誰かに教えたくなるレトロ建築の話
門井慶喜(著)
,奈良岡聰智(著)
/潮新書
作品情報
近代建築&政治の裏には、深いドラマがある!
レトロ建築、近代政治から、オリンピック、万博を見すえた未来への展望まで。
●建築界には維新の負け組が多い
●医療のための海水浴場として開発された大磯
●眺めの良い場所は権力者や金持ちが独占
●明治の元勲はみなEXILE(流浪者)だった
●アメリカの意向で壊された浦上天主堂
●統一性、秩序的な美に欠ける東京の街
●都市を変えたオリンピックと変えなかった万博
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商品情報
- シリーズ
- 誰かに教えたくなるレトロ建築の話
- 出版社
- 潮出版社
- 掲載誌・レーベル
- 潮新書
- 書籍発売日
- 2020.03.05
- Reader Store発売日
- 2020.03.19
- ファイルサイズ
- 7.4MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
建築物 家などを 語るというのは、歴史的な視点でみると
面白いものが、見えてくる。
辰野金吾の「東京 はじまる」の 門井慶喜と
日本政治外交史の専門家の 奈良岡聰智による対談が、
1909年に辰野金吾…が作った奈良ホテル。
大磯の料亭 松月、丸の内ホテルのレストラン。
という臨場感があって、実に良い企画である。
高橋是清に学んだ 辰野金吾。佐賀出身であったが、
全く、高橋是清に会えたことが、セレンディピティだった。
そのことによって、政治力の力を得ることができたのかもしれない。
建築界には、維新の負け組が多いという指摘は、ありうる。
医療のための海水浴を提唱した鈴木順によって、
大磯が、別荘地となり、伊藤博文、大隈重信、陸奥宗光、
山縣有朋、西園寺公望・寺内正毅・原敬・加藤高明・吉田茂
など 首相経験者たちが多く住み、明治の奥座敷と言われた。
その別荘は、質素で、日常生活をすることが目的で、
家から 海を越えて、富士山が見える位置であった。
外に視線を置ける 別荘で、軽井沢は うちに向ける別荘。
政治家や経済人が濃密なコミュニケーションができる。
岩崎弥之助、渋沢栄一もいた。
政治家のスケールが、大きいのは、こんなところにあったかもしれない。
原爆ドームの評価の仕方と長崎の浦上天主堂が、なぜ破壊されたのか
というのは、実に興味深い話である。
原爆ドームが、世界遺産に指定された。世界が認めたのはなぜか?
帝冠様式が、1920年から1930年台に流行ったのは、日本の歴史的な背景があり、
天守閣の再建が絡んでいたというのが、愛知県県庁舎から読み取れるのは
なるほど、そうやって、建築物を見るのかと納得した。
愛知県にいた時に、子供ながら 不思議な違和感があったのが、理解できた。
統一性や秩序が一貫しない東京の建築物について、
街並みの あり方として、もっと 深めていく必要がある。
関東大震災、戦争による災害、そしてオリンピック1964によって
東京の街が破壊されていったというのも、面白い。
リフォームという言葉を使っているが、リノベーションというべきものだが
再開発の困難性は、あるものをどうするのかということが
重要で、思想や哲学がいるわけだが、その思想がなくなってきている時代という。
都市計画のあり方にも、もっと 思想がいると思った。
建築物を見る視点を与えてくれる 面白い対談だった。続きを読む投稿日:2020.04.03
面白かった。大磯の避暑地の成り立ち、軽井沢との違い。原爆ドームと浦上天守堂の差。アメリカの対応。オリンピックと万博など示唆に富む着眼点に感心した。周辺の本が読みたい。
投稿日:2021.01.12
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