戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった
イシメール・ベア(著)
,忠平美幸(訳)
/河出文庫
作品情報
ほくの現実はいつも「殺すか殺されるかだった」。十二歳から十五歳までシエラレオネの激しい内戦を戦った少年兵士が、ついに立ち直るまでの衝撃的な体験を世界で初めて書いた感動の物語。
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商品情報
- シリーズ
- 戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出文庫
- 書籍発売日
- 2018.02.06
- Reader Store発売日
- 2018.03.16
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 360ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
-
著者のイシメール・ベアは、1980年にシエラレオネの地方で生まれ、13歳からの3年間、シエラレオネ内戦(1991~2002年)において政府軍の最前線で活動した元少年兵士。その後、ユニセフにより戦場から…救出され、1998年に米国に移住し、国連インターナショナルスクールを経て、米オバーリン大学に進み2004年に卒業した。現在はユニセフ親善大使を務め、戦災で影響を受けた子供たちの地位向上のために活動している。
本書は2007年に発表され、スターバックスコーヒーが全米6,000以上のチェーン店の店頭に並べた話題性もあって、ニューヨークタイムズ・ベストセラー(ノンフィクション部門)の1位を獲得したほか、ニューズウィーク、タイムなどの主要新聞・雑誌でも大きく取り上げられた。邦訳は2008年に刊行され、2017年11月現在で40あまりの言語に翻訳されている。
本書は、元少年兵士が戦場での体験を“自らの手で”綴った記録であるが、著者が、生まれながらに優れた記憶力・感性を持ち、生れた地方の伝統文化だというストーリーテリング力に秀で、更に米国で文章作法を身に付けたことが、本書のような作品を書き上げることを可能にしたが、その意味で、他に類を見ないものと言えるだろう。(更に、本書に綴られた、著者の米国移住を可能にした経緯も稀にみる幸運であろう)
そして、内容の壮絶さに比して筆致は淡々としており、それ故にかえって、ときにアフリカの草原・熱帯雨林を彷徨い、ときに人々を殺戮し、ときにリハビリ施設で悪夢にうなされる、著者の追体験をしているかように感じられ、いつの間にか心臓の鼓動が早まり、息苦しささえ感じるのである。
著者は、回想録を書こうとした理由として、シエラレオネで起こった戦争の現実を知ってほしかった、戦争に巻き込まれると普通の子どもでさえ銃を握って人を殺すようになることを伝えたかった、環境さえ整えば子ども兵士は人間性を取り戻して社会復帰できることをわかって欲しかった、故郷の伝統文化や豊かな暮らしや人々のコミュニティという大切なものが戦争により一瞬にして失われてしまったことを訴えたかった、と語っているが、本書は十分にその目的を達したと言えるだろう。
今この時にも世界では局地的に戦争や内戦が続いているが、我々一般の日本人としてできること、すべきことは、まず、そこで何が起こっているのかを知ることであり、本書がその一助になることは間違いない。
(2018年4月了)続きを読む投稿日:2018.04.07
私の好きなポッドキャストの番組、The Mothで著者のイシメール・ベアがトークに出た回があった。話し始めた途端に「なんでこの人の声はこんなに悲しみを湛えているんだろう」と気になった(実際はユーモアた…っぷりのお話で、写真を見ても笑っているのだけれど)。
そして本書を購入。
想像を絶する体験が綴られていた。
馴染みのないシエラレオネの日常生活や文化も興味深いし、何といっても著者の抜群の記憶力には舌を巻く。
語るために神様に生かされたのかな・・・と思ってしまう。最後のページで、7歳にしてこんな答えを出していたんだ、と知って更にそう思った。
こんな体験をして生き続けていけるものすごいし、人間のresilienceというものには限界がないのかも、と認識を新たにしました。続きを読む投稿日:2021.12.23
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