一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語
岩田徹(著)
/ポプラ新書
この作品のレビュー
平均 4.4 (95件のレビュー)
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【読もうと思った理由】
これはもう完全にブグログのフォロワーさんの本棚を拝見している中から、初めて知った本です。最近はブグログで皆さんの本棚を見させてもらうことから新しい発見があるので、よく拝見してお…ります。元々「一万円選書」という言葉は、文学YouTuberベルさんの「本を一万円分買ったから紹介するよ」の動画で初めて知った。お恥ずかしながら、「一万円分本を買うのが最近流行ってるんだ」ぐらいの認識だった。あまりによく本棚で見かけるので、どんな本か気になり、タップしてみると…。そもそもの元祖は、著者の本屋を営む岩田さんで、本が売れない中で色々と試行錯誤の中、唯一成功した事例が一万円選書だとか。本好きとしては、その背景を知るだけで俄然興味が湧き、気付けば本屋さんで購入していた。
【感想】
読後の第一の感想は、「ずっと手元に置いておきたい本が、また一冊増えた」だ。
著者の岩田さんは、かなりご苦労されたみたいで、38歳で親父さんから書店経営を引き継ぎ、20年ほどはほとんど綱渡りに近い、いつ閉店してもおかしくないほど資金繰りも厳しかったそうだ。
そんな中、何とか店を立ち直らせるため、本当に色々なことをされたんだそう。
例えば、隣町の唯一の本屋さんが潰れた時は、車がない読者のために本の宅配事業をしたり、著名人を呼んでの講演会を定期的に開催もしたんだそう。また地元新聞からの依頼でお薦め本の紹介コラムを週一で10年継続し、広辞苑の下取り寄贈プロジェクトもやったんだそうだ。
ただ時代も悪く、経営を引き継いだ1990年頃から、いわゆる出版不況が始まり、業界全体の売上も年々減少し、それに比例して、お店の売上も年々減少し続け、赤字が膨れ上がっていったんだそう。本を仕入れるための資金繰りで、胃を痛め、ご飯も喉を通らなかった。身体的にも精神的にも追い詰められ、下血し、倒れて、入院。
そんな中どん底の中、一万円選書は2007年からスタートしたんだそうだ。
きっかけは、高校の先輩に「本が売れない」と愚痴をこぼしたところ、一万円を渡され、「これで俺に合う面白そうな本を見繕ってほしい」と依頼されたんだそう。
その時プレッシャーを感じながら、先輩の人となりを考えながら、真剣に選書し先輩に渡すと、後日、「面白かった。俺みたいな人間が100人も居たら、本屋の経営も安定するだろ」と言われたんだそう。この時がターニングポイントだったんだと思う。この時岩田さんは、その人その人に合った本をお薦めして新しい本と出会ってもらう、これこそが本屋の本来の仕事でしょう!と。この気づきがあり、あとは人一倍のバイタリティで、一万円選書を成功に導いていく。
一万円選書が成功した一番のポイントは、岩田さんも語っていた「選書カルテ」にあると思う。要は相手の方をよりよく知るために、詳細な質問に答えてもらう。例えば、過去読んだ中で印象に残った本20冊は? これまでの人生で嬉しかったこと、苦しかったことは?変わった質問では、これだけはしないと決めていること等等。記入してもらったカルテを元に一人一人に合った選書を行う。
岩田さんも本の中で言っていたが、選書をしている時は、その方とコミュニケーションを取っているんだそうだ。よくよく考えてみるとそれは当然で、相手の方に合った本を選ぶためには、まず相手のことを徹底的に知らないことには、相手に合った本を選ぶことなど、出来る訳がない。
これを読んだ時に改めて感じたことがある。それは読書をしている時に、作者とまさしくコミュニケーションを取っているんだと、最近感じるようになってきた。作者はどんなメッセージをこの本に込めて書いたのか。本を読んでいる時にそのことを意識しながら読めるように漸くなってきた。一冊の本を書き終えるまで、数ヶ月どころか作者によっては、何年もかけて一冊の本を書き上げる。それだけの年月を費やして書いた本に、作者の伝えたい思いがきっとあるはずだし、作者も伝わって欲しいと必ず思っているはずだ。
【本書から得た気づき】
「一度自分で決めたことは、最後までやり遂げる」ということと、「今まさに取り組んでいる仕事を、この上なく楽しめ」という2点が、今回本書から得た気づきだ。
岩田さんも20年間、本が売れなくて、辛く苦しかったと、本には書いていた。ただ色々なアイデアを常に考え、考えるだけではなく、実際に行動して、トライアンドエラーを繰り返していた。
ホンダの創業者である本田宗一郎氏の有名な名言で、「僕は見たり、聞いたりするが、それ以上に試すことをやっている。種を明かせばこれ以外にない。」というのがある。
岩田さんはまさに、この名言を実に20年諦めずに、実行し続けてきたんだと思った。
岩田さんが本書で沢山の良書を紹介してくれており、もちろんその本にも興味はあるが、やはりどんな逆境にも挫けず、自分を信じて頑張り続ける姿に、今回一番感銘を受けた。
【雑感】
私自身は有難いことに、「現在どんな本を読みたいか自分で分からない」という状況ではなく、読みたい本があり過ぎて、読む優先順位をつけるのに、迷っている状態だ。この先も読書は、ずっと飽きずに続けていくんだろうなというのは、ほぼほぼ間違いない。その時々で、興味があるジャンルは変遷するだろうけど。今は古典(哲学・古典文学)に興味がある。ただ毎回古典ばかりだと、しんどくなるので、古典→現代文学をローテーションで回していければ、今の自分にはちょうど合っていそうだ。続きを読む投稿日:2023.03.16
このレビューはネタバレを含みます
ちょうどタイミング良く一万円選書の受付期間だったので、すぐに応募しました。岩田さんに本を選んで欲しい。素直にそう思いました。
レビューの続きを読む
岩田さんのように仕事をしたい。利益とかじゃなく、誰かの喜ぶ顔や誰かのために…なる、自分の得意なことを活かせる、仕事が楽しいって思えるそんな仕事に就きたいな。もっと本を読みたい、いろんな本屋さんに行きたいなと思いました。
印象に残った部分
僕がなんのために本屋をやっているかと言えば、ひとりでも多くのお客さんに、1冊でも多くのおもしろい本をすすめるため。おもしろい本を書いてくれた作家からもらったパスを読者につなげるのが本屋の役目です。走り続けながらパスを必死に受け取って、後ろから来る人に渡さないとゴールはできません。僕は老いぼれるまではずっと現役でパスを受け取り、出し続けたいと思っています。死に際まで、子どもの頃にしていた「おもしろい本の教えっこ」をしていたい。続きを読む投稿日:2024.04.08
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