ブックセラーズ・ダイアリー:スコットランド最大の古書店の一年
ショーン・バイセル(著)
,矢倉尚子(訳)
/白水社
作品情報
本を買いに行ったはずが、本屋を買ってしまった――
著者は1970年、イギリス、スコットランドのウィグタウン生まれ。「自他共に認める田舎」である故郷を大学進学で離れたが、30歳のとき、クリスマスの帰省中に、立ち寄った老舗古書店「ザ・ブックショップ」を衝動買いしてしまう。諸手続きをへて翌年手に入った店は、いまや10万冊の在庫を擁するスコットランド最大の古書店だ。かつて国内最悪の失業率に苦しんでいたウィグタウンも、書店の町として知られるようになり、町にも店にも世界中から観光客が訪れる。
とはいえ、由緒ある築約200年の建物は維持費がかさむ。厳冬期には客足が途絶え、一方で暖房費はばかにならない。さらに大手書店チェーン、のちには巨大資本アマゾンと電子書籍化という手ごわいライバルが行く手に立ちふさがる。時に奇天烈、時に傍若無人な日々の客たち。有能だけど変人の度が過ぎる従業員(いちばん変わっているのは著者自身だというのが客たちの評)。大人気イベントである秋のブックフェスティバルで起こる騒動の数々。心ゆさぶられる遺品買取。個人書店の店主は、毎日がサバイバル・ゲームだ!
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この作品のレビュー
平均 3.7 (29件のレビュー)
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瞬く間に世界的ベストセラーとなった一作目
"風変わりで素晴らしい世界の本屋"の第三位に選ばれた、スコットランドにある古書店主の日記。
YouTubeで検索すると著者だけでなく、店内の雰囲気、さらにニッキーまで出てくる。
日々の日記が店員の…彼女の動向から始まるほど、忘れがたいキャラ。
独自の本の分類法を持っていて、『オデュッセイア』など釣りのコーナーに押し込み、「だって船に乗る話じゃん。魚も食べたと思うよ」だって。
当然、店主の留守中はやりたい放題。
そんな彼女も、強烈なコロンを漂わせた男に言い寄られ、逃げ回っている。
店主も店主で、店を任せての外出が多い。
買い付けだけでなく、店内に置く雑貨オークション通いも定例で、なんと便器まで売っている。
釣り、川遊びなどの遠出や旅行もあって、日本の古書店主から見たらどう思うだろう。
かなり性格が悪く、客に対して辛辣で、観光バスで乗り付けてきた高齢者には「しょぼくれた客」と評し、「予想どおり何も買わずに帰った」と続く。
セット本が揃っていないからと買い取りで持ち込んだ客には、タダでもいらないと言い放ち揉めたり、客から探してる本の題名を教えてほしいと頼まれても、教えたらアマゾンで買ってウチで買わないだろうと渋るのだ。
客も客で負けていない。
価格を見て「ぼったくりだ」とイチャモンはつけるし、「本の置き場所が違う」は、実際その通りなんだけど、クレーム上位。
なんでその本が欲しいかを延々と説明する客もいるらしく、日本はここまで活気がないなと逆にうらやましく思った。
不思議と万引きに関する記述がなく、店内は死角が多そうなのに大丈夫なんだろうかと訝しんだが、カメラを設置して睨めっこしているようなことは触れられていない。
著者の楽しみは、どこかの家に買取に向かう時で、これは網を揚げたら何が入っているだろうとワクワクする漁師と同じらしい。
値段が決まって小切手を切るまでは、目の前に並んだ本は「宝物のようにキラキラ輝いて」いるが、箱に詰めて車に積み込むと、ズシリと重い荷物に、そして回収すべき投資物に変わる。
90歳の叔母への誕生日プレゼントにジェイムズ一世関連の本を探している客の話もいいが、買い付けに行った『デカメロン』をめぐるイタリア移民の話も感動的だ。
何代にも渡って一族に引き継がれてきた本が、300年以上前の蔵書となって著者の前に現れ、老女の遺産管理として引き取った経緯など、一族と本の運命に思いをはせた。
「友は来ては去ってゆくが、敵は残って増えてゆく」など至言の数々も魅力の一つ。
しかし極め付けは、ドストエフスキーの『白痴』を買った老人にチャックが開いてますよと教えてあげた時の返しの言葉。
「老人は確認するように下を向いてからぼくを見返して、『死んだ小鳥は巣から落ちはせんのだよ』と言うと、チャックの開いたまま店を出て行った」。
当たり前なんだけど、本との向き合い方についても言及が多い。
「ぼくはだいたい人から勧められた本は避けるようにしている。金脈は自力で掘り当てられると素朴に信じているからだ」というのも大いに納得。
あと本の書き込みを怒る客がいるが、逆だと語るのも面白い。
「ぼくにとって書き込みは、価値を損なうどころかむしろ嬉しいおまけのようなものだ。同じ本を読んだ他人の頭の中を覗き見られるチャンスなのだから」と。
自分も、若い頃に読んだ書き込み付きの本は、再読の楽しみが増えるため、なかなか捨てられない。続きを読む投稿日:2021.11.23
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漫画以外の書物でこんなに吹き出したことない…
人間て面白い生きものです。
極上の暇つぶしになりました。投稿日:2023.09.17
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