銃弾とアヘン :「六四天安門」生と死の記憶
廖亦武(著)
,土屋昌明(訳)
,鳥本まさき(訳)
,及川淳子(訳)
/白水社
作品情報
1989年の天安門事件は、現在の中国の「姿」を決定づけ、世界史に刻まれた大事件だったにもかかわらず、殺害された人びとの名前や人数のほか、北京のどこで、どのようにして「鎮圧」が行われたのか、なぜこのような悲劇に至ったのかなど、その詳細は未だ明らかになっていない。
本書は、「六四天安門」にかかわって懲役刑を受けた一般市民へのインタビューを中心に、著者自身のエッセイも加えた証言文集である。現場にいた者にしかわからない、細部にわたる生々しい目撃証言が次々に飛び出すばかりではなく、取材対象者たちがその後の人生において経験した差別や官権の横暴、刑務所内部の実態、また人権がないがしろにされる社会の恐ろしさなどが白日の下にさらされる。
事件直後はもちろん習近平体制下の今に至るまで、中国社会においてこうした取材や聞き書きをする(またはそれに応じる)こと自体きわめて危険な行為であり、実際、著者はその過程で中国脱出を余儀なくされている。聞くのも、話すのも、書くのも、まさに命懸けの、門外不出のドキュメント! 序文=イアン・ジョンソン(ジャーナリスト)
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この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
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天安門事件で、中国公安当局に捕まった人たちを訪ね歩き、当時の状況、その後の有為転変を聞き取ったものをまとめている。もう30年も経過してしまったのかと思うと、未だに民主派追求の手を緩めない中国のしつこさ…は、万国の公安当局共通のことと改めて認識する。敢えて他国のことに手を突っ込み、劉暁波の救出を試みたメルケルをはじめとするドイツの政治家たちの、自らの思想に忠実な矜持には驚く。続きを読む
投稿日:2019.11.13
このレビューはネタバレを含みます
銃弾とアヘン
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~「六四天安門」生と死の記憶
著者:廖亦武(リャオ・イーウー)
発行:2019年7月10日
白水社
天安門事件というと、わたしなんかは周恩来への弔いがらみで起きた1976年(高…校生の頃)を思い浮かべるけど、今では戦車が出てきた1989年の方が一般的らしい。前者を四五天安門事件、後者を六四天安門事件と呼ぶというのは、今回、初めて知った。この本は六四に絡んで逮捕されて刑務所に入れられた人たちへのインタビューで構成されている。
著者は詩人、民間芸人、亡命作家。自らも、詩の朗読と映像詩の撮影で逮捕され、4年収監されていたが、凄絶な拷問を受け、2度自殺を図った。それでも4年で出てこられてラッキーだったという話が何度か出てくる。文は詩人らしく独特の表現が多い。ノンフィクション作家の文体ではない。だから読み始めは回りくどく感じ、しかも細かい字の二段組みで長いため、放棄しそうになったが、段々面白くなってきて最後まで読み切った。
著者は思想犯だけど、インタビューを受けた人のほとんどは、確信犯ではなく、巻き込まれたような人たち。そんなに関心はなく、参加するつもりもなかったが、たまたま天安門広場ほか、騒ぎの近くを通りかかったら知っている人たちが参加していて、声をかけられた、というパターンなど。
また、自分が逮捕されるほどのことをしたという認識がない人も多い。一人は、たまたま通りがかり、誘われて、停車中の装甲車に乗って小便をしただけで無期懲役になった。
していないことまでしたとされて、大きな罪に問われた人たちもいっぱいいる。
さらに、逮捕された後が恐ろしい。裁判までの拘置所では、連日の拷問。一番恐ろしいのが、電気棒での拷問。口の中、肛門の中、性器など、弱いところに押しつけ、押し込んで電気ショックを見舞う。口は水ぶくれになり、何にも口にできなくなるらしい。この描写の数々は読んでいて正視できるシロモノではなかった。
みんな、10数年~20年くらうので、出てくると社会に順応できない。なにせ1989年からの中国の変化たるやすさまじかった。道路を渡ることすらできない人もいた。もちろん、拷問によるトラウマも大きい。さらには、出てきた人に対する激しい差別があり、まともに生きていけない状態でもある。
鄧小平は、市民に戦車で弾圧したことに対する怒りを抑えるため、南の地方都市を回って、産業頑張れ、金儲け頑張れと励ました。そして、中国人たちは頑張って、リッチになっていった。金という麻薬にとりつかれた。
まさに、銃弾とアヘン、だ。続きを読む投稿日:2021.03.29
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