五・一五事件 海軍青年将校たちの「昭和維新」
小山俊樹(著)
/中公新書
作品情報
昭和恐慌下、民衆が困窮を極める中、政党政治の腐敗を憂える海軍青年将校らが起こした五・一五事件。首相を暗殺し、内大臣邸・警視庁を襲撃、変電所爆破による「帝都暗黒化」も目論んだ。本書は、大川周明、北一輝、橘孝三郎、井上日召ら国家主義者と結合した青年将校たちが、天皇親政の「昭和維新」を唱え、兇行に走った軌跡を描く。事件後、政党内閣は崩壊し軍部が台頭。実行犯の減刑嘆願に国民は熱狂する。昭和戦前、最大の分岐点。
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商品情報
- 著者
- 小山俊樹
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2020.04.25
- Reader Store発売日
- 2020.05.15
- ファイルサイズ
- 11.3MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (22件のレビュー)
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犬養毅暗殺は主目的ではなかった
二・二六事件に比べて、映画やドラマ、小説や漫画で取り扱われることが少ないのはなぜなのか疑問に感じていたが、本書を読むとその謎の一端がよくわかる。
なるほど、わかりにくい事件である。
それもそのはず…、計画は二転三転し、決起した者たちでさえ、要人を暗殺したら自害するはずが、ますます混迷し、しまいに「計画が複雑すぎる」と吐露するほど。
一番驚いたのが、首謀者にとって、君側の奸を打ち取ることが主目的だったのではなく、桜田門の警視庁に乗り込んでの決戦がハイライトと考えていたこと。
彼らにとって警官は「支配階級の私兵」なのだから、襲撃相手に相応しかったらしい。
その後は、憲兵隊に乗り込んで堂々と自首するという筋書き。
武器も当然、将校たちだからいくらでも持ち出せたのだと思っていたら、ヤクザの抗争と変わらず、風呂敷に隠してコソコソと調達してもらっている。
投じた手榴弾の不発が多いのも、普段から使い慣れたものでなかったためか。
そもそも二・二六事件のように、なぜ軍隊を使わなかったのかも昔から疑問を呈する人がいて、天皇の軍隊を私兵化することは駄目だと肝に命じていたから。
この他にも彼らには、海軍主導ではあるのだが、海軍・陸軍・民間の三者が一致して決起することに強く拘った。
右翼と一括りに言っても、革新右翼と観念右翼は違うらしく、前者が大政翼賛的な全体主義を志向するのに対し、後者は天皇の前では皆平等で各自の覚醒をひたすら希求する。
二・二六事件が成功していたら、五・一五事件の関係者は殺されることになっていたというのも、本書ではじめて知った。
もっと驚いたのが、犬飼首相が凶弾に倒れても政党政治は十分に存続が可能だったのに、昭和天皇の意向が働いて、政党の凋落や議会の価値の低下が始まったという指摘だ。
それにしても「私心なき精神」か「昭和維新」か知らないが、青年将校や士官候補生がこのような事件を起こした後の、陸軍や海軍の指導部の反応が本当に解せない。
あまり罪を重くせず内密に処理したいというのは面子の問題だから理解できるのだが、組織的には軍規の乱れを重視して内部の締め付けに動くのかと思ったら、「若い連中が弔い合戦だと騒いでいる」と慌て宥めすかしたり、出所後は手元不如意だろうと300万円ほど握らせ海外に赴任させるなど、部下にとことん甘い上司たち。
無官が好き放題に文句を言えて、責任ある立場の人間はひたすら彼らを慰撫し取り繕う風潮は、今と全然変わっていない。続きを読む投稿日:2020.07.15
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五一五事件が、以後の日本に重大な影響を与えたにも関わらず、わかりにくい、二二六に比べて被告達の刑が軽い等、謎な事件だが、当時の政党政治の行き詰まり感が強く、それが事件の深刻さを恰も軽減してしまっている…ように感じた。続きを読む
投稿日:2024.02.14
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