次の震災について本当のことを話してみよう。
福和伸夫(著)
/時事通信社
作品情報
関東大震災の「火災」
阪神淡路大震災の「家屋倒壊」
東日本大震災の「津波」
これらをを同時に経験するかもしれない。
首都圏を襲う大地震も懸念される!
★日経新聞「春秋」で紹介!
★読売新聞に書評掲載
★「東洋経済オンライン」で紹介!
★2018年5月25日付 日刊工業新聞「話題の本」で紹介されました
【次の震災の光景】
街は津波に襲われたところと、火災で燃えているところと両方の惨状が広がる。あまりたくさんの家が壊れているので、避難所には入れない。人々はヨレヨレの格好で郊外に歩いていく。
行き倒れになっている人を助けることもできない。電気もガスも水道もすべてが途絶。…衛生状態も悪化の一途。街には強烈な腐臭が漂う。
【危うい大都会】
入り江を埋め立てた東京・日比谷、丸の内の地盤はズブズブ。関東大震災では丸の内のほとんどのビルが倒壊した。スイスの再保険会社が公表した自然災害危険度が高い都市ランキングで「東京・横浜」はワースト1。大阪・中之島は高波や津波の時どう対処するのか。名古屋駅前もズブズブ地盤! 林立する超高層ビルの安全性は十分には検証されていない。
【40年の空白】
戦後40年、高度成長期に大都市で大きな地震がなく、日本は経済成長を遂げた。この間、電気、燃料、水道、通信網が高度に発達し、それを基盤にした社会に日本人は生きている。次の巨大な地震はそれらをすべてストップさせて容易に回復できないという、過酷な事態をもたらす可能性がある。東海・東南海地震が起きたら、世界はその後に南海地震が続くと警戒し、日本は売り叩かれる。世界恐慌につながる。
【見たくないものを見る】
こうした事態は多くの人にとって「見たくないもの」。私たちは「誰かがうまくやってくれている」と、見たくないことに目をつぶり、人任せにして日々を過ごしている。「見たくないもの」をあえて見ることが最悪の事態を防ぐ。
【ホンネが問題を解決する】
企業の事業継続計画(BCP)は、本来「具合の悪いところを見つけて改善するためのもの」なのに、「社長や株主に報告するため」のきれいなものになっている。
組織の死命を制する防災は「ホンネ」で語らなければダメ。名古屋の大手企業70社と「ホンネの会」を始めた。「自分の組織の悪いところを正直に話すこと」「嘘をつかないこと」が入会資格。「実はうちも全然ダメ」などというやりとりが続き、それぞれが持ち帰り自社の防災対策に生かしている。ホンネがホンキの対策を生む!
【今すぐできること】
南海トラフ地震のような大規模災害では公的な支援は不足する。自助が基本。家の耐震化は見栄えさえ気にしなければ安くできる。進学、結婚で新しい土地に住む時は地盤と建物を選ぶ。そんなのは無理という人も、家具だけは止める。みんなが家具を止めれば、大震災の被害は圧倒的に減る。まずは自助の基本、耐震化と家具固定を率先する。今すぐできることはたくさんある!
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商品情報
- 著者
- 福和伸夫
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 環境・エネルギー
- 出版社
- 時事通信社
- 書籍発売日
- 2017.11.30
- Reader Store発売日
- 2020.09.25
- ファイルサイズ
- 11.2MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (13件のレビュー)
-
"南海トラフ巨大地震は必ず来る"と断言していることは大事だと思う。政府や大手マスコミが、予想されるとしか言わないことが問題。必ず来るから、何を優先してすべきかを考える必要がある。
投稿日:2018.03.11
震災について、雑多な話題をエッセイ風に述べたもの。分かりやすく地震のメカニズムや震災対策の課題などがまとめられている。
が、基本中の基本のことばかりなので、詳しい人には物足りない。
この本にも言及さ…れているが耐震診断の地域係数の問題点についてはもっと広く知られてほしい。同じ大きさの地震が起きればどこの場所でも同じような被害になるのに、なぜか沖縄や九州は地域係数のおかげでより簡易な対策で許されている。自分これは知ったときからずーっとおかしいと言い続けている。
残念ながら科学的にまったく根拠の無いこの係数のせいで、案の定熊本地震では対策不十分な公共施設が倒壊し、被害が拡大したのだ。
この地域係数を導入した学者や官僚はクビにするべき。続きを読む投稿日:2023.08.13
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