興亡の世界史 人類文明の黎明と暮れ方
青柳正規(著)
/講談社学術文庫
作品情報
ヒトの誕生から古代地中海世界まで、長大な文明史の「見取り図」を示す。最初の都市文明・シュメール、従来の文明観に変更を迫る「古代アンデス文明」、著者自身が近年手掛けたローマ帝国の新たな遺跡など、文明・文化の「多様性」に着目。いくつもの危機を乗り越え、環境に適応し、地球上のあらゆる陸地に拡散して文明を築いた人類の未来は。廃墟と化した遺跡には、私たちの現在を知り、これからを考えるヒントが隠されている。
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商品情報
- シリーズ
- 興亡の世界史 人類文明の黎明と暮れ方
- 著者
- 青柳正規
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社学術文庫
- 書籍発売日
- 2018.06.11
- Reader Store発売日
- 2018.06.11
- ファイルサイズ
- 36.5MB
- ページ数
- 408ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (5件のレビュー)
-
文明の発生と消滅が必須であれば、成功と失敗から学ぶべきことは「失敗の仕方」ではないか。
ということで、《興亡の世界史シリーズ》を読む。
『人類文明の黎明と暮れ方』では、ヒトの進化から古代文明までが語…られている。
前半の「言葉の定義」解説的箇所にやや手こずったが、シュメールの解説あたりからガゼン面白くなる。
中でも「チグリス・ユーフラテス川とナイル川の氾濫の違いが、二つの文明の相違を生み出した」と……。
メソポタミア文明のヨーロッパへの影響とエジプト文明の過大評価というのも面白い。
また、ギリシャ文明のことをこんなに知らなかったことに気付かされる。
「おわりに」では、現代の問題と筆者自身の考えが示されている。
「文明を繁栄させた原因や要素こそが、同じ文明を衰退させる働きをすることーー自滅の道こそが衰退の原因」
でも、まだわからない。続きを読む投稿日:2024.03.07
【文明史を学ぶということ】
P.15
historyの中のstory =経時的(ディアクロニカル)方法
⇔共時的(シンクロニカル)方法
専門知→統合的な機能不全
全体をみることと要素還元主義の弊害
…文化だけでなく文明の多様性
P.23 文化と文明の定義とその差異
【ヒトから人類へ】
r戦略者 K戦略者
アシュール文化
P.84 ヴィーナス像の造形法
洞窟壁画 なぜ動物は描かれ、植物は描かれない?
【農耕というイノベーション】
P.110 消極的移住
人口増加→農耕でなく農耕→人口増加
イェリコとナハル・オレン
チャタル・ヒュスク
「ノアの洪水」
P.150 世界的に東アジアの土器製作は早い
【文明の誕生】
『ギルガメッシュ叙事詩』
エジプト文明のピラミッドをどう評価するか
3000年おなじことを繰り返していた
【多様な文明の隆昌】
P.243 ヨーロッパの知識人がアジアの歴史や文化はいずれも大河流域にあると認定したのはなぜか。それは、すでに大航海時代に世界の七つの海に進出したヨーロッパに対して、海洋に出ることのなかったアジアの閉鎖性と停滞性を強調するためであった。
戦後日本では「四大文明」という魅力的な用語で、「ヨーロッパ中心史観」に対抗しようとしてきた
アンデス文明
石田・泉「新旧大陸における農耕文化の始まり」
【古代地中海文明】
キクラデス文化
ミケーネ文明 ウァナクス
【文明が滅びるとき】
文明衰亡の要因は繁栄を招いた要因の中に見出すことができる
【あとがき】
情報の氾濫が知識の真の知とする醸成期間を剥奪し、その結果、知の魅力を奪い、まして叡智の輝きを失くしてしまった。知の尊厳、あるいは知への憧れを失くしてしまったわが国の現代社会からはかつてのような叡智に満ちた思想が生まれる可能性はなくなり、狡知だけが蠢く社会に変わりつつある。科学技術が発達すればするほど、発達した科学技術を包含する思想が必要であり、人間とは何かを考える人文学が活躍しなければならない。しかし、科学技術を包括するホーリズムとしての思想は、それが本質的に内包せざるをえない曖昧さによって人文学を含む科学者によって否定されてしまった。現状のような科学技術が進めば進むほど、総体としての人間の将来は神まかせになるというパラドックスに完全に入ってしまった。続きを読む投稿日:2022.05.21
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