犠牲者の犠牲者

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  ボー・スヴェーンストレム『犠牲者の犠牲者』ハーパーBOOKS。
  
  『犠牲者の犠牲者』という不思議なタイトルのスウェーデン・ミステリー。なかなか面白いが、御都合主義が気になるところ。一連の連続殺人事件は…過去の事件の犠牲者による復讐なのか。予想外の二転三転の展開が続き、タイトルの本当の意味が明らかになる。
  
  第一部の冒頭から陰惨な描写が続き、登場人物たちの背景と共に被害者は全て犯罪者という異様な連続殺人事件の展開が綴られる。次々と7人にも及ぶ犠牲者が出たにも関わらず、警察はなかなか犯人に辿り着けない。時折、本編に挿入される幼い姉妹の奇妙な物語。語り手の妹が犯人なのか……
  
  第二部に入るとすぐに犯人は判明するが、意外な展開に驚愕する。第一部に挿入された物語の語り手の正体は……そして、犯人自らが語り出す自らの過去と犯行の動機、陰惨な犯行の一部始終……しかし、何かがおかしい。
  
  第三部。第二部で明らかになった事実が一変し、予想外の新たな真実が描かれ、『犠牲者の犠牲者』の本当の意味が明らかになる。
  
  ストックホルム郊外で全裸状態で磔にされた男性が発見される。指は切断され、舌と局部を切り取られた男性は既に死亡しているものと思われていたが、犯人により生かされていた。男性はマルコ・ホルストという凶悪犯罪者であることが判明する。捜査を指揮する警部のカール・エードソンと匿名情報を得た記者のアレクサンドラ・ベンクトソンが事件に迫る中、全く異なる手口で拷問された女性の惨殺体が発見される。そして、連続殺人はまだまだ続き……
  
  
  
  かつて、こういう海外のシリアル・キラー物のミステリーは、ハヤカワ文庫、創元推理文庫が主流だった。たまに新潮文庫や角川文庫でも目を引く作品を刊行するが、単発に過ぎなかった。この状況に扶桑社海外ミステリーが参入すると、瞬く間に一時代を築いた。古くは徳間文庫、講談社文庫や文春文庫、集英社文庫もたまにこういう類の作品を刊行していたが、勢いは完全に扶桑社海外ミステリーにあった。やがて、扶桑社海外ミステリーの王国に翳りが見えると、ヴィレッジブックスが台頭してくる。しばらく天下が続くと思われたヴィレッジブックスの勢いもそう長くは続かなかった。海外ミステリー自体が人気低迷する中、ハーパーBOOKSが創刊されると最初こそ勢いを感じなかったものの、今や面白いミステリーを次々刊行し、もっとも楽しみなレーベルになった。たまにハズレもあるが、ハーパーBOOKSの時代が到来したのかも知れない。
  
  定価1,430円
  ★★★★続きを読む

  投稿日：2021.11.21

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  take9296

  ストックホルム郊外で磔にされた男の全裸体が見つかった。
  残虐な拷問を受けた被害者は名うての凶悪犯罪者で、局部を切り取られたうえ、“生かされて"いた――。
  過去のレイプ被害者の家族による報復か、犯罪組織…の抗争か?
  捜査を指揮する警部カールと匿名情報を得た記者アレクサンドラ、それぞれが事件に迫るなか、異なる手口で拷問された惨殺体が発見され……。
  戦慄の北欧ミステリー!
  
  かなりエグい描写に辟易。何とか読了した。続きを読む

  投稿日：2022.11.05

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