「発達障害」と言いたがる人たち
香山リカ(著)
/SB新書
作品情報
いま、過熱する「発達障害バブル」。専門外来では、予約から診察まで3か月待ちは当たり前といった状況が続いている。
わが子の行動やコミュニケーションに不安を抱く親たち。
仕事や人間関係の尽きない悩みに原因を求めるおとなたち。
皆、「生きづらさ」のよすがとして、「発達障害」という記号を求めているのではないか、と精神科医の香山さんは指摘する。
早く診断を受けて、適切な支援を受けさえすれば、この「生きづらさ」は軽減されるのか?
発達障害に関する分類や考え方は、まだまだ大きく変動しており、精神科医でさえ、その変動についていくのは難しい。
過熱する患者や家族の心理と変動し続ける発達障害診断。
「発達障害」はどこへ行くのか?
精神科医・香山リカさんが、生きづらさの原因を「発達障害」に求める人たちの心理と時代背景に斬り込んだ意欲作!
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商品情報
- シリーズ
- 「発達障害」と言いたがる人たち
- 著者
- 香山リカ
- 出版社
- SBクリエイティブ
- 掲載誌・レーベル
- SB新書
- 書籍発売日
- 2018.06.05
- Reader Store発売日
- 2018.06.05
- ファイルサイズ
- 1.9MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 3.4 (21件のレビュー)
-
タイトルからすると、精神科医の香山リカさんが、この診断名を求める人を批判的に書いている物かと思うが、そうではなかった。
'大人の発達障害'が注目されるようになったのは、ここ数年の事だが、それに伴って増…えている受診者とそれらを取り巻く世間の風潮などについて、医師の目で興味深く語られている。
アスペルガー症候群という言葉は割とよく耳にし、'アスペ'などと略語で呼ばれるほどだが、そのアスペルガー症候群という言葉は、最新の精神科医のガイドラインからは消えて、自閉症スペクトラムという言い方に変わったそうだ。この事からも分かるように、まだカテゴライズが流動的なのである。
また、外科や内科の病気と違い、かなり研究が進んではいるものの、まだ診断基準も'この染色体異常による'だとか、'この伝達系統が原因'などという風には確立されていない。特に、いわゆるグレーゾーンにあたる症状について、問診で診断名をつけるのは非常に難しいそうだ。
ただ、普通はどのような場合も、治療するほど大した怪我や病気ではなかったと分かるとホッとするものだが、発達障害に関しては'違う'と診断されると落胆する人も少なくないそうだ。診断名が付き、自分の生きづらさの原因をそこに当てはめることで、ある種の解放を得られるのかもしれない。
SNSなどの媒体の進化により、一般人でも突然注目を集めてしまうことのある昨今、「何者かでいたい」願望は特に若い世代に多いのだろうか。
その時代の空気感が巡り巡って、生きづらいと感じる人が自分は発達障害なのではと考える方向付けをしてしまっているのではないか?という問いかけも試みられている。
また、製薬業界の資本主義的思惑が患者を増やす一因になっているのでは…という投げ掛けにはハッとさせられた。飛躍するかもしれないが、グレタ・トゥーンベリさんの'資本主義が環境悪化を加速させている'という、あのスピーチを思い出した。
自然環境も社会環境も、一部の誰かが経済的恩恵を受ける影に多くの犠牲が払われているという、この恐ろしい構図を我々は常に意識しなければならない時期にきたのだろう。2019.11.4続きを読む投稿日:2019.11.04
『発達障害と言いたがる人たち』
著者 香山リカ
SB新書 2018年
この本のおおまかな内容は精神科医の香山リカさんが発達障害を取り巻く医療やその周りの人々を扱ったいわば発達障害社会論である。
本…書は基本的に発達障害社会論としての内容で進んでいくが、もちろん基本的な発達障害に関する知識もちゃんと解説している。それを踏まえた上で、「最近発達障害と診断されたがっているひとがいる。これは一体どういうことなのだろう?」というのが本書の大きなテーマである。
そして、これを明らかにするために、本書は以下3つの流れを歩んでいる。
1そもそも発達障害とは?
2発達障害の激増の要因とは?
3発達障害と診断されたがっている人は何を望んでいるのか?
私なりにだいぶ要約させてもらったが、上記の3つが個人的には重要であると思えた。
1は他の本でも書かれていることなので、2から説明している
著者は発達障害激増の要因として2つのことを挙げている。
1つ目が発達障害そのものが周知されたことにより、診断を受ける人が増えたこと。つまり母数が増えたということである。2つ目がその母数がふえたところに医師の過剰診断という問題も加わったということであるそうだ。過剰診断とは発達障害と診断する必要がないケースまで発達障害と診断してしまっているということである。なぜこのようなことが起こるのか?
著者は精神科医特有の診断の問題を指摘している。どういうことかというと、精神科医の診断では他の分野に比べるとどうしても客観性を重視することが難しくなるようである。心を扱う分野であるので、どうしてもデータが少なく、主観的な判断が入り込まざるおえないということである。今は「操作的診断」と言って、患者の訴えからなるべく客観的な問題を記述、整理していき、ある程度絞り込むというようなことが主流になっているそうであるが、それでも、完全に主観をなくすのが難しいというのが筆者の意見だ。
この2つが主に増加の要因であるそうだ。
では最後に、3を見ていく。
発達障害と診断されたがっている人は何を望んでいるのか?であるが、これには筆者は2つあると考えている。
1つ目が自尊感情の低さ
2つ目が何者かになりたいという病である
1つ目は日常生活で困ったことが起こり、それに逐一対処することができる人はいいが、中にはそれらに対処できず悩みを抱えてしまい、「私には何にもできないんだ」と自尊感情を低くしてしまうということが起こる。そのような人が発達障害という免罪符を手に入れることにより、自分自身を正当化してしまうということだそうだ。
2つ目がなんらかの個性が欲しいと思っている人が発達障害というラベリングをして欲しいと思っているということだ。発達障害の当事者からすれば迷惑極まりない話かもしれないが、ある意味ではこちらは現代を象徴する病の一つであると言える。
この本は「発達障害を取り巻く医療の問題と世間の問題」に関して書いたものであるが、発達障害そのものよりもこちらの方が深刻なのかもしれない。なぜなら、彼らは自分が定型であることを否認し続け、挙げ句の果てには自分自身が存在していることすらも否定するのだろうから
続きを読む投稿日:2024.03.18
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