シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成
安宅和人(著)
/ニューズピックス
作品情報
◎読者が選ぶビジネス書グランプリ2021 総合グランプリ受賞!!
◎ビジネス書大賞2020 特別賞(ソーシャルデザイン部門)受賞!!
◎ITエンジニア本大賞2021 ビジネス書部門 ベスト10!
◎累計17万5千部突破!
30万部超の名著『イシューからはじめよ』から9年――。
渾身の力で投げ込む、ファクトベースの現状分析と新たなる時代の展望!
AI×データの発展により、時代は多面的に「確変モード」に突入した。
目まぐるしく動く社会の中、本書は以下の問いをひとつなぎにして答える。
・現在の世の中の変化をどう見たらいいのか
・日本の現状をどう考えるべきか
・企業はどうしたらいいのか
・すでに大人の人はこれからどうサバイバルしていけばいいのか
・この変化の時代、子どもにはどんな経験を与え、育てればいいのか
・若者は、このAIネイティブ時代をどう捉え、生きのびていけばいいのか
・国としてのAI戦略、知財戦略はどうあるべきか?
・AI時代の人材育成は何が課題で、どう考えたらいいのか
・日本の大学など高等教育機関、研究機関の現状をどう考えたらいいのか
ビジネス・教育・政策…全領域にファクトベースで斬り込む、著者渾身の書き下ろし!
意志なき悲観論でも、現実を直視しない楽観論でもない、建設的(Constructive)な、「残すに値する未来のつくり方」。
目次
1章 データ×AIが人類を再び解き放つ――時代の全体観と変化の本質
2章 「第二の黒船」にどう挑むか――日本の現状と勝ち筋
3章 求められる人材とスキル
4章 「未来を創る人」をどう育てるか
5章 未来に賭けられる国に――リソース配分を変える
6章 残すに値する未来
読者コメント
「久々にすっごい面白い本に出会った。これからの時代の生き方の教養書として面白い」
「これからの日本が進むべき道を豊富なデータと精緻なロジックで導き出している」
「新人教育やマネジメント教育に必須の本だと思う。これから日本で生きる全てのビジネスパーソンが何を目指し、何をすべきかが詳細に書かれている」
「安宅さんの『日本を何とかしたい』という熱い思いが伝わってきて、ビジネス書なのに感動しました。個人的に今年のベスト本になる予感」
「一気に読んだ。『未来をつくる人』をどう育てるか、についても多くのページが割かれている。子育て中の方にもおすすめ」
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商品情報
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この作品のレビュー
平均 4.3 (301件のレビュー)
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【感想】
「イシューからはじめよ」の著者でもある安宅氏の著作。
現在の日本に漂っている「このままじゃヤバイ」という一種の停滞感・倦怠感、そしてそこから脱却する為のシフトチェンジまでを見事にまとめた1冊…となっていました。
冒頭には、
「いまの日本には不安と停滞感、現実を直視しない楽観、黄昏感が満ちている。悲観論や批判ばかりの人、危険を煽るだけの人も多い。」
と、なかなか手厳しい一文が書かれていました。
この国で働いているビジネスマンの誰しもが感じているであろう「謎の危機感」を、より一層煽るようなこの一文に、読んでいて一瞬で引き込まれました。
文章は、「何故もっと現実に向き合い、建設的な取り組みやイニシアチブを仕掛けないのか?」と続いているのですが、本当に耳が痛い話・・・・
自分でもそのような危機感を抱いているわりに、後回しにしてしまったり、どこ吹く風で毎日を惰性で生きてしまっている気がしました。
このように、本書はなかなか芯を食っていて、痛いところをズバズバついてきます。
「技術をテコに、世の中を刷新、アップデートできる企業に企業価値が生まれる」とか、「日本にはそもそもAI×ビッグデータの土壌が出来ていない」とか、「データ処理能力は勿論、人材ベースでも他国に遅れを取っている」とか・・・
読み進めていくうちに、どんどん「え、日本やべえじゃん」と、絶望感が溢れてきてしまいます。
また、日本の教育機関や研究機関の予算の少なさを挙げ、「こんな環境下では優秀な人材やテクノロジーは生まれない」と書かれています。
僕個人としてはあまり感じたことはありませんが、研究職やエンジニアの立場からすれば、如何に日本は悪環境であるかが書き連ねてありました・・・・
ですが、国としてもお金が無限にあるわけではないので、研究結果など費用対効果の悪いモノに対して大切な予算を組む事なんて、難しいだろうと思いもしましたが。
では、どのようにすればそのような悲観的な未来から脱却する事が出来るのか?
作中の「日本の勝ち筋」という項目でもまとめられていたが、簡単にまとめると・・・
新たに何かを生み出すのはもう諦め、すでに生み出されているフェーズ1に乗っかり、それをカスタマイズするフェーズ2、それを実用化⇒展開していくフェーズ3で「追いつき追い越せ」といった戦法を取れとのこと。
例を挙げると、「幕末⇒明治維新と似たような戦略をもう一度取れ」といった感じらしいです。
要するに、「自分から新たなイノベーションを生み出す」という夢を一旦捨てて、「既にあるテクノロジーを使いこなしてカスタマイズできるようになる」という戦略にシフトチェンジしろ!といった事なのでしょう。
日本という「国」ベースだと、あまりにマクロすぎてピンときませんので、一旦個人ベースに今後のアクションプランを落とし込んでみましょう。
これからの世の中を生きていくために、自分は何をすべきか?
言葉にすれば、とても簡単です。
"誰かが創造してくれた新しいテクノロジーを、まずは毛嫌いせずに何でも受け入れてみて、それを充分使いこなせるようにチャレンジしていけば良い"。それだけです。
現状に満足せず、スキルの刷新を心掛ける。
自身のスキルを澱ませることのないように、新しいモノにまずは興味を持って取り掛かってみる。楽しんでみる。今までと違った環境にも順応しようと心掛けてみる。
そのような気持ちで取り組めば、これからの時代もうまく生きていけるのではないかなと、やや楽観的に考えています。
今後世界がどのように変わるのかは分かりません。
"VUCA"と呼ばれるこれからの世界で幸せに暮らすためにも、これからも自身のスキルを磨くことは欠かせませんね。
・・・といった感じで、Reviewもやや暗いモノとなってしまいましたが、そもそも世のテクノロジーがどんどん進化してより良い世界になっていることって、人類にとってとても幸せな事なのではないでしょうか?
なので、あまり悲観しすぎず、心配しすぎず、この幸せをまずは全身で受け止めてみようと思いました。
【印象フレーズとアクションプランBEST3】
誰かが創造してくれた新しいテクノロジーを、まずは毛嫌いせずに何でも受け入れてみて、それを充分使いこなせるようにチャレンジすること。
【内容まとめ】
1.単なる悲観論、それは逃げだ。
自分たちが未来も生き続けること、自分たちが次の世代に未来を残す存在であることを無視している。
本当に未来を変えるべきと思うなら、何故もっと現実に向き合い、建設的な取り組みやイニシアチブを仕掛けないのか?
2.埋もれたままの3つの採用と情熱
・若い才能の3割は発掘されるのを待っている。
・女性の限りない伸びしろ
・65歳で「伐採」されるシニア層
多くの経営者は日本の学校教育に期待していないと言いながら、自社も人材開発にリソースを投下していない。
最大のリソースである人に投資することなく、どうやって未来を生み出すのだろうか?
シニア層に限らず、あらゆる世代や属性の人に対して、育成や再生にまとまった伸びしろがある事は確かだ。
3.生き残れるかどうかはイシューではない。
日本には未来はないのだろうか?もちろんある。国なので、そもそも滅びてしまうことは稀だ。
存在自体を問う意味ではなく、「これからもある程度以上に豊かな国でいられ続けるのか?」という問いについて言えば、ほぼNoであることは答えが出ている。
ここまで見てきた通りの現状で、このまま経済的な推進力を失ってしまえば、この国はそれほど遠くない未来に半ば中進国になることが見えている。
僕らはどのようにすれば、今の子供たちやその子供たち、また50年後、100年後に対してよりまともな未来を残すことができるのか?
それこそがイシューなのである。
4.日本の勝ち筋
・この国は妄想では負けない
・すべてをご破算にして明るくやり直す「スクラップビルド」の精神
・圧倒的なスピードで追いつき一気に変える「キャッチアップ」のスピード
・素材の癖や特徴を活かしながら、大きな何かを作り上げる能力
5.よく言われる「AI vs 人間」という議論はほとんど意味がない。
これまでもそうであったが、人間は生まれてきた技術は何もかも使い倒す生き物だ。
技術を使いこなせるかどうか、つまりここからは、データやAIを使い倒せる人とそうではない人の戦いになる。
【引用】
シン・ニホン
日本には不安と停滞感、現実を直視しない楽観、黄昏感が満ちている。悲観論や批判ばかりの人、危険を煽るだけの人も多い。
単なる悲観論、それは逃げだ。
自分たちが未来も生き続けること、自分たちが次の世代に未来を残す存在であることを無視している。
本当に未来を変えるべきと思うなら、何故もっと現実に向き合い、建設的な取り組みやイニシアチブを仕掛けないのか?
p31
・現代において、正しいAIの理解とは何か?
「計算機×アルゴリズム×データ=AI」
速い計算環境もしくは計算機に、情報を処理したりパターン学習したりするための情報科学技術を実装し、膨大な訓練を与えたもの。
p43
・マッシュアップエコノミーの時代になる。
サービスのパーツを全て自社で作り込む必要はなくなってきた。
Uberは非上場スタートアップとして585億ドルという世界最大級の時価総額を誇る。
サービスの最大の要である顧客とドライバーをマッチさせる部分でかるプライシングシステムは自社で握ってきたが、地図はGoogle マップ、通話はTwilioなど各社APIに任せた。
何もかもをブラックボックス化して作る事で競争優位、競合の参入障壁を築く時代は終わりつつある。
p57
単にリアル空間でのスケールだけがモノを言う時代は終了した。
技術をテコに、世の中を刷新、アップデートできる企業に企業価値が生まれるようになったのだ。
iPhoneやイーロンマスクのやうに、「妄想し、カタチにする」ことが富に直結する時代だ。
p77
・埋もれたままの3つの採用と情熱
1.若い才能の3割は発掘されるのを待っている。
2.女性の限りない伸びしろ
3.65歳で「伐採」されるシニア層
多くの経営者は日本の学校教育に期待していないと言いながら、自社も人材開発にリソースを投下していない。
最大のリソースである人に投資することなく、どうやって未来を生み出すのだろうか?
シニア層に限らず、あらゆる世代や属性の人に対して、育成や再生にまとまった伸びしろがある事は確かだ。
p99
・データ×AI世界で戦うための3つの押えどころ
1.様々なところから多様なビッグデータが取れ、色々な用途に使えること。
2.圧倒的なデータ処理力(技術、コスト競争力)を持っていること。
3.これらの利活用の仕組みを作り、トップレベルのサイエンティストやエンジニアがいること。
p112★★
・生き残れるかどうかはイシューではない。
日本には未来はないのだろうか?
もちろんある。国なので、そもそも滅びてしまうことは稀だ。
存在自体を問う意味ではなく、「これからもある程度以上に豊かな国でいられ続けるのか?」という問いについて言えば、ほぼNoであることは答えが出ている。
ここまで見てきた通りの現状で、このまま経済的な推進力を失ってしまえば、この国はそれほど遠くない未来に半ば中進国になることが見えている。
僕らはどのようにすれば、今の子供たちやその子供たち、また50年後、100年後に対してよりまともな未来を残すことができるのか?
それこそがイシューなのである。
p122
・AI-ready化とは?
ボトルネックの正体は、企業を含むこの日本の社会は、そもそもAIなどを議論する、または活用する用意ができていない点だ。(=AI-readyではない)
AI-readyな状況にするための人材育成や環境整備がまずはmustである。
p130★
・日本の勝ち筋
1.この国は妄想では負けない
2.すべてをご破算にして明るくやり直す「スクラップビルド」の精神
3.圧倒的なスピードで追いつき一気に変える「キャッチアップ」のスピード
4.素材の癖や特徴を活かしながら、大きな何かを作り上げる能力
p156
・運、根気、勘、チャーム
「人としての魅力」の育成も大切だ。
とりわけその人の魅力、すなわち「チャーム」が必須となってくる。
「異人」であろうとなかろうと、チャーミングでない人が、人として愛され、人から信頼を得て、成功することは難しい。
頼れる仲間を作るためにも、頭の良さ以上に「チャーム」は大切な生命線の一つだ。
チャームこそが生きていく上において大切なものであることは、幼少期から育てられる側も育てる側も認識すべきである。
→明るさ、前向きさ
→エネルギー、生命力
→心の強さ
→信じられる人であること、人を傷つけたり騙したりしない
→包容力、愛の深さ、心の優しさ
→建設的な発言
→ユーモア、茶目っ気
→傾聴力
p163
よく言われる「AI vs 人間」という議論はほとんど意味がない。
これまでもそうであったが、人間は生まれてきた技術は何もかも使い倒す生き物だ。
技術を使いこなせるかどうか、つまりここからは、データやAIを使い倒せる人とそうではない人の戦いになる。
p204
膨大なことを細部まで知っているとか、決まりを正しく理解してそつなくちゃんとこなすなど、本質的にマシンのほうが得意な力を鍛える事にさして意味がない時代に僕らは突入している。
これからの時代はむしろ、データ×AIの持つ力を解き放てること、その上でどのように感じ判断して自分の言葉で人に伝えられるかが大切だ。
p285
日本は国公立大学ですら十分なニーズペースの経済支援システムがないまま学費が年々上がり、ある程度の豊かさがなければまともな教育が受けられない傾向に拍車がかかっている。
研究者を志望する人材が減ったり、海外の大学であれば得られる支援があるのだから、人材の流出が止まらないのはもはや仕方のない話だ。
p292
・脱「選択と集中」
多様性はある種、見過ごされがちだが最も大切だ。
新しい未来創造、イノベーションは境界・応用領域から生まれるものであり、すでに成功しているところに投下するという「選択と集中」型の発想とは真逆の取り組みなのである。
日本はついついすでに成功しているプロジェクトに後追い投資を過剰にしがちだが、それでは我々の望む結果を得られない。続きを読む投稿日:2020.08.12
わかりやすかった。
少し前ということと、壮大な内容のため、自分毎には出来なかった。
ぱらっと目を通した程度投稿日:2024.01.24
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