漢方医学 「同病異治」の哲学
渡辺賢治(著)
/講談社学術文庫
作品情報
江戸時代に吉益東洞(一七〇二-一七七三)が礎をつくり、華岡青洲(一七六〇-一八三五)が西洋医学と融合させ、独自の進化を遂げた日本漢方医学。同じ病でも人次第で治療が変わる「同病異治」の哲学とは何か? 高齢化社会で多病を抱える患者への対応、200種を超える生薬を組み合わせ、がん治療の補助療法としての期待も高まる今、病との付き合い方を変える、東洋思想医学の可能性を考察する。漢方では関節リウマチであっても一人一人、また昨日と今日ではその性質が違うと考える。こうした極めて東洋的な考え方は、これからの医療を考える上で重要であろう。西洋の文化が直線的で四角定規であるのに対し東洋の文化は曲線であり、円である。わが国が担うべきは、単に薬という物質的なものだけでなく、文化的・精神的な考え方もひっくるめた、真の東西医学の融合ではないだろうか――「まえがき」より(本書は2013年、講談社選書メチエより『漢方医学』の題名で刊行されました。)
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商品情報
- シリーズ
- 漢方医学 「同病異治」の哲学
- 著者
- 渡辺賢治
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社学術文庫
- 書籍発売日
- 2019.08.10
- Reader Store発売日
- 2019.08.13
- ファイルサイズ
- 4.5MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 4.8 (4件のレビュー)
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漢方薬と腸内細菌の互恵関係など興味深い話が多い
私自身、抗がん剤の副作用を漢方薬に救われた経験があるが漢方のことは全く知らなかった。著者らの考えでは全人的医療としての漢方は、西洋医学と密接な協力関係を築くことによって高齢化を始めとする今日的な課題に…応えうる。しかし現状では専門医も少なく補助的な立場に留まっているようで、もったいないと感じた。続きを読む
投稿日:2023.02.21
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漢方医学とは言い換えれば、中国を主に伝わった東洋医学のことで、最近妙に薬膳や中医学という概念が独り歩きしているように感じますが、そもそも漢方ってどんな医術、哲学なのか?
西洋医学とよく比較され、対極化…されがちな二つの医学概念があるけれど、きっとどちらが良い悪い、よりも、二つのアプローチや性質、専門領域の違いを深く知り、つい胡散臭いと括られがちな漢方薬膳薬局の問診や中医師の診る視点と治療のゴールの違いを知ることが出来ればきっと互いの得意を生かし合ってよりその人らしく歩むためのホリスティックなアプローチが出来そうな気がするなぁ。そんな感想を持てた。
以下は、序盤に著者が、漢方医師の先駆者としてオランダから持ち込まれた解体新書の現代語訳の改訂版の刊行に尽力された師匠「大塚先生」から授かった印象的なフレーズを載せます。
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p7.17行目:
「細分化されて、木だけで森を見なくなってしまった西洋医学と反対に、森(その人にまつわる全体的な諸症状・心身)を見る医学が、漢方である」
一つの尺度ではなく、あらゆるものさしで、治療方針(対象となる課題)を考えることができれば、その人がよりその人のままで健やかな暮らしを助けるアプローチの幅が広がる、ということ。
「一流漢方医+一流西洋医師が、一人の患者を診ても1+1=2でしかない。
でも、一つの頭に漢方、西洋の一流を併せもてれば、一人のアプローチで1+1=10Xに、なり得る」
p.8 8行目:
「物事の本質を掴みたいなら反対学をまず、学べ」
(その心は:知りたい学びの対極から眺めないと、全体像が掴めない)
同じ患者さんでも診る窓が違えば、必要なアプローチも変わる
なるほどなぁ。さまざまな角度が頭にあればきっとひとつの課題に対しても、一面の解決策だけではなくて自分がよく知る問題についてより深い理解と道筋が見えてきそうだ。
なるべく100歳になっても頑固ちゃんにはならず、柔らかな頭を保ちたいものだ。
あ、BUMPの窓の中から聴きたくなってきた。(知らんけど
患者さんの症状に合わせて医師独自のさじ加減と信頼感が特に顕著にモノを言う世界が、漢方なんだろうな。
となると、責任も重くなるけれどますます興味が湧きました。
対話と嗅覚の感度を高めるアロマや指圧マッサージ。薬や機器を持たずとも、自らの身体技術とコミュニケーションで病気を介抱に導く診療の在り方が日本にももっと浸透していってほしいな。
アロマが薬局で調剤として処方が当たり前となっているフランスのように。
一冊読み終えたら、新しい視界が開けそうな予感。
じっくり読み進めたい。続きを読む投稿日:2024.04.06
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