もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年
小山聡子(著)
/中公新書
作品情報
モノノケは、古代・中世では、正体不明の死霊を指した。病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族らは退治や供養に苦心した。近世になると幽霊や妖怪と同一視され、怪談や図案入りの玩具を通して庶民に親しまれる。明治以降、知識人のみならず政府もその存在を否定するが、新聞に掲載される怪異や文芸作品で語られる化物たちの人気は根強かった。本書は、豊富な史料からモノノケの系譜を辿り、日本人の死生観、霊魂観に迫る。
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商品情報
- 著者
- 小山聡子
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2020.11.25
- Reader Store発売日
- 2021.04.28
- ファイルサイズ
- 15MB
- ページ数
- 296ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (8件のレビュー)
-
遥か昔、恐ろしい存在であった「もののけ」が時代の移り変わりの
中で、どう変容していったかを豊富な史料から解き明かす。
序章 畏怖の始まり
第一章 震撼する貴族たちー古代
第二章 いかに退治するかー中世…
第三章 祟らない幽霊ー中世
第四章 娯楽の対象へー近世
第五章 西洋との出会いー近代
終章 モノノケ像の転換ー現代
主要参考文献、古文書・古記録の幽霊一覧有り。
もののけ、モノノケ、物の気。
古代は得体の知れない死霊の気が病気や死をもたらす存在でした。
天皇や貴族は、僧や陰陽師の調伏や供養に頼っておりました。
時代が経るにつれて「もののけ」は変容していきます。
調伏を行う者や手段の変容・・・双六や囲碁、将棋が用いられたり、
依代となる者がいたり、庶民には山伏や巫女、民間陰陽師が
行ったりしますが、中世以降は医学の発展が関わってきます。
幽霊と怨霊の区別が曖昧になっていき、
近世では死霊の存在が懐疑的になり、また平和な世、
刺激を求める対象になり、娯楽に取り込まれていきます。
かつて怪異だった妖怪や化け物は草双紙で視覚化し、
モノノケも、妖怪や幽霊、化け物との区別が明確でなくなります。
近代、文明開化と西洋の影響に翻弄され、衰退し、或いは注目。
現代、小説や漫画で描かれる姿は自然の中に追いやられます。
そして、人間との対立と共生。『もののけ姫』も登場。
様々なイメージとキャラクター化により、人に近づく存在に。
物の気、物の怪、モノノケ。
日本人の近辺にいたモノは、かつての畏怖の対象から、
時代の変遷と共に、ヒトの精神、世情等の様々な変化を経て、
ヒトに寄り添うまえに至るという、その変化の面白さを、
教えてくれる内容でした。続きを読む投稿日:2021.02.27
冒頭、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」を引用し、著者はこう言う。「これほどまでに栄華を極めた道長は、周囲の貴族から怨みや嫉みも大いに買っている自覚があった。その上…、病気がちで精神的にも脆弱だったこともあり、非常にモノノケを恐れていたのである」(「まえがき」より)。はてさてあの道長がそんなものを怖がっていたとは?と古代史に詳しくない私などは思ってしまうのだが、古代の人びとにとって人間の体を抜け出した霊魂(元に戻る場合は「生き霊」、元の体に戻らなければ「死霊」であり、いずれも「モノノケ」[物気])は主として病気をもたらすものとして恐れられていたらしい。道長自身の『御堂関白記』には怖がりすぎてあまりモノノケについて書かれていないらしいが、同時代の貴族の古記録(藤原実資『小右記』など)にはそう記されているとのこと。しかもそのモノノケ退治を自分自身でやることもあったとは、道長のイメージもだいぶ変わってこようというものである。また『小右記』に登場する油瓶の形になったモノノケの話はおそろしくもありおそろしくもなしであるが、一般に「鬼」の形に近似することも多かったモノノケがさまざまな姿を取って描かれていることも面白い(pp.68-75)。
日本人の死生観、霊魂観がやがて中世、近世、近代、そして現代に至るまでどのように変わって来たのかをちゃんとした歴史学の立場(要するに文献史学の立場)から繙いていく本書は、著者の専門分野が中世ということもあって、古代の終わりから中世を扱う第1章から第3章までが圧倒的に面白く読ませる。とくにモノノケを調伏する方法などを詳しく辿った第2章などは知らないことだらけで非常に面白かった。上段でも述べたが、頭の中で考えたことではなく、そうした具体性の中にこそ死生観や霊魂観が現れてくるのであろう。その点、第4章で近世の平田篤胤がモノノケ調伏を法師どもの謀略とする(p.185)のは、まさに「近代的」すぎてつまらないとも言えよう。続きを読む投稿日:2024.01.25
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