震える舌
三木卓(著)
/講談社文芸文庫
作品情報
その予感は娘の発作で始まった。極限の恐怖に誘われる衝撃の作品――平和な家庭での、いつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは、幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。<破傷風>に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。
◎距離が伸びる時には父親として病気に向き合い、距離が縮む時、一人の人間として感染症の恐怖に怯える中で語られる心の葛藤は、医学小説のそれではなく、もちろん恐怖小説のものでもなく、強いて言うなら、極めて純粋な戦記文学を読んでいる印象です。確かに、今まで読んだ全ての小説の中で、病棟という「戦場」の真実がここまで正確に描かれた作品を知りません。<石黒達昌「解説」より>
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商品情報
- シリーズ
- 震える舌
- 著者
- 三木卓
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文芸文庫
- 書籍発売日
- 2010.12.11
- Reader Store発売日
- 2021.01.29
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (8件のレビュー)
-
映画化されたものを小学生の時にTV初放映か何かで観た記憶だけでずっと鮮明だった口から流れる血の泡がトラウマで、破傷風という病気の恐ろしさをずっと引きずりいつか自分も外でけがをした時に発病するんじゃって…ドキドキしたのを覚えている。
急にその記憶から原作が読みたいって思うようになり、急遽借りて読んだ。
物語も素晴らしいが、住まいの表現、感情の描写、父として、夫としての描写などが巧みで天才作家だったんだなって感心した。
破傷風にかかった娘の看病地獄、そして自分も感染したのではないかと、しかも医師が正直に答えてくれないという疑心暗鬼が見事に盛り立てられており、最後の大部屋の子供たちが全員寝ましたと電話のセリフまで緊張感が半端なかった。短い話だけど読みごたえは十分で、あとがきを読んで実は作者の実話だったと知り二度びっくりした。
そして我慢できずAmazonプライムで無料視聴できるという事もあり、映画版まで観た。
小学生の時の記憶は薄ぼんやりだったけど、子供が扉を開けて入ってくるシーンや、お父さんがうたた寝したときに開くカーテン、そして発作時の口からの血泡は当時そのままの映像でまったく色あせることなく覚えていた自分にもびっくりだった。
余談だが、この映画、今作ったらもう幼女を裸に剥き大のおっさんが触りまくっているという異様なシーンで問題視されていただろうなぁ続きを読む投稿日:2021.05.01
このレビューはネタバレを含みます
一人娘にある日突然現れた異変。悪魔に憑かれたかの如く激しい発作に暴れ苦しむ娘の病はやがて破傷風と判明し、入院し本格的な治療が開始されるも、付ききりで必死の看護に当たる両親の精神は次第に蝕まれていきます…。
レビューの続きを読む
作家の実体験を元にしたというこの小説は、娘の病状がリアルで本当にしんどそうで心が痛んだのはもちろんですが、それ以上に両親がそれぞれにじわじわ追い詰められていく描写に胸を締め付けられると同時に、あまりの凄まじさに恐怖を覚えました。
物語の語り手でもある父親も、冒頭で「お父さんがあまり娘を叱るからストレスで体調が悪化するのだ」と言いがかりをつけられるほどには神経質で繊細で、自分自身の幼児体験や感染への不安でピリピリし、看病にやつれて病んでいるのですが、ふと気づくと実は母親が、誰よりも娘への自責の念に苛まれながら、娘の凄惨な発作への恐怖のあまり、今で言うPTSD的症状に陥り、しばらく病室に足を踏み入れることができなくなるという展開は夢に出てきてうなされそうです。40年程前にホラー風味の演出で映画化されたのもさもありなん、と納得。これでラストに救いがなかったらトラウマに留めを刺されていたと思います。ああ、あのラストで良かった……。
続きを読む投稿日:2021.01.02
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