悪魔の証明 ――なかったことを「なかった」と説明できるか
谷岡一郎(著)
/ちくま新書
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事実ではないことを「そんなことはなかった」と説明するのは、実際にあったことを立証するよりも困難だ。しかし人は往々にして、そんな「悪魔の証明」を他人に強要する。思い込みが先行した追及は、ともすると自らの挙証責任をないがしろにするので、相手に説明の「無限ループ」を迫ることになる。敵を混乱させたり、イメージ悪化を図るには有効だが、もはや建設的な議論や問題点の抽出は望めない。本書では、犯罪学や統計学、そして宗教学も参照しながら、悪魔の証明の正体に迫ろう。
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この作品のレビュー
平均 2.8 (6件のレビュー)
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キリスト教の歴史を軸に「ないこと」を証明する難しさを示した本。
すこしキリスト教史についての記述が多いので、半分歴史系を読んでいる感覚でした。
いくつか保守系の意見が記載されているので、政治スタ…ンスがリベラル左派の人は読むのにストレスを感じるかもしれません。続きを読む投稿日:2021.12.21
タイトル「悪魔の証明」はよく法廷ドラマなどでも聞くように、無かったことを無かったと証明することである。本書でそれを「ネガティヴプルーフ」と呼んでおり、その逆あったことをあったと証明することを「ポジティ…ブプルーフ」と呼んで解説をしていく。あったことをあったと証明するのは、そもそも「あった」何らかの事実があってから議論が開始されるし、それを事実たる証拠や動機を並べていけば比較的立証するのは簡単だ。例えば、事件が起こった時に凶器の内部が見つかったとする。それ以前にまずは事件発覚に至るための死体や血痕がそこにある。さらに監視カメラの映像や足跡、犯人が残した髪の毛など、ありとあらゆるものがそこには「ある」。よって例えば狂気に残る指紋や、犯人が身につけていたと推測される黒い手袋と同じ繊維が残っているなど(勿論、捜査の過程で膨大な時間と手間をかける必要はあるが)、あったことを証明することができる。
その逆、無かったことを証明するのは難しい。そもそも無かったのだから、目に見えるような「無かった」証拠すらもない。例えるなら、そこに貴方は居ましたか?と聞かれ、「その時間は別の場所にいたため、私はそこには居ません(居たという事は無い)」というアリバイなどがそれに該当する。別の場所にいる=その場にいるはずがない、これを立証するためには、別の場所にいたことを立証する何か他の証拠が必要になってくるし、仮に誰かがそれを証明してくれたとしても、その誰かが嘘や便宜を図ってないと証明することが別に必要になってくる。無いことを無かったと証明するためには、そのように直接的な存在を証明する何かすら存在しないため、推測や合理的に類推可能な話を沢山並べて、「だから、あったと言う事は無い」と逆説的に説明していくしか無いのである。
本書ではそうした判りにくい内容をキリスト教の聖書の真実性や、政治の世界で繰り広げられる野党の批判内容や、統計学を用いながら解説していくので非常に飲み込みやすい。ただ若干キリスト教に文量が多く割かれているので、それに関する知識があった方が、なお読みやすく、理解も進めやすいだろう。
因みに筆者は無理な質問をする野党議員の質問の仕方の問題点や、新聞マスコミの意図的な情報操作にも怒りを覚えているようであるが、それに関しては私も共感できることが多かったため、読み進めるのが比較的楽であった。直接悪魔の証明とは話が離れていくものの、そもそも質問側が立証責任があるにも関わらず、回答者側に立証せよと迫る事例、公開討論を呼びかけて応じない姿勢などについて、報道を見るたびに大きな「違和感」を感じている。特にどこぞやの大学教授、テレビ局の社員のコメンテーター。昨日までは真逆の意見をいかにも真実であるのが間違いない、といった自信に溢れた口調で断言していた筈なのに、それを否定する証拠が出たり、世論がむしろ逆方向の賛同に傾いた瞬間、いかにも自分が以前からそうだったように態度を急変させる。そう言ったコメンテーターを抱える番組それ自体の知性も疑う。司会者もディレクターも誤りを認める態度は一切なく、検証しようという姿勢すら全く無い。総じて勢いと声の大きさ、威勢の良さ、断定的に喋る人は、大半は「ダメな人」に見えてしまう。
無かったことの証明ではないが、そういった誤った発言をする方は「居なかった事にしてしまう」傾向も見て取れる。枝野幸男氏しから、テレビ局を定年退職した社員コメンテーター然り、その様な恥辱の歴史を闇に葬りさろうとするのは日本人に共通する特徴として「ある」気がしてならない。続きを読む投稿日:2023.08.20
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