アメリカは世界の平和を許さない
大村大次郎(著)
/ビジネス社
作品情報
序 章――豹変したトランプ大統領 第1章――アメリカ経済は破綻寸前 第2章――なぜアメリカ経済は凋落したのか?
第3章――ドルが基軸通貨であり続ける理由 第4章――邪魔されたユーロの挑戦 第5章――絶妙のタイミングで起きた「9・11」 第6章――アメリカがイラク戦争を仕掛けた本当の理由 第7章――ドルの地位を脅かす者たち第8章――「世界通貨」の発行しか解決策はない
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商品情報
- シリーズ
- アメリカは世界の平和を許さない
- 著者
- 大村大次郎
- 出版社
- ビジネス社
- 書籍発売日
- 2017.12.23
- Reader Store発売日
- 2021.02.19
- ファイルサイズ
- 29.3MB
- ページ数
- 204ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (1件のレビュー)
-
2018年GWの大掃除で部屋の隅から発掘された本ですが、読破していたようです。昨年末に出版された本で、今年の初めに読んでいました。タイトルは過激なのですが、この本の著者の大村氏(元国税調査官)は、今ま…でに税務関係のわかりやすい解説本を何冊も書かれてきた方なので、読んでみることにしました。
アメリカにおいて軍需産業が大きな力を持っていることを考えると「平和」よりも「戦争状態」を好むことは理解できますが、本当にこういうことを進めてよいものでしょうか、疑問に思うところがあります。
いつまでも地球人通しで争っていて大丈夫なのか、もう少し別の見方ができないものか考えさせられました。
以下は気になったポイントです。
・アメリカでは、軍需産業だけじゃなく、金融業・製造業・農業・エネルギー産業も、あらゆる産業が実は軍事によって支えられている(p4)
・トランプ大統領は大統領に就任したときに、ある事実に気付かされたはず、アメリカ経済の中枢は軍事力である、もし軍事力を弱めれば、アメリカ経済は根本から崩壊する(p23)
・アメリカが世界一の経済大国というのは、経済取引の額が世界で一番大きいということだけ、取引額が大きいのと、経済力がある(儲かっている)というのは別の話(p27)
・日本の株が跳ね上がったのは、金融緩和の力、日銀がお金を大量に垂れ流したので、おのお金が行き場を失い、株価に流れただけ、日銀が意図的に株式市場にお金を流した(p30)
・ギリシアの財政赤字の規模は、300億ドル程度で、アメリカの0.15%(20兆ドル:2600兆円)、8兆ドルの対外純債務(対外債務:18兆ドル)(p31、33)
・トランプ大統領を支持したのは、都会のセレブでない、得票率においてニューヨーク・マンハッタンでは10%、ワシントンでは4%、支持したのは「地方の白人」=取り残された人、と呼ばれる中間層以下の生活をしている、アイオワ・ウィスコンシン・オハイオ・ペンシルバニア・ミシガンなどのラストベルト(p39)
・オハイオ州では、1990年には製造業労働者が104万人いたが、2016年には69万人にまで落ち込んだ、大都市では白人比率は30%前後だが、地方の製造業地域は8-9割(p41)
・TPP離脱はトランプのみならず、ヒラリー候補も示唆していて、いずれTPPから離脱することになっていた、アメリカが輸出力で他国に負けるようになってきたから、その理由として、1)ドイツ日本などの発展、2)巨額の軍事費(p46、47)
・1960年代、アメリカは深刻な対日貿易赤字に苦しむようになり、繊維製品の自主規制を求めた、自由貿易を世界に訴えてきたアメリカとしてはメンツ丸つぶれだが、背に腹は代えられなかった、当時は日本以外の国との貿易では収支はプラスマイナスゼロであった(p53、55)
・中国は1979年に経済特区を設定、その後拡大して、1986年までに14都市が「経済技術開発区」=経済特区よりもさらに自由度のました地域で外国企業の税制優遇もある(p58)
・中国は、他国企業のお金を使って、急激な発展をした、中国は場所と人材を提供するのみ、これは欧米、日本などの先行資本主義国の発展方法が異なる(p59)
・アメリカの借金がこれほど膨れ上がっているのに、アメリカ経済が破綻せず、いまだに世界に君臨できるのは、基軸通貨というマジックがあるから(p69)
・第二次世界大戦後、現在まで一度も戦争に参加しなかった国は、国連加盟国のなかで8か国のみ、」アイスランド、フィンランド、スイス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ブータン、日本(定義によっては、ジャマイカ、オーストラリアが入る)(p81)
・アメリカが所有している金(40兆円程度)で、8兆ドルという純債務は払えない、20分の1にもならない、金本位制であればとっくに破産している、なのでドルの信用を得るかわりに、ドルに代わる基軸通貨がでてこないように全力を傾けた(p83、91)
・第二次世界大戦後、イギリスとフランス(植民地保有の1位、2位)はアメリカに支援(各々38億ドル、10億ドル)を求めた、了承する代わりに、ブロック経済の解体(市場開放)を求めた、欧州諸国はアメリカの農産物、工業製品を買わなければならなかったので、アメリカが自国の製品に補助金を出したようなもの(p99、100)
・西ドイツにとってルール工業地帯の連合国管理は大きな重石であった、そのときにフランスに持ち掛けられたのが、欧州共同体計画(EUの原型)であった、これはアメリカとイギリスを除いた西欧による管理であった、シャーマン外相の提案は、ルール工業地帯だけでなく、6か国全体の鉄鋼・石炭業の共同管理であった(p105、106)
・911の前にはテナントはガラガラの状態であった、あまりに引っ越しが多いのでなにかあるんじゃないかという噂が起こっていた、そしてツインタワー以外にも、7号棟と言われる47階建てのビルが倒壊した(p127)
・世界貿易センタービルには、金融機関が多数入っていて、4000人のユダヤ人が勤務していたが、そのほとんどが当日は欠勤していた、安息日ではなく普通の日であったにもかかわらず、ユダヤ人犠牲者はいなかった(p136)
・ワシントン・リヤド密約とは、アメリカのルーズベルト大統領と、サウジアラビアの初代イブン・サウド国王で行われた、アメリカは共産主義からアラブ諸国を守る代わりに、アラブ諸国がアメリカに経済的恩恵(石油取引はすべて米ドル)を与えるという約束である、それを破ったのが、2000年9月24日にイラク・フセイン大統領が行った(p151、153)
・市中に出回っているお金は、利子分が常に不足している、貯蓄として貯め置かれるとなるとさらに不足する。資本主義経済というのは、誰かがお金を借り増し続けなければ(中央銀行が融資をして)回っていかない構造である(p189、190)
・ビットコインがこれまでの発券銀行と大きく違う点は、ビットコインは融資で流通しているわけではない、製造された時点で、貨幣としての価値を持たせている。しかしビットコインはこれ以上広がらないだろう、一部の人間が濡れ手で粟で大儲けしているから、しかし、融資という形ではなくても通貨は流通する、ということを体現した点では大きな意味があった(p197)
・日本の対米貿易黒字は、日本全体額を上回るもので、日本はアメリカを除いた貿易収支は赤字だが、対米の黒字で賄っている、日本経済はアメリカへの輸出で保っている
2018年5月6日作成続きを読む投稿日:2018.05.05
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