幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで
橋本一夫(著)
/講談社学術文庫
作品情報
東京が招致しながら、自ら返上した1940年のオリンピック。「皇紀2600年記念」として構想されたこの大会は、招致のためのヒトラーやムソリーニとの取り引き、満洲事変への厳しい国際世論など、最初から戦争と政治に振り回された。また、「満州国」は参加できるのか、天皇の開会宣言は可能なのか、など問題山積みのまま、準備は遅れに遅れる。そんな中、招致に尽力したIOC委員・副島道正は「返上やむなし」と腹を決める。(講談社学術文庫)
もっとみる
商品情報
- 著者
- 橋本一夫
- ジャンル
- スポーツ・アウトドア - スポーツ
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社学術文庫
- 書籍発売日
- 2014.01.10
- Reader Store発売日
- 2014.02.28
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 288ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (6件のレビュー)
-
幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで
大会招致ののちに返上となった1940年の幻のオリンピックの招致から返上までの約10年間の記録。1930年、7年前の関東大震災の復興の象徴とする…ため、そして日本書紀での紀元2600年の記念として、東京市市長の永田秀次郎はオリンピック招致を提唱した。これらに呼応する形で、国際感覚優れるスポーツ系の実力者(嘉納治五郎など)が、近代オリンピックの父であるクーベルタンや、当時同時期のオリンピック招致を計画していたイタリアのムッソリーニなどとの交渉を重ね、東京オリンピックの招致を決める。奇しくも、明日始まろうとしている東京オリンピックと同様に、震災からの復興という位置づけで提唱されている部分が非常に興味深い。1940年の前回大会はベルリンオリンピックであり、それはヒトラーがオリンピックをプロパガンダに変えた瞬間であった。日本の政府としても、アジア初の近代国家としての矜持から、東京大会で日本の姿をしっかりと世界にアピールしたいという思惑があったのであろう。しかし、1939年の日中戦争など、1931年から続いていた中国との争いが泥沼化していく情勢の変化や、満州国を参加国として認めるかという問題など、政治的な問題から、当初政府の思惑とは異なった形で事態は変遷していく。さらに、実際にオリンピックを開催することを検討すると、紀元2600年記念という純粋な日本の事情をどこまでオリンピックに反映させるかという点や、IOCからすれば国家のトップが開会宣言を行うという感覚に対して、現人神である天皇が声を電波に乗せるということが国体の思想上不可能であることなど、日本固有の問題から、開催の現実味が失われていく。さらに、中国と交戦中の日本への反対の意志として、米英が東京オリンピックへのボイコットをちらつかせるなど、状況は悪化していく。
そんな中で、オリンピック招致の立役者であり、当時のIOC会長ラツールとも親交が深い副島道正が、大会返上を進言する。このまま東京オリンピックを開催することが、近代オリンピックの精神を蹂躙し、なおかつ極めて小規模の大会になってしまうことへの懸念や、その悲観的状況の中で、返上の決断を遅らせることへの他国への影響を正確に吟味した上での判断であった。本書、ひいては1940年のオリンピックを語るうえでは、オリンピックについて知り尽くした副島が下した英断が最大のポイントであろう。日本で一番評判の悪い男になる覚悟で進言したと心内を綴る副島こそが、目まぐるしく変わる国際情勢と日本の立ち位置を正確に判断できた日本人としてより評価される必要があるだろう。この返上という英断こそが、1964年の花道を作ったといっても過言ではない。
本日、2021年7月23日は1年延期された東京2020大会の開会式である。コロナ禍における緊急事態宣言下での開催であり、開会式の実行委員会のメンバーの過去の悪行を巡るゴタゴタが毎日ニュースを駆け巡る。今の日本を副島が見たとき、果たしてどのような決断を下すのか。改めて、示唆に富んだ本であった。続きを読む投稿日:2021.07.23
戦前に東京オリンピックが計画されていたことがわかる一冊。1940年のオリンピックはなぜ開催されなかったのか。オリンピック開催に関する条件からも考察しています。
投稿日:2020.01.20
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。