アジアの人々が見た太平洋戦争(彩図社文庫)
小神野真弘(著)
/彩図社
作品情報
1941年12月8日に始まったあの大戦争は、地球の表面積の約8分の1にあたる、東アジアと南太平洋の広大な領域を戦場にした。大多数のマスメディアや学校教育は「アジアの人々を苦しめ、搾取した『侵略』だった」と断じることが多い。
一方で、近年とくに述べられるようになった言説が「欧米の植民地支配に苦しむアジアの人々を独立に導いた『解放』だった」というものだ。侵略と解放。この相反する評価のどちらが正しいのか。それを検証することが本書の目的である。
しかし、それをする上で直面する問題がある。侵略だったと考える人々が語ることも、解放だったと考える人々が語ることも、ある一定の真実なのだ。そこで本書では、可能な限りアジア諸国の視点を盛り込みながら、アジアにとって太平洋戦争がどんな戦争だったか、そしてアジアにとって日本軍がどんな存在だったかを眺めていく。
そうすることによって、太平洋戦争を客観的に俯瞰することができ、公平な評価ができるはずだ。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
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太平洋戦争はアジアの人々の視点から見た際にどうだったのかをまとめた良書。
急ぎで読まなくてはならなかったため、また時間をかけ読み直したい。
インドネシア:教育等を与えなかったオランダに対し、日本軍は…エリート育成に貢献。日本敗戦後も独立の為戦った日本兵がいた
フィリピン:アメリカから独立の約束を得ていたフィリピンにとって日本は邪魔な存在。ゲリラ戦で徹底抵抗
ミャンマー:鈴木大佐が育て上げたアウンサン等”30人の志士”が戦後独立の原動力に。日本の目論はスムーズにはいかず、イギリスに押されるに伴い、戦争後半にはビルマ人が日本軍攻撃することになったのは皮肉。
マレーシア•シンガポール: 陸側ジャングルからの奇襲により”世界最高の要塞”と言われたシンガポールは陥落。しかし日本軍は虐殺等を行い、現地の指示は得られず、敗戦と共に再度やってきたイギリスを歓迎。
インド: 日本軍のインド進出は惨敗も、そこで戦ったインド人がいたことが、戦後の独立へとつながった。
タイ: イギリスとフランスのバランスの間で独立を維持していたタイにとって、日本の進出は災難。最終的には日本への協力を強制されたものという整理にてアメリカと話をつけ、戦勝国に。
日本: アジア解放の理念は戦争以前よりもあったものの、アジア進出の目的は侵略(中国侵略を続ける為の、アメリカと講和に持ち込むための石油の確保)。続きを読む投稿日:2020.10.04
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