進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語
千葉聡(著)
/ブルーバックス
作品情報
「歌うカタツムリ」(岩波科学ライブラリー)で第71回毎日出版文化賞 自然科学部門受賞を受賞し、新聞や雑誌の書評で、「稀代の書き手」として絶賛された千葉聡氏(東北大学理学部教授)。本作は受賞後の最新作になる。自身の小笠原のカタツムリ研究のフィールドワークや内外の若手研究者の最新の研究成果を紹介しながら、「進化生物学」の醍醐味を描いたエッセイ的な作品。練り込まれた構成と流れるような巧みな文章で、ダーウィンに始まる進化研究の「バトン」がいまも途切れることなく受け継がれており、我が国の研究者もこれにおおいに貢献していることが分かる。読み始めたらページをめくる手がとまらない、痺れるほど面白い傑作
千葉/聡
東北大学東北アジア研究センター教授、東北大学大学院生命科学研究科教授(兼任)。1960年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。静岡大学助手、東北大学准教授などを経て現職。専門は進化生物学と生態学。著書『歌うカタツムリ』(岩波科学ライブラリー、2017年)で第71回毎日出版文化賞・自然科学部門を受賞。ほかに『生物多様性と生態学ー遺伝子・種・生態系』 (朝倉書店、2011年、共著)などの著作がある。
目次
第1章 不毛な島でモッキンバードの歌を聞く
第2章 聖なる皇帝
第3章 ひとりぼっちのジェレミー
第4章 進化学者のやる気は謎の多さに比例する
第5章 進化学者のやる気は好奇心の多さに比例する
第6章 恋愛なんて無駄とか言わないで
第7章 ギレスピー教授の講義
第8章 ギレスピー教授の贈り物
第9章 ロストワールド
第10章 深い河
第11章 エンドレスサマー
第12章 過去には敬意を、未来には希望を
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商品情報
- 著者
- 千葉聡
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- ブルーバックス
- 書籍発売日
- 2020.02.13
- Reader Store発売日
- 2020.02.13
- ファイルサイズ
- 17.1MB
- ページ数
- 264ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (23件のレビュー)
-
『歌うカタツムリ』がとても素敵だった千葉聡の作品。雑誌『本』へのエッセイ「進化学者のワンダーランド」を加筆・修正したとのことで、エッセイ特有のぶつぎり感も心配されたが、そんな心配は不要で、進化への畏敬…と研究者として生きることの意義をやや抑えた筆致ながら、センスのよい構成にその思いを乗せていて、とても「上手い」なと感心しながら読んだ。
「本書は「進化とは?」という疑問に駆られた読者の好奇心をよりいっそう高めることを目論んでいる」と書く。
内臓逆位の話に北斗の拳の皇帝サウザーの話を絡めたりして少ししゃれっ気を絡めたサービス精神が加えられた、専門の貝の左巻き・右巻きの話は知的好奇心の観点からもとても興味深い。日本のカワニナや小笠原のカタマイマイといった何でもないような日本の生物が進化の研究においてちょっとした重要な発見に絡んでいるのも新鮮だ。また、リアルな研究室の実態が軽快な語り口でユーモアを交えて描かれていて面白い。こう書いても伝わらないこも多いと思うので、ぜひ実際に本を読んでみてほしい。そうすれば、著者が思う本書の目論見が達せられていることに気がつくのではないか。
また、もう一つこの本を流れるのは、多くの研究が「役に立たない」ものであることを認識ながらも、「役に立たない」かもしれない研究を続けるのが大事だというメッセージだ。
カワニナの研究を続ける三浦博士に、進化の研究に駆り立てているものは何かと問うたとき、三浦さんは次のように答えたという。
「自分は何者なのかを知りたい、という好奇心です。それも人間としての自分ではなく、一つの生命体としての自分です。究極的には、生命とは何か、という問いに対する何らかの答えを得たいと思い、研究を続けているのです」
その昔、著者が小笠原諸島の父島で地元のカタマイマイの研究成果の発表をしたとき、「何の役にも立たない研究をしやがって」と言われたという。父島での飛行場建設の面倒事に巻き込まれて、反対派のオヤジにすごまれた形なのだが、最後には著者の研究が、「植物とカタツムリにおいて、進化の基調な証拠が残されていることを高く評価する」とされ、小笠原諸島の世界遺産指定に貢献した。
この本のひとつの章のタイトルにもあるように「役に立つかどうかはときの運」なのだ。過去の色々な研究、量子力学も、相対性理論も、二重らせん構造も、素粒子理論や宇宙物理学も、この不思議な世界の一部の成り立ちを知りたいという強い好奇心によって推進力を得てきたのだ。たぶん。
「何はともあれ、読者諸氏には本書を楽しんでいただきたいと思う。役には立たないけれど」―― 確かにカワニナの話も、カタマイマイの話も、何かの「役に立つ」わけではないのだけれど、それはこちらもわかっている。好奇心が刺激されて、少しそれが満たされれば満足すべきなのだ。そして、何より読んでいて楽しい本なのである。その楽しさは、読んでもらうしかない。お奨め。役に立たないかもしれないけれど。
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『歌うカタツムリ――進化とらせんの物語』(千葉聡)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4000296620続きを読む投稿日:2020.08.16
生物進化に興味のある人
研究職に興味のある人
におすすめ。
面白かった。
払ってもいい金額:800円
貼った付箋の数:5投稿日:2023.12.19
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