Compassion（コンパッション）――状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力

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  2020年11冊目。
  
  いまのところ、今年一番「出会えてよかった」と思う本であり、感想をうまくまとめることは難しい。間違いなく、手元にずっと置いておき、ことあるごとに読み返す一冊。
  
  本書のテーマを一…言で言うならば、「自分を犠牲にせず、本当に他者のために役立つための力」だ。そのために必要な資質として、「利他性」「共感」「誠実」「敬意」「関与」の５つの力が各章で紹介される。
  
  特筆すべきは、これらの力を「エッジ・ステート（Edge State)」と称していることだ。なぜ他者のためになるこれらの力が「崖際の状態」なのか。このメタファーが示すことに、この本の本質がある。
  
  ５つの力は、行き過ぎたり使い方を誤れば、一気に負の側面が表出する。たとえば「利他性」は、人の役に立てている自分でありたいという承認欲求に基づく「病的な利他性」に。「共感」は、他者と同化し過ぎて自身が蝕まれてしまう「共感疲労」に。「関与」は、力を使い果たした「燃え尽き」に......
  
  だからこそ、これらの力は「一歩踏み外すと危険は崖際の状態」なのだけれど、実はこの「崖際」という言葉にはもうひとつの意味がある。それは、そこは最も見晴らしの良い場所であり、危険を伴いつつもここに踏ん張ることができれば、最も他者の役に立つころができる最善のポイントだということだ。
  
  そして、この崖際で落ちることなく踏ん張れ、もしも落ちたとしても学びとともに上まで戻ってこられる力になるのが「Compassion（コンパッション）」という力なのだという。多くの場合「慈悲」や「思いやり」と訳されることが多い言葉だが、本書では「共にいる力」と表現されている。役に立ちたい相手に没入し過ぎることは、ときに自分自身の足場をなくし、役に立つべく自身は不在にさせてしまう。そうではなく、自身の足場もきちんと確保してこそ、文字通り「共にいる」ことができるのだと。
  
  各資質は、どのような危険に陥る可能性があり、逆にどのように健全に育むことができるのか。それが語れる各章には、著者の特異な経歴（禅の僧侶／社会活動家／世界的な人類学者）が活きていて、仏教から引用してきた物語、世界の活動現場で見聞きした実際のエピソード、心理学・神経科学の実験結果などがミックスされ、とても説得力がある。そしてそれらが、地に足の着いた穏やかな言葉で紡がれていくため、とても静かな気持ちで読むことができる。
  
  約８年前に、共感疲労の極地ともいうべき病で倒れた経験から、この本は必要とする多くの方に届いてほしいと心から思う。あのときの自分に手渡したいと心底思うので、第二・第三の自分になってしまう兆候のある人たちに、ぜひ届いてほしい。
  
  ※自社本に対する個人的メモです。続きを読む

  投稿日：2020.05.04

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  Taka

  コンパッションとは、自己や他者に対する純粋な思いを維持し、自分自身や相手と共にいるための力である。
  コンパッションには、『利他性』『共感』『敬意』『誠実性』『関与』という5つのエッジステートが密接に関…わっているという。
  5つの力は、行きすぎたり使い方を誤れば、負の側面が表出するため、役に立ちたいという相手に対して深く没入しすぎてしまうことは禁物である。
  コンパッションは豊かな人間性を育むものだと認識したため、本書で紹介されているGRACEを実践し、コンパッションを高めていきたい。続きを読む

  投稿日：2020.12.31

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