朝井まかて
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2011.12.15
- Reader Store発売日
- 2014.03.07
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (49件のレビュー)
-
素敵な作品です
江戸の花師のお話、というのに惹かれて読みました。
最近、江戸時代に興味があるのですが、江戸の人々の生活を新たに少し知ることが
だきたようで嬉しいです。
一人ひとりの登場人物が魅力的で、様々な花に関する…エピソードも印象的。
全体的なストーリーの構成も良いと思います。
花の命名についてのエピソードは、フィクションだろうと分かっていても
「もしかして本当?」と思いそうになりました。
季節を意識して読み始めたわけではありませんが、これから桜の咲く時期に
読んで良かったなぁと思います。
続きを読む投稿日:2014.03.23
-
花競べ
向嶋なずな屋繁盛記
著者:朝井まかて
発行:2011年12月15日
講談社文庫
単行本『実さえ花さえ』(2008年10月)に加筆、改題
朝井まかての時代小説は、なにを読んでも面白い(そんな…に読んでない)が、この花競べは彼女のデビュー作だという。300ページ余りの長編だが、4章立てで各章が短編的なプロットで締めくくられ、かつ、全体でひとつのストーリーにもなっている。
文化文政時代の江戸・向嶋を舞台に、小さな苗物屋「なずな屋」を営む新次とおりん夫婦の物語。苗物屋は、花師という職人の店であり、花屋とも庭師とも違う。木や草花を栽培し、種から育てたり、挿し木、接ぎ木、品種改良などをしたりする。これは市井時代小説であり、職業小説で人情小説でもある。朝井まかての最も面白い分野かもしれない(改めていうがそんなに読んでない)。
1章は、シチュエーションの紹介をしつつ、日本橋にある太物問屋の隠居から、快気祝い用に新次のオリジナル商品である桜草の注文をされる話。言われたのは30鉢で30両という破格の値段。受けたはいいが、鉢を注文した焼き物商が途中で受注を翻した。別のところもギブアップ。どうやら、邪魔する者がいるらしい。しかし、最後はおりんがトコロテンからヒントを得て、木箱にすることでいいものができあがる。
邪魔をしたのは、どうやら大店の植木屋である霧島屋の七代目のようだった。新次はその霧島屋で修行を積んだが、娘の理世と噂がたって辞めた。霧島屋には娘しかおらず、婿を取って七代目にしていた。
2章は、この本のタイトルにもなっている「花競べ」に出場する話。そこで〝優勝〟する。しかし、そのコンテストは実質的にコネのある者しか最終審査まで残れず、出来レース的でもあった。新次は太物問屋の隠居のコネで出場。最後に残ったのは、霧島屋の理世の作品と、新次の作品だった。
3章は、雀(しゅん吉)という幼い男の子供を預かることになった新次とおりんの話。伊勢の藤堂家の下屋敷の広大な庭のうち、百坪だけ、あるイベント用に整えてくれと仕事が来る。新次は大変な力を注ぎ、手持ちの希少種や、高価なものと交換で手に入れた希少種などを投入して、1年を通して楽しめるように造った。とても気に入ってもらえたが、イベント直後にそれらは撤去され、希少種なども消えていた。その後の庭を造っていたのは理世だった。新次と理世は、昔、恋仲だった。久しぶりに再会し、ついに一夜を過ごした。しかし、それできっぱりけじめをつけて別れた。その後の出来事だった。2人は現場で紹介されるが、初対面のふりをした。
庭が壊され、ショックを受けた新次だったが、理世は希少種などを捨てずに確保し、新次のもとへと送った。最後のオチが読めるプロットだった。
4章は、雀(しゅん吉)の生みの母親と、その母親をDVの夫から連れ出し、雀に教育をした男に、おりんが会いに行った話。この段階になると小説がきれい事に染まりすぎてくる。子供がそこまで気を使って行動するわけがないし、DVの夫が本当はとても良い人だったというような話でも染め上がるし。
最後は、霧島屋が門外不出、一子相伝で引き継いできた桜を、新次が預かっていたが、それを外に出したこと、それがのちに(天保時代)染井吉野となったことが記される。地名の染井と、吉原の花魁である吉野が絡んだ話。続きを読む投稿日:2024.03.19
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