大地動乱の時代 地震学者は警告する
石橋克彦(著)
/岩波新書
作品情報
幕末にはじまった首都圏の大地震活動期は、関東大震災(一九二三)をもって終わり、その後、東京圏は世界有数の超過密都市に変貌した。しかし、まもなく再び「大地動乱の時代」を迎えることは確実である。小田原地震が七十年ごとに発生することを明らかにした地震学者がその根拠を明快に説き、東京一極集中の大規模開発に警鐘を鳴らす。
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商品情報
- シリーズ
- 大地動乱の時代
- 著者
- 石橋克彦
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 環境・エネルギー
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 1994.08.22
- Reader Store発売日
- 2011.04.15
- ファイルサイズ
- 5.3MB
- ページ数
- 234ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (8件のレビュー)
-
主に東海・関東地方の地震の歴史とメカニズムについて解説した本。安政の東海地震から大正の関東大震災までを活動期とし、それ以降は静穏期が続いたとする説を中心に、詳細な歴史的事実を追い、プレートの理論と推論…で解説している。主な大地震の発生域を地図で示し、それぞれをプレートのメカニズムで解説し、沈み込み速度やすべりの長さ、繰り返し周期を分析している4章はわかりやすかった。
1986年の大島噴火の後、2000年には三宅島も噴火したが、これらが「前触れ」の可能性があると著者が示唆している小田原地震は起きていない。著者も認めているとおり、小田原地震のメカニズムは複雑で、この本を読んでもよくわからなかった。
一方で、東海地震が次の南海地震まで持ち越される可能性も、この時点で示唆している。アムールプレートが東進していることや、濃尾地震の断層のずれによって東南海地震の発生時期が早まり、東海地震が発生しない要因になったとの説は興味深かった。
6章では、首都圏の地盤の弱さについて歴史的な観点から説明しているほか、東京一極集中が官僚主導型業界協調体制に起因するとして、地方分権の推進や新都の建設を提言しているのも説得力がある。
地震についてはわからないことがまだ多いということもよく伝わってくる。これ以降の研究成果についても学びたいと思った。続きを読む投稿日:2011.04.21
このレビューはネタバレを含みます
前半は日本における(特に近世以降、記録に残っているものを中心とした)地震史。そして後半は地震というもののメカニズムについて述べられている。
レビューの続きを読む
さらに前半の中心となっていることがらは元禄以降、関東~東海…地域にかなり大規模な地震が群発し、それが最終的には関東大震災という大惨事でフィナーレを迎える。そしてそれがひいては昭和の恐慌、植民地~軍国主義の台頭、さらにそれが太平洋戦争へとつながり、これもまた原爆投下という悲惨なフィナーレを迎えたというわけだ。
ただ、その後鎮まった大地の恩恵も受け、日本は未曽有の経済的発展を遂げる。そのピークがバブルを過ぎ、勢いを失うことが恒久化してきたここしばらくの間、大地はまた騒ぎ始め、3.11を迎えた。ただしこれがフィナーレかどうかはまだわからない。それは江戸時代後期の「震災」が何度も繰り返されたことで十分示されている。とにかくそれがあまりにも現在の状況と似ているので、ちょっと背筋に寒気が走る気がしたほど。
著者は「地震」と「震災」は全く異なるものだという。前者は人智の及びようもないことだが、だからこそ後者においてはそれを最大に発揮すべきなのだと。しかし果たして今、その体制があるかどうかと問われたら否定するしかないだろう…悔しいことだが。続きを読む投稿日:2014.08.10
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