冷泉家 八〇〇年の「守る力」
冷泉貴実子(著)
/集英社新書
作品情報
冷泉家は藤原俊成・定家の血を引く「和歌の家」として、その伝統と文化を京都の地で今日まで守り続けている。冷泉家の長女として生まれた著者によれば、冷泉家には「大事にせんとバチが当たる」「相変わらずで結構」など、独特な伝統・文化継承の秘訣があるという。当主夫人でしか語りえない代々のエピソードをもとに、急速に変化する現代社会の中で、我々が時代に流されずに生きるためのヒントとなる“公家の知恵”、冷泉家八00年の「守る力」を明かす。【目次】はじめに/第一章 大事にせんとバチが当たる 守り伝えられてきた『明月記』/第二章 そこそこやから続いてきた 「歌の家」の八百年/第三章 「昔からそうしてきたから」でけっこうやないですか 公家の三百六十五日/第四章 知識も物産も情報もまとめて収めて 蔵こそ公家の生命線/第五章 “型”が守り、伝えるもの 「文化」の威力、底力/第六章 “これはお金の問題やない” 冷泉家の四季と行事/第七章 しなやかに強く。「相変わらず」ならけっこうや 冷泉家の人々/おわりに
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商品情報
- シリーズ
- 冷泉家 八〇〇年の「守る力」
- 著者
- 冷泉貴実子
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2013.08.26
- Reader Store発売日
- 2014.02.28
- ファイルサイズ
- 2.1MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (8件のレビュー)
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読み始めてしばらくは、たいそうなお家柄のくせに自慢オンパレードなんて稚拙、と思っていたんだけど、それは私の醜いこころの表れ。
うなったのは、「有識故実とは、すべて決まりことは決まりごととして、守るもの…だ」というあたり。「なぜそうするのかを問うことは意味がありません。昔からしているからそうする。間違えないように同じことをする。これがなによりも大事なことなのです。」(p.76)とし、この伝えられてきたことを「守る力」は、そのまま「つながる力」でもあるという。
ここから浮かんだ自分が最近よく感じることとして「何で人はドラスティックに変えたがるんだろう」というのがある。担当が変わると旧来のやり方が一新されることが多い。しかしその一新は、果たしてよくなっているのだろうか。「変わる」ことがよいことという漠然とした印象に引っ張られるけど、改良もあれば改悪もある。どっちつかず以下に変わるのであれば、これまで間違いのなかった変わらないもののほうが優れているのではないか。
しかし実際のところ、こうしたことを説得力もって主張するのって難しい。その点、「『昔からこうしてきたから』ということでなにが悪い」ということがもっと重用されてもいいのではないか。これってたとえば「何で人を殺しちゃいけない」みたいな問いへの答えとしても有効だと思う。理屈じゃないのよ、殺しちゃいけないものはいけないってこと。
また、「芸術」は西洋的なもの。自分をさらけ出し、人と違うことを主張すること。対して日本文化は、和歌や俳句の文字の制限とか歌舞伎の型のように「私とあなたは一緒」にあり、それは「芸」というべきものという主張も腑に落ちた。続きを読む投稿日:2021.07.31
現存する唯一の公家屋敷の冷泉家の文化は、日本人の財産だと思いました。これからも守っていただきたいです。
投稿日:2019.01.15
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