アメリカ自動車産業 競争力復活をもたらした現場改革
篠原健一(著)
/中公新書
作品情報
長期停滞を余儀なくされたアメリカの自動車産業。小型車開発の後れや金融子会社の不振により、2009年にはGMが国有化されるに至った。しかし、新生GMは改革を推し進め、2011年には世界最大の自動車会社に返り咲いた。電気自動車の開発やシェールガス革命も追い風である。この強さは本物なのか。競争力の源泉である工場現場を調査し、品質管理や意識改革の成功と限界を明かす。企業人必読の書。
もっとみる
商品情報
- 著者
- 篠原健一
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2014.07.25
- Reader Store発売日
- 2020.05.15
- ファイルサイズ
- 10.1MB
- ページ数
- 232ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.7 (13件のレビュー)
-
アメリカ合衆国の現代労働史。『アメリカ自動車産業』というタイトルに偽りがないわけではないが、「アメリカ合衆国の自動車産業で働く近代的産業労働者(プロレタリアート=ブルーカラー労働者)の労働動態」が主題…であり、本書では経営についてはそれに付随する範囲内で述べられている印象を受けた。
1952年に「アメリカにとって良いことは、GMにとっても良いことだ」と述べたのはGM会長にして国防長官のチャールズ・ウィルソンであった(本書13頁)。1914年のフォード主義誕生以来、アメリカ合衆国は自動車と、自動車を使わずには生活できない現代社会を築き上げてきたのである。
その自動車産業で働くアメリカ合衆国のプロレタリア階級の姿は、本書では労働組合と労組の掲げる同一労働・同一賃金の原則によって守られた、極めて平等主義的なあり方であり、同盟系の労組が中心となって成果主義を受け入れて来た戦後日本のプロレタリア階級の姿(本書62-71頁に記載あり)よりも遥かに働きやすそうだと、本書を読んで私は感じた。
“……日本における一般通念では、アメリカ起業においては厳しい競争主義が職場を貫いていると思われがちである。しかし実際のところ、ビッグ3では長い間、いかに職場労働から競争を排除するかについて、労使間で交渉がなされてきた。
意外にもアメリカでは労働組合員であるブルーカラーはもちろん、一般にホワイトカラーでも中層以下なら厳しい能力主義で処遇されているわけではない。むろん例外はあろうし、すべてのケースで同様なわけではない。”(本書44頁より引用)
無論、この労使関係の悪さが1960年代まで世界をリードしていた合衆国の自動車産業のビッグ3が、70年代に日本車や欧州車に追いつかれ、80年代には日本の自動車産業に追い抜かれてしまい、必死になってトヨタから「カイゼン」を取り入れるも、結局は経営改革に失敗し、リーマン・ショック後を受けた2009年にビッグ3がそれぞれなりにあり方を変えざることを得なくなったことは周知の事実であり、著者もその点で合衆国の労働組合のあり方や同一労働・同一賃金の原則を批判する立場から本書を書いている。また、アメリカ合衆国の労働運動の主流には、組合による反移民主義といった問題や、経済史の立場から
“……ソ連消滅前の日本などから見ると,アメリカの労働組合は「意識が低い」のであって,AFLもCIOも冷戦の中で共産主義に反対し,朝鮮戦争やヴェトナム戦争を支持した。さらには保守的な共和党大統領候補ロナルド・レーガンを応援したりもした。いったい,こうした特徴はなぜ生まれたのか。”
(岡田泰男『アメリカ経済史』慶應義塾大学出版会、2000年5月1日発行、155頁より引用)
といった保守的・民族主義的な発想についての指摘が存在する。私も合衆国の労働運動排外主義的なあり方はどうかと思うものの、昨日一昨日と2日連続13時間以上の労働を行わざるを得なかった日本のホワイトカラーとしては、本書で描かれたしっかりと労働組合が労働者を守る姿について、正直なところ羨ましいとも感じるのである。続きを読む投稿日:2020.05.17
アメリカの自動車会社の労働者の働き方や価値観がうかがわれて、非常に勉強になった。と同時に日本人の「働き方」についても考えさせられた。昨今の「働き方改革」は改悪であって改善ではない。特に「同一労働同一賃…金」の導入が本当の改善になるのかは、はなはだ疑問である。結局は、社会保障制度維持のための「働かせ改悪」に過ぎない。そこそこ充実感をもって各自それぞれの幸福感を維持できるように社会のベクトルを向けるようになる日はいつ来るのだろうか。続きを読む
投稿日:2020.04.18
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。