水死
大江健三郎(著)
/講談社文庫
作品情報
母の死後10年を経て、父の資料が詰め込まれている「赤革のトランク」が遺言によって引き渡されるのを機に、生涯の主題だった「水死小説」に取り組む作家・長江古義人(ちょうこうこぎと)。そこに彼の作品を演劇化してきた劇団「穴居人(ザ・ケイヴ・マン)」の女優ウナイコが現れて協同作業を申し入れる。「森」の神話と現代史を結ぶ長編小説。(講談社文庫)
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商品情報
- シリーズ
- 水死
- 著者
- 大江健三郎
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2012.12.14
- Reader Store発売日
- 2013.01.11
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 544ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (10件のレビュー)
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大江健三郎の作品が好きな人にとっては、☆5つです
平成になってからの大江健三郎の作品というと、『燃えあがる緑の木』や『宙返り』などの対策が思い浮かびますが、これらのエッセンスである神話的手法がふんだんに盛り込まれた作品になっています。
演劇「死んだ犬…を投げる」とギュンターグラスの小説、夏目漱石『心』、作中映画「メイイスケ母出陣」。
メイスケ母とウナイコ。
フレイザー『金枝篇』と長江氏の父。 などなど。
過去と現在、物語と現在の対比から、小説の深みが増していきます。
ただし、いかんせん、その構造を読み解くには体力がいります。正直、一回読んで、メモを作成し、もう一度読み直すと物語の深みが分るかもしれません。続きを読む投稿日:2013.10.03
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大江健三郎最後の仕事
と何度となく言われている宣伝文句ですが、実際に最後になる作品ももうそろそろでしょう。
大江の作品はとにかくジェネレーションギャップが概ね多くの領域を占めています。江戸期と維新、維新と国家神道普及後、…戦前と前後…。
ウナイコの過激な新劇も”国家は強姦する、国家は堕胎する”というセリフをわざわざ解説しているにも関わらず、反対論者の理解を得られないし、さらに、大江の投射人物である長江の方でも、危機感を抱きながら見ているというシーンを挿入し、大江健三郎というノーベル賞作家の名を使った国家を非難するプロパガンダには容易には協力できないということを表してもいます。
これは、戦後民主主義のかつての社会主義勢力全盛で、大江文学の全盛時代とは明らかに異なるのだ、というメッセージを読者に発信しないではいられなかった大江健三郎の苦悩でもあるでしょう。
さて、反戦運動を行う大江が、最後の最後で銃撃を用いるのは自己矛盾のように見えますが、しょせん、自由というものは個人を守る力なしには成り立ちえないという現実があるからこれは仕方がないことでしょう。銃なくしては、作中のウナイコに襲い掛かる純然たる暴力に一片の反抗も許されることはないのだから…。実際、そのことを分かっている右翼からすると自己矛盾極まりないという感覚でしょうね。
作中の”父”の鞄に何も入ってはいなかったように、大江の”鞄”にももう何も入ってはいないのかもしれませんね。”父”がムラの伝統に拘って将校の支持を失ったという表現は案外、大江の心情の深いところを表現しているのかもしれません。
最晩年の仕事を見るに至って、結局、大江健三郎の仕事は”死者の奢り”に永久に取りつかれた作家の生きざまを徹底的に描いたというそれだけのものかもしれないと感じる部分もあります。実際、作家は”処女作”を超え、その先に至る展望を見ることが至上の目的でもあるのでしょうが…。
大江文学の集大成に星5つ。続きを読む投稿日:2018.09.01
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