邪馬台洞の研究
田中啓文(著)
/講談社文庫
作品情報
「主人公・比夏留の名字“諸星”は諸星大二郎さんからいただいたものです」――作者
「本当です。」――諸星大二郎
女子高生・諸星比夏留(ひかる)は、古武道〈独楽(こま)〉の達人で、民俗学研究会所属の大食い少女だが、部活の仲間たちと、いつも摩訶不思議な事件に巻き込まれる。学校の裏で邪馬台国を探す表題作をはじめ、子供たちが洞窟の中で消失する「人喰い洞の研究」など、今回もめちゃめちゃ笑えるトンデモ伝奇「私立伝奇学園」シリーズ。第2弾
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商品情報
- シリーズ
- 邪馬台洞の研究
- 著者
- 田中啓文
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2009.03.13
- Reader Store発売日
- 2021.01.22
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 384ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (5件のレビュー)
-
「曾祖父にききましてん。この学校の裏に〈常世の森〉という森がありますやろ?そのなかのどこかに,財宝があるらしいんですわ」
「ざ,財宝……?」
比夏留は身を乗りだした。
「それが,卑弥呼の財宝らしゅう…おまんねやわ」
「ひ,卑弥呼の財宝……!」
比夏留は口から火を吐かんばかりに叫んだ。
「すっ,すごおい。ロマンです。古代のロマンですよっ」
(「邪馬台洞の研究」本文p.33-34)続きを読む投稿日:2009.03.24
“「今です。はやく……」
保志野だった。保志野は、倒れた弾次郎を抱え起こそうとしたが、もちろんそれはむり。比夏留が、
「えいっ」
と気合をいれて、父親を立たせた。
「パパ、大丈夫……?」
「あ、ああ………ちょっとふらついただけだ。——きみは?」
「お嬢さんの級友で、保志野ともうします。はじめまして」
「え?はあ……その……こちらこそはじめまして」
「そんなことやってる場合じゃないでしょ。逃げなきゃ」
保志野が松明を鳥に投げつけると、下腹部に当たって、鳥ははばたきながら飛び退いた。
「今です!」
三人は逃げる。やっと洞窟の入り口に到達し、外へ。
ぜいぜいはあはあぜいぜいはあはあ。鍛えているとはいえ、比夏留と弾次郎は重すぎるし、保志野はふだん運動をしていないつけがまわってきて、三人はそれ以上一歩も進めず、小川のほとりにへたりこみ、荒い息をついた。”
またもとんでも。
保志野がなかなか好き。
“「ようい、はじめっ」
大会委員長の掛け声によって、競技がはじまった。盛岡の大会は十五分勝負、花巻は五分勝負であるが、この村のルールは、食べられなくなるまでのデスマッチである。元椀と呼ばれる椀を手に持ち、なかの蕎麦を一口ですすりこむ。からになった元椀をちょいと上げると、隣に立っている給仕係が椀に入った一口分の蕎麦を放り込み、その椀を重ねていく。花巻や盛岡のものよりは多いとはいえ、この村のわんこそばも一回分の量は少ないが、それでも百杯、二百杯と食べると、そうとう腹にこたえる。薬味として、葱、海苔、削り節、まぐろ、とりそぼろ、なめこおろし、くるみ……などがあるが、それらを食べていては蕎麦が食べられないので、競技の際は薬味は取らないのが基本である。もちろん、つゆも飲まない。
「ほいっ、ほいっ、ほいっ、ほいっ」
「よっさあ、よっさあ、よっさあ、よっさあ」
「いーあるさんすーうーりゅーちーぱー」
「とんとことんとこ、すっとこすっとこ」
「うんこまちんたまきんたまぎんたま」
変な囃し声にあおられて、出場者は次々と蕎麦を平らげ、椀を重ねていく。しかし、比夏留はペースが遅い。ほとんどの出場者は三百杯を越し、羊歯山にいたっては四百杯の大台にのろうかという状況なのに、彼女はまだ二百杯と少しである。それもそのはず。比夏留は、ひと椀ごとにあらゆる薬味を椀のなかにぶち込み、つゆも味わってごくごく飲み干しているではないか。
「おいしーっ、このなめこおろし。薬味、おかわりねっ」
「あのー、差しでがましいこと言うようざが、あんまり薬味喰うと蕎麦が食べられねっぜ」
給仕が耳打ちしたが、
「だって、おいしいんだもん。もっともっと持ってきて」”続きを読む投稿日:2011.04.11
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