最後の乗客
マネル・ロウレイロ(著)
,高岡香(翻訳)
/マグノリアブックス
作品情報
新聞記者のケイトは最愛の夫の死から立ち直れずにいたが、そろそろ前を向こうとしていた。そんな矢先、同業だった夫が最後に調べていた案件を引き継ぐことになる。それは、実業家のフェルドマンが手がける奇妙なプロジェクトについてだ。一九三九年、航海中の貨物船が、漂流するナチスの船を発見した。漂流船の晩餐室に用意された料理は出来立てにもかかわらず、乗員、乗客は見つからなかった。―たったひとりのユダヤ人の赤ん坊を除いては。そんな謎に満ちたヴァルキリー号を、フェルドマンがふたたび航海に出そうとしているらしく―。
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商品情報
- シリーズ
- 最後の乗客
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- オークラ出版
- 掲載誌・レーベル
- マグノリアブックス
- 書籍発売日
- 2017.04.01
- Reader Store発売日
- 2018.05.21
- ファイルサイズ
- 1.1MB
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この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
導入部では古典的な幽霊船の怪談調(過去の話)ではじまり、現代へと転じると主人公の主観へ交代する。
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内容の半分までは正統なホラーといった感じで、現代の科学技術が通じぬ正体不明、神出鬼没の敵対者に対する恐怖だったが、
中盤以降は幽霊の正体や意図は不明なのものの、その性質は明らかになっていき、ややパニックホラー寄りのテイストになった。
終盤では幽霊の正体(ユダヤの悪霊)までも明らかになり、その召喚と制御不能になるまでの過程も描かれており、幽霊譚だけで無くループ物でもあったのかと謎がすべて解けるような作りになっていた。
読んでいてスッキリはするが、やはり中盤あたりまでの「正体不明・手口不明の怪異」こそがホラーであるので、「ホラーは短編が良い」は間違っていない気がする。
話の背景が「またナチスか」だったり(ヨーロッパはよほどナチに大きな傷があるのか、悪として出しやすいのか?)、終盤はドッカンドッカンだったりで「海外産の作品だなぁ」という感じはしたが、読ませる文章で翻訳もうまく、上手に推理・想像をかき立てる作りになっていた("霧"の地点は過去と現代が二重になる時間の狂った空間なのかとか、"最後の乗客"は富豪のことで作品中でループして子供に戻り序盤に戻るのかとか)ので、
他の作品、特にヒットしたシリーズを(一切翻訳されていないが)読んでみたくなった。
また、作品の途中で「無駄な濡れ場の描写が過ぎてくどい。せいぜい1回でいいだろう」と思ったが、オチ(=タイトル)を思うと必要だったのかと納得した。投稿日:2024.03.24
このレビューはネタバレを含みます
WWⅡ前夜の1939年、かのマリー・セレスト号を思わせるようなある事件の描写がプロローグとなって物語が始まる。そして75年後……序盤過ぎあたりから黒幕はナチス?と思わせておいて、怪異の正体はそっちか、…と。
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各キャラクターの書き込みがかなり浅彫りというか、筋のあちこちにご都合主義を感じられるけれど、ややこしくて読んでて滅入ってくるような人物背景の書き込みを続けられるよりはマシか。それでも、死んだはずのロバートが生き返ってて、現れ方や消え方、移動の仕方は思い切り幽霊なのに、×××できて※※※までできちゃうほどの実体を持っている、という最大のネタの理由付けが全く書かれていないのが、何ともはや。
映画「ゴースト」風のプロットにナチス・ホラー+時間SF+オカルトの要素を盛り込んでよーくかき混ぜ、幽霊船に乗せたらこうなりました、というところか。続きを読む投稿日:2020.03.11
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