消えゆく横丁 ──平成酒場始末記
藤木TDC(著)
,イシワタフミアキ(著)
,山崎三郎(著)
/ちくま文庫
作品情報
路地裏の狭い通りやガード下に赤提灯や電飾看板が並ぶ横丁酒場。そこには美食や清廉さから遠く離れた人間くさい空気が満ちていた。戦後の闇市を起源とするこれらの横丁も、平成に入ると再開発事業の対象となり、次々と撤去・解体されていった……。昭和と平成の激動の時代を背景に全国各地から消えていった、あるいは消えつつある横丁の生と死、そして再生を見つめた渾身の記録。文庫書き下ろし。
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商品情報
- シリーズ
- 消えゆく横丁 ──平成酒場始末記
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま文庫
- 書籍発売日
- 2019.05.10
- Reader Store発売日
- 2019.08.16
- ファイルサイズ
- 164.6MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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横丁レッドデータブック。首都圏だけでも人生横丁、百軒店、彦左小路、丸三横丁、今川小路、神田小路、四十五番街、五間堀長屋、呑んべ横丁、下北沢駅前食品市場、大井新地、三原橋地下街、さくら新道、リバーサイド…おでん屋台街、花月園競輪場・川崎競輪場…知っている横丁、知らなかった横丁、消えたこと知らなかった横丁、著者とカメラマンの肝臓で記録した横丁の墓碑銘です。しかし、そのどれも戦後に生まれたひとときの幻なのかもしれません。最近、強く思うのは日本の社会は戦中派が消えて「戦争を知らない子供たち」だけになった時にきっと大きく変わるんだろうな…ということ。たぶんどんなに幼い時でも戦争を知っている世代が日本の平和を支えてきたのだろうと感じています。たぶん本書に登場するようなお店の女将は、そんな世代なのではないか?「もはや戦後ではない」という経済白書は1956年のもの。しかし、戦後の残滓は戦中派の心の中だけでなく、闇市の派生である横丁飲み屋街に刻み込まれ続けたのだと思います。令和になって昭和がふたつ前の時代になり、戦争を知っている世代がどんどん召され、そして横丁の飲み屋も誰も受け継ぐことがなされずどんどん消えていく。東京が、日本中が焼夷弾を受け焼け野原になった証拠がすっかり消えてしまっている、そんなことはなかったような戦後復興の風化が、もしかしてTOKYO2020なのかも知れない、となんか焦った気持ちになりました。続きを読む
投稿日:2019.10.29
いわゆる横丁と言われる街中の酒場を、80年代から呑み歩いた著者による取材。
横丁の由来は様々だ。戦前の商店街が飲み屋街になった所、青線と言われた私娼街から横丁に発展した所、屋台の禁止令から集約移転し…て出来上がった横丁、様々なドラマがある。
決して広いとは言えないエリアに、ぎっしりと集まったお店。狭小な店内、そこには人と人のふれあいであったり、びっくりするぐらい安いお店、名物女将、今にも崩れ落ちそうなバラック。酔客を引き寄せてやまない魅力がある。
しかし時代の変化とともに、横丁は消えつつある。老朽化による防火的な問題、生活の変化により若者が酒を飲まなくなってきた問題、夜サラリーマンの一杯が少なくなってきた問題。様々な複合的な問題から、横丁と言われる飲食店街は衰退しつつある。
一部の横丁はブームとして復興しつつあるようだが、横丁はブームを乗り越えて存続して欲しい。戦後の焼け野原から立ち上がってきた、日本人の琴線に触れる 飲食店街だからだ。続きを読む投稿日:2021.07.18
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