これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話
堀江貴文(著)
,大石哲之(監修)
/徳間書店
作品情報
お金は変わる。そしていずれ「なくなる」――。
2017年、バブルを迎えた仮想通貨市場。だが、その本質は投機対象でも決済手段でも、あるいはブロックチェーンという技術革新ですらない。お金という存在の正体に皆が気づき始めたことこそが、革命なのだ。
ビットコインが目指した自由、イーサリアムがもたらす大変革、そして新しく訪れる個人と会社・国家との関係性とは。仮想通貨から学ぶ「これからの経済学」。
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この作品のレビュー
平均 3.6 (41件のレビュー)
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2018年7月になって、最近だいぶ少なくなってきましたが、電車のつり革広告で見て興味を持った本です。著者は、有名な「ホリエモン」の愛称で知られている、ライブドアを立ち上げた堀江氏です。先日のニュースで…、彼が主催しているロケットの打ち上げが失敗したという報道がなされましたが、この失敗を克服して、いずれは宇宙旅行事業を立ち上げて欲しいと思っています。
さて、私が興味を持ったのは、帯に書かれていたコピー「お金は変わる、そして、なくなる」でした。私達が生まれたときから慣れ親しんできた、紙幣やコインは、その役割を終えて、他のモノに置き換わることを示唆していると思います。それに関わるのは、ネットや仮想通貨、その肝の仕組みである「ブロックチェーン技術」だいうことのようです。
貨幣よりこれからは「自分の価値」をどう高めていくか、今までは社会に役立つことをすることが推奨されてきたが、これからはそれはAIがやっていくことになるので、人間はそれ以外で見つける必要があるようですね。
今まで成功してきて、資産や地位を築いて守っていきたい、それを活用していきたい人には不安な時代かもしれませんが、その逆の環境にある人には、戦国時代の「下剋上」の時代が来たようで、ワクワクする時代とも言えますね。私はどちらに属すことになるのでしょう、これも気持ちの持ちようなので、ワクワクできるように、今後も過ごしていきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・国家が通貨を一元的に管理し始めた歴史は、ここ200-300年程度、そもそも通貨とは、個人間の信用を顕在化させただけ(p30)
・ビットコインが画期的だったのは、すでに存在していた、1)公開鍵暗号方式、2)P2P、3)ブロックチェーンの、3つの技術を組み合わせたこと(p63)
・公開鍵では暗号化はできるが、秘密鍵でしか復号化はできない点がポイント、送信中にデータを盗まれても内容は秘密鍵でしか読み取れない(p66)
・ビットコインには、埋蔵量を設けた点、4年ごとに1ブロック当たり採掘量が半減期が設けられたのが、ゴールドと同じ理屈である(p71)
・中国では、一般人が購入できるのは、建物とその土地を70年間使用できる権利(借地権)だから中国人が日本で土地を投資するのは合理的な行動(p85)
・イーサリアムとは、ブロックチェーン上に仮想通貨の金額や受取人等の取引情報だけでなく、契約(スマートコントラクト)を記述する仕組み、これを実装する際にERC20規格を使うので、イーサリアムはICOの基軸通貨と言われている(p103、122)
・ICOは株式の代わりにトークン(仮想通貨)を発行することで、直接投資家に仮想通貨で購入してもらう、IPOを仕切るような主幹事証券会社の存在も現状ではない(p122)
・国と国を跨ぐ送金は、海外の「コルレス銀行」との間で口座を開き、それぞれの国の通貨で支払いを行う「コルレス契約」を結ぶ必要がある。こうした銀行間のメッセージを行っているのが、SWIFT(日本国内における全銀ネットに相当)である、リップルを使えば、即時に送金・受取が可能となる(p138)
・メルカリは、2017年11月に金融サービスを行う子会社「メルペイ」を設立、スローガンは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」である(p148)
・政府混乱により8000%というハイパーインフレに陥ったベネズエラは、2017年12月、世界初の国家ICOが行われ、原油価格と連動する仮想通貨(ペトロ)が誕生した(p160)
・アリペイの付帯サービスである、「芝麻信用」は、資産状況・クレジットスコア・交友関係・人脈に至るまで、個人の信用スコアをゲームのパラメータのように数値化して顕在化、無人コンビニでの万引き防止に活用、個人情報の一元化管理に成功している(p162)
・パチンコは三店方式による換金(刑法の賭博罪)は生き延びているが、1990年に三店方式でカジノを運営した人は賭博罪で逮捕された(p163)
・日本には金銭に執着しないという生き方(価値観)もあったが、この感覚を一変させたのが太平洋戦争、当時の金額で1900憶円(現在価値で4000兆円)この戦費調達のために日銀は国債を無尽蔵に発行した、このため1938年には「国民貯蓄奨励局」が設置された(p177)
・シェアリングエコノミー(個人が保有する遊休資産の貸し出しを仲介する)は、分散している状態でネットワーク化した社会でのビジネスの成功例であるが、それを発展させたのが、トークンエコノミー(サービス提供したい側が、貨幣の代わりにトークン発行、それをユーザーが購入することでトークンに価値が生まれる)である(p182)
・メルカリは個人が「不要品」を売ることで、ポイントを得る、それを日本円にも変更できるがモノとも交換できる。これは「あぶく銭」なので、手離れが良いお金を生みだしたことになる(p185)
・今起きていることは、お金が価値を媒介する唯一の手段であった独占が終わりつつある、価値を保存・交換・測定する手段は、いつも使っているお金である必要はない(p196)
・VALUは、夢や目標をどう実現していいかわからない方、金銭的な理由で実現できない方が継続的に支援者を募れる場所をつくりたいという思いから開発した、有名だったり資金力のある人が勝つのではなく、自分の価値を最大化する工夫をした人が相応の対価を得られる(p200)
・仕事や機会を奪うのは、テクノロジーではなく、人々が勝手に作り出した幻想である(p205)
・お金の価値は下がってきている、そんな社会で豊かになれる人とは、「お金との交換ができない独自の価値基準を持っている人」(p207)
・ノウハウ、プレミアムなスキル、他の人が簡単には入手できないものを、装備すること、すると、お金では代替できないモテ価値が生じる(p208)
・社会にとって役に立たないことを、どんどんやった方がいい。社会にとって役に立つことは、機械に置き換えられるから(p209)
・ちょっとの勇気で、ちょっとの行動を起こす、その一歩は、見た目の何倍もの距離へ歩みだすことになる。そうした小さな変化は、また次の変化を呼び、評価・信用につながる好循環になる(p224)
2018年7月16日作成続きを読む投稿日:2018.07.15
仮想通過に関する堀江さんの現時点での知見と見方をまとめたもの。
第5章の「トークンエコノミーの中で」は考えさせられて良い。
「お金持ちよりトリュフ持ち」
白トリュフを2㎏仕入れたらモテモテになったエ…ピソードだが、金銭よりも現物や発信力や経験が評価されるという現代を表していて興味深い。
「今後は、お金などの資本に変換される前の価値を中心とした世界へ変わっていく」とあるが、「資本主義」から「価値主義」への流れが起きているというその証左だ。
社会全体が変わるには体制や法律が変わらなければならないが、それにはまだ10年単位で時間がかかるだろう。
一方で、先見の明があり、自ら試しに飛びこむ、行動力のある人は、精神的、場合によっては金銭的ですらも、大きな益を得ることが予想される。
「いやいや働かれても迷惑」というのは、言い方は悪いが的を得ている。
食べていくために安い仕事で我慢している人たちが、実は経済発展において大きなネック。低い待遇で働こうという集団がいる以上、労働価値は上がらない、という意味である。安売りしない、という意味でも自戒として強く認識しておきたい。
フリードリヒ・ハイエクは、「国家ではない主体が発行する通貨が流通する方が、通貨はお互いに安定する」と述べたという。ビットコインが出現されたときにさかんに挙げられた論だそうだが、堀江氏はこれを支持する。
夢はあるが、既存の社会を統べる立場の者、即ち政府トップとしては、社会を不安定化させるこういった要素は危険分子として排斥または規制しコントロールする方向に動くのが当然で、民間がそれに打ち勝つのは非常に難しい。
いやはや、どうなるか。続きを読む投稿日:2023.05.29
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