- 最新巻
ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来
ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
,柴田裕之(訳)
/河出書房新社
作品情報
「私」は虚構なのか?生物はただのアルゴリズムであり、生物工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊する。『サピエンス全史』の著者が描く衝撃の未来!
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商品情報
- 著者
- ユヴァル・ノア・ハラリ, 柴田裕之
- 出版社
- 河出書房新社
- 書籍発売日
- 2018.09.06
- Reader Store発売日
- 2018.09.06
- ファイルサイズ
- 25.8MB
- ページ数
- 288ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.3 (194件のレビュー)
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全てはアルゴリズムの中に
意味と権威の源泉としての神の役割は、現代では人間至上主義に取って代わられた。人間の自由意志こそが最高の権威であると。中世のヨーロッパでは知識=聖書x論理だった。どれほど論理の力があっても聖書を読んでな…くては役には立たない。次に科学革命が新たな公式を与える。知識=観察に基づくデータx数学だ。しかし科学の公式は価値や意味に関する疑問に対処できない。人間至上主義は新たな答えを提供した。知識=経験x感性だ。極めて当然な公式にみえるのは自分が無意識に人間至上主義を信奉しているからなのか。
人間至上主義は3つの主要な宗派に別れている。正統派は個人の自由意志は国益や宗教の教義よりもはるかに大きな重みを持つべきだと考える。いわゆる自由主義だ。そこから産まれた分派が社会主義的な人間至上主義とナチスに見られる進化論的な人間至上主義だ。20世紀初頭にはファシズムと共産主義が猛威を振るい1970年代では未来は社会主義のもののようにも見えた。2016年の時点で個人主義、人権、民主主義と自由市場という自由主義のパッケージの本格的な代替となりうるものは一つもない。
それでは、人間至上主義はどこに行き着くのか。生命科学は自由意思は生化学的なアルゴリズムの集合によってでっちあげられたと主張する。自由意思など妄想に過ぎないと。
科学技術の発展は別の方向から個人の価値に脅威を与える。一つ、人間は軍事と経済面での有用性をすでに失いつつある。近代以降の戦争や労働集約的な工業社会では人手こそが価値を持ち、民主主義は兵士や工員にモチベーションを与えるために広がったという側面がある。現在では大量の兵器と兵士よりも少数の高度な兵士と最新テクノロジーが好まれる。ドローンとサイバー戦争だ。経済的にもAIに仕事が奪われる未来が予想されている。
AIは進化し、もうすぐ悩みの相談相手がSIRIになるかもしれないという。将来的には経済や政治で人々とが何を望むかもフェイスブックが知ることになる。誰が何にイイねを押したかが直接測られる。せいぜい2千件程度の電話調査など意味をもたなくなる。これが二つめの脅威だ。集団としての個人はマーケティング対象としての価値を失わないが、その中で個人の権威は埋没してしまう。
多くの人々の価値が失われる一方で、一部の人は絶対不可欠な少数のエリート特権階級にアップグレードされる。2016年の時点で最富裕層62人の資産合計は人類の下位半分36億人の資産に匹敵する。巨大な開発途上国のエリート層はその国の競争力をあげるために、何億人もの貧しい人々の問題を解決するために投資するだろうか?少数の超人エリート層を育てる方がより効率的な方法かもしれないのに。「もし科学的な発見とテクノロジの発展が人類を、無用な人間と少数のアップデートされた超人エリート層に分割したなら、あるいは、もし権限が人間から知能の高いアルゴリズムの手にそっくり移ったなら、その時には自由主義は崩壊する。」
その先に待つのはホモ・デウスを生み出すためにテクノロジーを使うべきだとするテクノ人間至上主義かデータを崇拝するデータ至上主義か。データ至上主義にとっては情報は共有すべきものでグローバルなデーターベースを豊かにすることが価値となる。もはや人間の経験には本質的な価値はない。全てはアルゴリズムの中に吸収されていく。
ここまで書いておいてユヴァル・ノア・ハラルは最後に問いかける。
1生き物は本当にアルゴリズムにすぎないのか?そして、生命は本当にデータ処理にすぎないのか?
2知能と意識のどちらの方に価値があるのか?
3意識は持たないものの高度な知識を備えたアルゴリズムが、私たちが自分自身を知るよりもよく私たちのことを知るようになったとき、社会や政治や日常生活はどうなるのか?続きを読む投稿日:2019.03.24
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本著は最後に3つの課題を投げかけて結ぶ。一つ目は、生き物はアルゴリズムに過ぎず、生命はデータ処理に過ぎないのか。二つ目は、知能と意識のどちらに価値があるか。三つ目は、高度なAIが人間を人間以上に理解し…た時、世界はどうなるのか。
ユヴァルの宿題への考察、今時点の考えを書評として。
資本主義が社会生活の自動修正機能を持つのは、商品やサービスの価格がその必要性と希少性により決定、調整されるプロセスを有するからであり、その価格により、人間の活動が決定していくからだ。つまり、傾向として、収入の少ない層は必然と高い飲食店を避け、高所得者は、快適な移動手段を選ぶ。データ至上主義とは、さらにこの選択を補完するもので、低所得者の選択肢の範囲で最適解を提供する事で人間の活動を促していくものだ。従い、両システムにおける人間のアルゴリズムとは、恐らくは変わらぬもので、遺伝子至上主義、いわゆる欲望の再分配機能の見直しにしかならないというのが一つ目の考察。つまり、資本主義システムそのものがデータ処理であり、そこにおける人間は、既に欲望のアルゴリズムに過ぎないという論拠だ。
そうなると二つ目だが、知能と意識は分離できない。欲望を知覚した意識が原動力になり、必要な欲望を摂取カロリーや性エネルギーとして人間活動が行われる。データ至上主義に移行しても、仮想世界によりリソースが無限化されぬ限りは、知能に応じて再分配される仕組みは今と変わらず継続する。
三つ目は微妙である。高度なAIのレベルによるが、脳を騙す程に人間の五感を制御するAIならば、世界は極端に変わる。資本主義や共産主義の需給調整を補うリコメンド、EBPMやマイニング程度ならば、極端に変わらない。いや、世界は徐々に相互理解を知らず知らず進め、少しずつ良くはなっていく。
データ至上主義におけるデータの発生源は人間活動だ。アルゴリズム通りに人間が動くならば、データはある時点から更新されなくなり、アルゴリズムに反した人間活動がない限り、そのデータベースは増幅していかない。少なくとも一部の人間は必ず、データの導き出す答えに意識的に反発するだろう。それこそが、生き残りのための遺伝子の多様性であり、人間活動をあらゆる主義でコントロールしようにも超えられない、遺伝子による人間操作だ。これこそが最上位概念。ホモデウスはデータ至上主義の頂点としてではなく、遺伝子操作の産物として生まれるのではないか。続きを読む投稿日:2022.05.21
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