なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 【最強11神社】八幡/天神/稲荷/伊勢/出雲/春日/熊野/祗園/諏訪/白山/住吉の信仰系統
島田裕巳(著)
/幻冬舎新書
作品情報
日本全国の神社の数は約8万社。初詣、宮参り、七五三、合格祈願、神前結婚・・・・・・と日本人の生活とは切っても切り離せない。また伊勢神宮や出雲大社など有名神社でなくとも、多くの旅程には神社めぐりが組み込まれている。かように私たちは神社が大好きだが、そこで祀られる多種多様な神々について意外なほど知らないばかりか、そもそもなぜ神社に特定の神が祀られているかも謎だ。数において上位の神社の中から11系統を選び出し、その祭神について個別に歴史と由緒、特徴、信仰の広がりを解説した画期的な書。
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この作品のレビュー
平均 3.1 (31件のレビュー)
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「なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか」幻冬舎新書 2013年 島田裕巳さん。
軽いタッチで書かれた読み易い本です。新書ですものね。
宗教学者の島田裕巳さんの本は、寺社巡りが好きなので時折愉しく読ま…せて貰っています。これは、八幡神社とか、諏訪神社とか、そういう「どこにでもある身近な神社」がそれぞれどういう謂われがあるか、というのをまとめた読み物です。
こういうの、電子書籍で持っておくと、どこでもいつでも読めるし検索も出来て便利です。
細かい情報は備忘するにも煩雑すぎるので、ここに書きませんが。読み終えて、どの神社の歴史も、「伝説レベルの歴史」と「証拠が残っている歴史」とを突き合わせてみると、「仏教伝来と明治維新」というものに翻弄されているなあ、と思いました。
神社はつまり神道です。神道っていうのは、まあ、宗教なんですが、「原始宗教」なんですね。つまり、むちゃくちゃです。適当です。
「キリスト教」「イスラム教」などと比べると、なんて素敵にどうでもいいんです。同レベルに論じるのは、照れちゃいますね。マイルス・デイビスとか、小澤征爾と、「うちの中学校の音楽の先生は歌が上手い」とかを同列に並べるようなものです。メッシ、ロナウド、イブラヒモビッチを論じているのに、「うちの村のサッカークラブのエースも負けてない」とか言えませんよね。
(善悪とか、だから素敵ではないというつもりは毛頭ないのです。好みはそれぞれだし。ただ、スケールが違うことは事実です。けれど、地元民としてはだから神社って面白い、と思います)
奈良の大神神社がそうなんですが、つまりは「山」とか「河」とか「太陽」とかを拝んでただけなんですね。
ただ問題は、この原始宗教を「権威」にして、権力が成立しちゃってたんです。古代天皇家、大和朝廷ですね。
そこに、外国から「仏教」が入ってきます。
これに、ヤマトの権力者たちは度胆を抜かれる訳です。
と言っても、むつかしい教義とか学問に、ではありません。仏教は、建築とか仏像とか錬金とか、そういうビジュアルに触覚で誰にでも分かる超絶な技術と共にやってきたんですね。
恐らく大和朝廷なり古代権力の中の多くの人々が、外国からの帰化人、あるいはその子孫だったんです。今風に例えて言うと、権力の中枢を握る人はほぼみんな、アメリカの大学で経営を学んでMBAだったりする訳です。
そうなると、アメリカの流行、アメリカのモラル、価値観に一目置くのは当たり前。そして、アメリカから「いまどき、これが当たり前ですよ」って来たのが「仏教」。
まずは仏像とか建築とかそういうレベルで度胆を抜かれるし。語ってみれば、仏教の世界観はなんだかすごい。
ヤマトとしても、「やっぱり、うん、俺たちもそりゃ仏教だ」となるんです。
そこで困っちゃうのが、でもこれまでは「山の神」とかなんとか原始宗教でやってきたんですね。ここと世界観が矛盾しちゃう。
それで仕方ないから、「いや、俺たちの神様っていうのも、実は仏教の仏様の親戚だったわけよ」ということにしちゃうんです。これが、愉快なくらい笑えます。
しかも、ここのところで論理的に突きつめて考えると、ぶっちゃけ「いやそりゃ、仏教の方が上ですよ。グローバルですから。うちはほら、仏教の日本支店が神道っていうかなんていうか...」という感じなんですね。かわいい。
それからずーっと、神社っていうのは、お寺と喧嘩しないんですね。というか、日本では、神社とお寺は表裏一体、かならず同居してたみたいなものなんです。
今でもかなりあちこちにありますけれど、大きな寺の中に小さな神社があったりします。逆も。
という、実にめちゃくちゃで適当な時代が長かったんですが、明治維新が起こります。
薩長などの力のある勢力が、「今のままの仕組みでは、日本は植民地になっちゃうぜ」という生理的な危機感から、徳川幕府を倒すんですが、このときに、「おみこし」として「天皇家」が担がれる訳です。
そして、明治新政府が出来てから、「えっと、西欧風の国民国家っていうのはどういうふうに作ればいいんだっけ?」と頭を抱えます。
このときに、「やっぱり天皇家っていうのをもっと権威付けしよう。すごく尊い感じに祀り上げて、これで国民全体を一体化させよう」ということになるんです。若い明治天皇自身がざっくばらんに参加して「天皇家のイメージとスタイル」について議論したそうです(笑)。
そして、「天皇ってほら、神道だからさ、神道優遇しよう」ということになります。
これが行政にブレイクダウンされていくときに、かなりヒステリックな「仏教は絶滅させろ!」という「赤狩り的な運動」に、数年の間なってしまうんです。
このときに、寺と神社がくっついているような施設は、全国的に大幅な改訂を強いられます。更には、立派な寺が打ち壊されたり。
(なんだけど、不徹底に終わったんですね。地域の現場の末端で、ヒステリックになりつつも、「いやあ、壊すのも勿体なかろう」「まあええんちゃうか」という妥協が多かったようです。このいい加減さ、すばらしいぞ、日本)
というわけで、今残っている神社をちゃんと見て資料を漁っていくと。どの神社も、明治維新(廃仏毀釈)の段階で相当な変化を受けている、というのが判ります。もっと言うと、それ以前は何かしらか寺とべったりくっついていたことが多いんですね。
更に伝説レベルの物語も、「もともとの地元チックな伝説」と、「仏教伝来以降に、割と強引に仏教由来に変化した伝説」とが混在していることが多い。それがまた廃仏毀釈で変形したり。つまりそういうわけで、良くワカラナイ。
もともと、神社っていうのは教義もなければ経典もなくて、専任職の人も居なくて良い。グローバルレベルで言うと「国民国家をまとめる宗教」というレベルでは、ぜんっぜん、ないんですね。そんな大らかな、かなりアナクロで不合理な産物が、なぜか21世紀の今でもあちこちに残っていると考えると、目が眩む思いです。立派そうな裏で実はものすごくあけすけで笑えるような、日本と言う国のローカルさ、可愛らしさ、歴史の右往左往が親しみ深く思えます。それはそれで空間として悪くないなあ、と感じます。
(現在、「神社」というのが経済的に社会的に政治的に果たしている役割、あるいは果たしてきた役割、ということをちゃんと考えると、どっちかっていうと不愉快な気になるんですけれど。つまりは自民党安倍政権的な考え方ややり方の支持基盤だったりするので...。まあそれはまた別の話。)続きを読む投稿日:2017.08.10
神社とはどういうものなのかが広く浅く、要点を踏まえて解説されている。日本にある様々な神社、その神社に祀られているものがどういう神なのかが丁寧に説明されている。学生時代に学んだ『神仏習合』や『本地垂迹説…』『神仏分離』の流れが、時代背景と共に良く理解出来る良書。
ただし、ある程度『古事記』の知識や歌舞伎などを知らないと、かなり読みにくく理解しにくい。古事記と、歌舞伎関連の本を読んで読み直したら新しい発見がありそう。続きを読む投稿日:2023.01.30
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