変半身(かわりみ)
作品情報
太平洋に浮かぶ人口2000人ほどの離島・千久世島。造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つ島では「海のもん」と「山のもん」が時折いがみあいながらも共存してきた歴史があった。島では年に一度、秘祭「モドリ」が行われる。14歳になり、初めて「モドリ」に参加させられることになる私と親友の花蓮は、その年の生贄が同級生の高城くんになることを知る。因習に満ち閉塞した島を脱出しようとするが──。歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく。村田沙耶香初の試みとなる、演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、人間が変わり世界が変わりゆく悪夢的現実を圧倒的イマジネーションで紡ぐ。「早稲田文学増刊 女性号」掲載の、既存の「性」の役割を根幹から揺さぶり話題となった中編「満潮」を併録。
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この作品のレビュー
平均 3.6 (34件のレビュー)
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僕がこよなく愛する村田沙耶香の最新刊『変半身』を読みましたよ。
非常に興味深く読ませていただきました。
この新刊『変半身』は『変半身』『満潮』の中編2編で構成されています。
特に僕は『変半身』が好きで…すね。
僕の村田沙耶香歴と言えば『コンビニ人間』から始まって『消滅世界』、そして処女作の『授乳』『マウス』『ギンイロノウタ』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』と上梓順に読み進めてきたのですが、未読の『しろいろの街の、その骨の体温の』『殺人出産』『地球星人』『生命式』の4冊をすっ飛ばして、この最新刊に手を出してしまいました(笑)。通算すると本作は僕にとっては9作目となる村田沙耶香作品になりますね。
本書に収録されている『変半身』はさすがに「クレイジー沙耶香」の最新刊ということもあって、キレッキレです。そしてカップリングの『満潮』は村田沙耶香得意の男女の『性』についてがテーマですが、またもや誰も考えつかないような視点から物語を展開させていきます。
それぞれについてのレビューです。
『変半身』
「…ついに人間終了…」
これが本書『変半身』を読み終わった後に僕の口から出た最初の言葉ですね。本書は、村田沙耶香が「『家族』の究極最終形態」を描き切り、2012年の三島由紀夫賞を惜しくも逃した怪作『タダイマトビラ』の別バージョン、あるいはスピンオフ版と言ってしまっても良いのではないでしょうか。
『タダイマトビラ』が「狂気」に振りきった作品だとしたら『変半身』は、世間に騙され続ける人々の姿の究極の「滑稽さ」を描き切った作品だと思います。両極端に分かれている2冊ですが、どちらも方向や道筋は違っていても、究極の到達点は同じ場所だということですね。
そのことを如実に示すヒントが本書には隠されています。
『タダイマトビラ』で象徴的に描かれた交換し続けられる『蟻』の『アリス』が本書でも成功者の妻を演じ続けさせられる主人公・陸(リク)のペット(?)としてひっそりと登場しているのです。
ここには重要なメッセージが隠されていると言って良いのではないでしょうか。
『タダイマトビラ』を未読の方は、本書を読む前でも後でもいいので、ぜひ読んでみて欲しいと思います。
『タダイマトビラ』に登場した「アリス」を飼う美女・渚さんの家に集まる女の子たちの中に、本書の主人公・陸がいたのかと思うとちょっと胸熱です。
『満潮』
『満潮』は、村田沙耶香の過去の作品で『女性の性』をテーマとした『ハコブネ』や『星の吸う水』と同じ系列のお話ですが、今回は女性の性だけでなく、主人公の夫が男性としての『性』にこだわっているお話です。
しかも、この夫は「男性も『潮』を吹くことができる」と主張し、日々、浴室にこもって「『潮』を吹くため」に努力する情景が真摯に描かれています。
男の僕が言うのもなんですが、この夫が実際に何をしたいのか訳が分かりません(笑)。
しかしながら、主人公の夫婦ふたりが協力してなにかに打ち込む姿は、なんとなく「ああ、そういうものなのだろうな」と読まされてしまうのです。
村田沙耶香恐るべしですね。
以上が、本書『変半身』のレビューですが、『変半身』『満潮』の2編どちらも村田沙耶香ファンをうならせる珠玉の2編だと思います。続きを読む投稿日:2019.12.24
このレビューはネタバレを含みます
久しぶりの村田さん作品。これまで生きてきた世界でためた知識や経験を脳からひっぺがされて、得体の知れないものを植え付けられるこの感覚!最高!大好き!
レビューの続きを読む
「取り替えられるだけの存在」としての蟻が久しぶりに登…場。嬉しかった。
「ニンゲン」は信仰を入れる箱。今ある「当たり前」を信仰することでしか生きていけない。「当たり前」は常に誰か、何かによって、時には適当に更新され続け、生きていくためには必死にそれを飲み込んでいかないといけない。コロナ禍を生きる今、それを実感しています。
『満潮』は今までとはテイストが少し違うような気がしました。「性」は誰のものか。フェミニズム的な考えなのか?別で読んでいる本がフェミニズムを扱っているので余計にそう思うのかも知れないけど、確かに女性の「性」って男性から語られることが多いような気がする。それが「性的に消費される」ということにつながるのか?自分で探求する「性」は汚れていなくて、他人に扱われた「性」は汚れている、ということ?「潮」という言葉に惑わされて面白半分で読んでいたけど、これまであまりなかった感じで新鮮な読後感でした。続きを読む投稿日:2021.01.03
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